東京での評判を聞いて気になり行くというパターンが最近増えたような気がする。
チケットを取ったのは結構直前だったのにとちり席どセンターのめちゃめちゃ観やすい席だったのは四季の前予席パターンなのか。
ストプレでこの値段(一律¥10,000)ということで躊躇したところもありましたが、行って良かった。
今のところ今年観た中でNo.1に面白い舞台でした(本命が出ている舞台はバイアスがかかっているので除くw)。

3幕3時間10分、休憩を15分×2回なので実質2時間40分の舞台でしたが、長さを全く感じずあっという間。
特に2幕50分は20分ほどにしか感じられないくらい惹きこまれました。
家族がそろって食卓につくシーン、くるくると盆がまわりそれぞれの表情が良く見えるという演出が面白かったです。
次々と家族の闇が暴かれるシーンでもあり、非常に圧倒されたシーンでした。

内容はヤク中の母親と三姉妹を軸に繰り広げられる悲喜劇。
それぞれが抱えているものはそれぞれ悲惨なんだけどくすりとした笑いを呼び起こさせる。
この題材でこれだけ笑わせることができるのもすごいなと思った(笑)。
人生って悲劇でもあり、喜劇でもあるんだなと思わせられる。
ラストも救いがないんだけどじめっとしていなくてからっとしているのは戯曲の力か演出の力か。
KERAさんの演出は実は初めてだったのですが、他のオリジナルの作品も観てみたいと思いました。
娘3人共に出て行かれた母が今まで見下していたインディアン(ネイティブアメリカン)の使用人にすがりつくというところはアメリカの未来を暗喩しているものだったのですね。

言いたいことを言いまくっているように見えて実は肝心なことは内に秘めているところが母も娘も似ているんだなと思ったり、家族だからといっても個々の人間なんだなと色々考えさせられる話でもありました。
いちばんドライなのは献身的に見える次女であるところも面白い。
そしてそれぞれが選んだ相手は映し鏡であるというところも。

役者さんは達者な方ばかりでそれぞれ役にはまっていて素晴らしかったのですが、何と言っても母役の麻実れいさんと長女役の秋山菜津子さんが圧巻でした。
この2人の芝居だけでも来て良かったと思わせる。
ぶつかり合いながらもこの母娘がいちばん似ているんだなと思いました。
またこの芝居は女性が主役なので男性陣は抑えぎみながらもぴりりとしたアクセント効かせていましたが、さとしさんはただただエロかった(笑)。
そして村井さんの贅沢な使い方、それでも存在感はさすがでした。

今回大千秋楽だったからかKERAさんもカテコに登場。
何回目かのカーテンコールでは裏方さんも呼んで並んでたのでちょっと手狭(笑)。
何回あったのか数えきれないくらいのカテコでした。

こういった舞台に出会えると本当に幸せに思える。
いや、話は全然幸せじゃないんだけどね(笑)。