今日は日食、月食の神話について書いてみようかと…(^^ゞ

惑星や星座には神話が広く知られてい増すが、実は日食、月食にも世界各地でいろいろな神話があります(本当は太陽、月の神話をしてから日食、月食の神話をしたほうがいいんでしょうけど…笑)


ヒンドゥー神話

むかし、聖仙ドゥルヴァーラは神々の王インドラ神に敬意を表するため、インドラ神の騎乗していた象の頭にかぐわしい香りを漂わせる花輪を乗せました。ところが、象はこのことにすっかり興奮し、花輪をつかむとそのままポンと投げてしまったのです。

自分の贈り物を投げ捨てられてドゥルヴァーラは怒り、インドラ神に対して呪いをかけました。神々の王インドラ神は力を失い、魔神アスラ族と闘争を繰り返していた神々はピンチに陥ります。


そんな中ヴィシュヌ神は、『マンダラ山を撹拌棒に竜王ヴァースキをひも代わりにして海をかき混ぜれば不死の霊薬アムリタが得られる。これを飲めば、神々に再び、その威光を取り戻すことができることができるでしょう。ただし、魔神アスラ族と協力しないと霊薬アムリタを得ることができません。』と告げます。


そして神々は仇敵魔神アスラ族と協力を申し出ました。アスラ族にも霊薬アムリタを分けてやるという条件のもと協力をしましたが、実際のところ神々は霊薬アムリタを分ける気は初めからありませんでした。もちろんそれは魔神アスラ族も同じことを初めから考えていました。この霊薬を先に手に入れたのは魔神アスラ族です。アスラ族はだれが一番最初にこの不死の霊薬を飲むのかをめぐってケンカを始めます。そこへ現れたのはこの世のものとは思えない美女。魔神アスラ族は美女のかわいさに気を許し、あろうことか霊薬をすべてあげてしまいます。(男ってこういうものです…笑)


ところが、その美女は女性に化けたヴィシュヌ神でした。こうしてまんまとアスラ族から霊薬を奪い返しました。そして神々は霊薬をみんなで飲み交わしたのですが、そんな中四本の腕と尻尾を持つアスラが神に化けてちゃっかり霊薬を飲もうとしていました。(いますよね…こういうタイプって)

これに気付いた太陽と月はヴィシュヌ神に告げ口をしました。ヴィシュヌ神はすぐさま円盤を投げつけアスラの首を切り落としたのですが、すでにアスラは霊薬を口にしていました。霊薬は不死の薬…切り離されても首と尻尾はそれぞれ不死の状態になり、頭部はラーフ、尻尾はケトゥと呼ばれるようになりました。


さてさて、ヴィシュヌ神に告げ口をした太陽と月をラーフは憎み、今でも天空でラーフは太陽と月を追いかけまわしています。しかし、ラーフは首から下がありません。追いついて一呑みにしようとしていましたが、首から下がないのですぐに太陽も月も外に出ることができました。


こうして太陽や月が呑みこまれている様子が、日食や月食として見えているといわれています。

この前の金環日食もラーフが太陽に追いつき呑みこんだ姿だったのでしょう

ちなみにここで出てきた尻尾ケトゥですが、これはのちに大きな軌道を描いて太陽系を回っている彗星という風に言われています。尻尾には思考がないからうまく太陽や月を追いかけられずあんな風に大きな軌道を描いているのかもしれませんね。


ついでに個人的に面白いっていうのかな…けなげというかなんというかっていう神話


朝鮮の火の犬という話ですが、

朝鮮では夜空に輝く星々は一つ一つが国だと考えられています。その中の一つに暗黒国(カマクナラ)という、名前の通り光のささない国がありました。ある時自分の国に光がないことを憂いた王は、地上の世界から光り輝く太陽を盗んでやろうと考えました。

暗黒国には『火の犬(ブルケ)』という燃え盛る火の塊すら口にくわえることができる犬がいました。王はその中から猛々しいものを一匹選び地上に送りだします。


勇んで地上に出て行き太陽をくわえて暗黒国に帰ろうとしたのですが、太陽はあまりにも熱く、くわえてはいられず口からはなしてしまいます。しばらく太陽を未練そうに見つめますが、くわえることができないとあきらめるとすごすごと国に帰ります。


それを知った王は大激怒。そして『太陽がだめなら月を盗んでこい』ということで今度は月を盗みに行きます。しかし、月は太陽より熱くはありませんが、実は月はびっくりするほどに冷たく、とてもくわえて盗むようなことはできませんでした。


こうして結局太陽も月も盗むことができなかった暗黒王…今でもブルケを送り出して、太陽や月を盗み出そうと考えているそうです。そして放たれたブルケが太陽や月にかみつくと、その部分は光を失って日食や月食になるのだろうと伝えられています。


実際には日食、月食には世界各地にいろいろな神話や伝説がありますが、多く共通していることはほとんどの国が太陽や月を呑みこむということです。擬人化すると後世に伝えるのは結構容易になるんでしょうかね…そして遠いところでも考えることは同じなんだなってちょっと思います(^^ゞ