キャストが豪華なのでチケット取りました。
よくよく見ると安部公房原作とある。
安部公房といえば不条理。
シュールな作品だろうと思って来ましたが思った以上にシュールだった。

1人の男の元へ突然9人家族がおしかける。
いつの間にか部屋を占拠され、警察にも弁護士にも助けを求めるが逆に説得される。
男はどうなってしまうのだろうか?
というあらすじだけは頭に入れていきました。

とにかく何度も席を立ちたくなるくらい気持ち悪くて怖かった。
本当に吐きそうになるくらい気持ち悪くてこれをTVで見ていたら間違いなくチャンネルを変えています。
話が通じないというのがこれほど怖いとは。
そして常に多数の力で少数の訴えをねじ伏せてしまうという点においては今の時代にも通じるのではないかと思いました。
上演時間が1時間半って短いなと思いましたが、これ以上長くなると私が耐えられなかったのでちょうど良かったです。

しかしながら生の演劇を見たという醍醐味は感じます。
これは生だからこそ味わえた感覚。
何回も観たいとは思わないけれど(笑)。

話が通じなくてパニックになり、次第に絆されていくが実は?という男役の鈴木浩介さんがうまかったな。
婚約者に対して現状を説明するところはそこじゃない!とイライラしながら見ていましたが、感情移入すると本当にしんどくなった。

とりあえずいちばん怖かったのは父役の山崎一さんだったが、最後に本当にいちばん怖かったのは次女役の有村架純ちゃんでした。
この家族に囲まれて彼女はどれだけ闇を抱えていたのだろう。

長男役の遣都くんはただただゲスかった。いつの間にか男の彼女寝取っているし、暴力振るうし。
しかし、この長男はあまり何も考えてなさそう。
空っぽな感じが良かったです。

他にも緑子さんや浅野和之さんなど達者な人たちが脇を固めていて見ごたえありました。
ただ何度も言うが何回も観たくはない(笑)。