「君が僕を追いかけていたのではなくいつも君を追いかけていたのは僕だった」
このキャッチフレーズですが、観終わった後改めて見るとほぼネタバレかもしれない(笑)。
【あらすじ】
人気短編小説家のトーマスは、幼なじみのアルヴィンの突然の死に際し、弔辞を読むために故郷へ帰って来る。
しかし、葬儀が始まるというのに、アルヴィンへ手向ける言葉が思い浮かばない。
すると死んだはずのアルヴィンが目の前に現れ、トーマスを自らの心の奥深くへと導いていく。
そこには延々と続く本棚があり、トーマスの思い出と積み重ねた人生の本当の物語を書いた原稿や本が存在していた。
アルヴィンは、その中から弔辞に相応しい2人の物語を選び、トーマスの手助けを始める。
しかし、トーマスはそれを拒み、助けを借りずに弔辞を書くと言い張るが、アルヴィンは気にもとめず、次々と物語を選び、語っていく。
果たして、弔辞は完成するのか・・・。
いくつもの物語が語られるにつれ、2人の間に存在した数々の埋もれてしまっていた小さな結びつきが明らかになっていく。
アルヴィンとトーマスが子供時代に育んだ絆と生涯を通じて築き上げた友情の物語。
(公式サイトより引用)
BW・韓国で上演されていて、日本では初上演となります。
登場人物はトーマスとアルヴィンの幼なじみ2人のみ。
しかも回によって役替わりでという「ライフかい?」とちょっと思った(笑)。
私が観たのはトーマス:万里生くん、アルヴィン:平方くんバージョンの方。
ビジュアル的もキャラ的にも逆の方がはまりそうです。
スリルミーが私から見た「私と彼の物語」であり、彼は私から見た「彼」であるのと似ていて、
トーマスから見た「トーマスの物語」であり、アルヴィンは「トーマス」から見た「アルヴィン」だったので
万里生くんはトーマスの方がやりやすいのかなとも思いました。
アルヴィンも観てみたかったけど。
万里生くんはもちろん良かったのですが、平方くんが良かった。
今まで平方くんを何度か観ていますけれども特にはまり役というものを感じたことがなかった(逆に悪くもなかった)のですが、
この役は合ってなさそうで実はすごくはまっていたように思いました。
上演時間110分、2人文字通り出ずっぱり(はけるシーンが全くなし)でかなりハードな舞台だと思いますが、
ハードさを見せないのがさすが(給水はありましたが)。
観ている方が喉かわいたよ(笑)。
少年時代から思い出を2人で旅しながら、彼らの関係がどのように変わっていくかまた変わらないままなのかを歌で綴るストーリー。
何度も同じところに戻り同じ台詞が繰り返されるところがあるのですが、話が進むにつれ微妙に違ってきているというのも面白い。
結局最後までわからない謎(しかもいちばん大きな謎)はいくつか残されていたが、伏線回収だけがいいわけではないという某演出家のツイを思い出しました。
あなたのストーリーはあなたのもの。僕のストーリーはあなたにはわからない。
最後にトーマスが見つけた答えも正解ではないかもしれない、ただそれはトーマスのストーリー。
あらすじにあるただの「友情の物語」だけではない深さがありました。
心に沁みる作品でもあり、刺さる作品でもある。
後を引きずる作品で今年観たミュージカルの中でいちばん好きかもしれない。
色んな俳優で見てみたい作品だと思うし、多分あるだろうと思わせる作品でありました。
この作品のキーである映画「素晴らしき哉、人生!」は昔観ました。
記憶を引き出しながら観ていましたが、もう一度観てからの方が良かったかな。
クリスマス映画の定番ということですが、この作品を観るのもクリスマスシーズンがいいなと思いました。