「ロミオとジュリエット」に秘められた、もう一つの愛の物語。
若かりしシェイクスピアの恋を描いた映画を元にした舞台。
ストプレでは久々の新作、また浅利さん以外の演出が何十年ぶりということで一度は観ておかないとと思ってチケットを取りました。
シェイクスピアの作品を知っていた方が面白いかもしれないですが、「ロミオとジュリエット」を知っているだけでも十分に楽しめる作品でした。
音楽・美術・衣装すべてが美しかったですが、一番美しいと思ったのは言葉でした。
最初の「たとえるならば。きみをたとえるならば」からぐっとつかまれ脳内から離れない。
四季のストプレに抵抗がある人にもとっつきやすかったと思います。
あの独特の開口が抑え目ですので。
色んな意味で四季らしくない、しかし遊びはあれども全体的には正統派であるところは四季らしいかなとも感じました。
それぞれキャラ立っていたのも良かったです、ほぼシングルキャストなのもわかる。
なんといっても主役の上川くんと紗衣ちゃんが魅力的でした。
上川くんにキュンキュンしたのはウィキッドでリボンくるくるしていた時以来です(笑)。
よくよく考えたら妻も子もいるのにというだめんずなのですが、ひたむきに情熱を注ぐ姿が魅力的で惹かれるのもわかる。
そして、芝居とウィルをこちらもひたむきに愛するヴァイオラも魅力的でした。
凛とした美しさ、そして「私が世界からウィリアム・シェイクスピアを奪いたくない」という最後の選択が切ない。
いちばん四季らしくないと思ったのは役者の使い方、活かし方だと思います。
演出家が本当に外部の方なので四季俳優のことを知らないだけに新しい点を引き出したり、逆にもったいないなという使い方をしているなと思ったりもしました。
もったいないなと思ったのは田邊さんと阿久津さんかな。
特に田邊さん。これは脚本のせいかもしれないけれど実在の人物であるマーロウとの関係をもっと見せることができなかったのかなと。
殺されたというのもセリフだけでしたからね。
阿久津さんはあいかわらずうさんくさくてある意味いちばんいつもと変わってなかったけれど(笑)。
逆に飯村さんや神永さんはこういった引き出しがあるのねと改めて発見しました。
特に神永さん、訛ってない(ここいちばん驚きw)!
元々外部から入ってきたベテランの中野さんや志村さんはいつもとあまり変わらない印象だったので、
外部の演出家が初めての人達だとこうも違うのかなと思いました。
その中野さんの女王様がいちばん切なく感じました。
女王であれども女だからこそ自由に生きられない、色んなものにとらわれているという切なさを。
ウェブスターがブラックメレブのようであり、裏切り三五のようなのがおかしかったw
このキャラいちばんおいしい。
そして菱山くんは東京公演での感想でも見ていたけれど、想像以上にあの声にはびっくり。
どこから声出ているんだ?女の子の声にしか聞こえなかった。
ライフにスカウトしたいです(笑)。
川口さんは要素要素で面白いことしてましたね。
品位のある上質な芝居を味わえました。クスッと笑えるところもあり、切なさもあり。素敵な舞台でした。
また、色んな演出家と組んでみたら面白いのになと感じます。
十二夜が無性に観たくなった。