初演の時、評判を聞いて行こうかと思ったのですがその時はスケジュール詰まっていて行けませんでした。
というわけで今回の再演が初見です。

キュリー夫人は小学校の時伝記で読んだくらいの知識です。
キュリー夫人(マリー・キュリー)の生涯をベースにしたミュージカルで、「ファクション・ミュージカル」と銘打っているとおり史実そのものではありません。
友人アンヌや工場を経営するルーベンは虚構?もしかしたら存在していたかもしれない人物?
史実と虚構のバランスが良くてうまくできている話だなと思いました。

最初に「女性だから」「ポーランド人だから」と苦労していたと思ったら結構早い段階で結果(ノーベル賞)を出していたり、いつのまにかピエール・キュリーと結婚していたりとノーベル賞を獲るまでの過程は深堀りしないんだと思ったんですが、主題はノーベル賞を獲ってから、ラジウムを発見してからなのですね。

ラジウムが副作用を持っていることは今の時代の人たち(観客)は知っていますが、工員たちが無邪気に働いている姿を見ていたら胸締めつけられました。
この後どうなるか展開がわかるだけに。
ルーベンはいつラジウム中毒について知ったんでしょう?
工員に対して破格な扱いをしていたのでその時点でもうわかっていたんでしょうが。
最後にきのこ雲がバックにあったのはマリーが人道的に使ってもらえるようにとラジウム抽出方法を特許化しなかったことが裏目に出たのか。
この点に関してはセンシティブな問題で語るのは難しいと思います。

初演はシングルキャストでしたが、今回メインキャスト4人ともダブルキャスト。
キャストは皆良かったです。
4人の中では雷太くんがはじめましてでしたが存在感あって良かったです。
アンサンブルも石川くんとか可知さんとか亜早実ちゃんとか知っている人多くて安心。

評判では「泣く」とのことなのでどこで泣くんだろう?と思って観ていたのですが、マリーが死んだ後のピエールと話しているシーンで急にキタ。
普通はその前にあったマリーとアンヌのデュエットのシーンだろうけど、ここが泣かせどころ、クライマックスなんだろうと思うと逆にあまりグッと来なかった。
歌はうまいなと思ったけど。
ピエールはアンヌと比べてそれまであまりマリーにとってどういう存在だったのか描かれていなかったように感じましたが、このシーンでどういう存在だったのかがわかってそこでグッときたのかな。
そこは松下くんがうまかったように感じます。

ただ、単純に「面白かった」と言えないのは前述のとおりセンシティブな問題を孕んでいるからそこでひっかかったのかもしれません。
良くできたミュージカルであったとは思います。