原作は未読ですが、テレビで何度かモデルになった方を見たことあるのでどういう方かは知っていました。

大学生の時にバイクの交通事故で記憶喪失になった青年と母の物語です。
記憶喪失といっても表面的な記憶が喪失されるだけではなく、「食べる」「寝る」「熱い」「冷たい」など人間を動かす根本的な記憶までも失い、いわゆる赤ちゃん返りの状態にまでなってしまった、というのは稀なケースなのでしょうか?
結局、過去の記憶は取り戻せないものの、新しい過去とともに染織の道へ進んでいくという実話を元にした物語でした。

キャストは主人公、母、そしてそれ以外の周りの人たちを1人で、ということで3人だけでした。
2チームあり、ペアは固定。
母は濱田さんと柚希さん、主人公(ぼく)と周りの人たちを成河さんと浦井くんが交互で演じるという方式。
私は濱田さんと成河さんの組み合わせが観たかったので、
ぼく:成河さん、母:濱田さん、大切な人たち:浦井くんのチームで観劇しました。

この回は成河さんが主役なのでミュージカルなのにストプレを観ている感覚でした。
かと言って音楽が邪魔しているというわけではなくうまく溶け込んでいる。

成河さんは巧いの一言。
特殊な設定ながらわざとらしくなく自然に演じていてさすがだと感じました。
濱田さんはいい具合に一歩引いて成河さん演じる草太(ぼく)に寄り添っているのが良かったです。
2人とも大仰に泣かせようとしないところがさりげなくて良かった。
浦井くんはそれ以外の人たちだったのですが、本当に色々演じ分けていました。
その中でもヒカルくんが好きです。
あと、ぬいぐるみに話しかける酔っぱらいも可愛かった。
親子に涙しながらも浦井くんの演じる色んな人たちにクスリとさせられたりまたぐさりと刺されたり。
いいバランスの3人だったと思います。

草太がどうして草木染めに惹かれたのかというのがちょっと説明口調になったのは気になりましたが、本当に心温まるミュージカルでした。
そして観ていると浦井くんが主役のチームもどんなだったのか気になりましたが、チケット取ってなかったのよね。
全く違う作品のようだという評なのが気になります。
役者のそれぞれのカラーが違うから別物になるだろうということは想像できます。

3人芝居なので短く休憩無の85分でした。
12時開演なので終演してもまだランチタイムが終わってなかった(笑)。
ゆっくりランチができていい休日でした。

 

ホワイエにはこのお話のモデル坪倉優介さんの草木染の作品が展示されていました。

優しい色合いですね。