今晩観たのは、仲代奈緒さん主催のプロジェクトでお亡くなりになったお母様宮崎恭子さんが遺した、戦前~戦後にかけて過ごした少女時代の話をもとにした朗読劇。
なぜ観に行ったのかというと山本芳樹さんが出演されていたから。
なんと二週連続芳樹さん(笑)♪

今回神戸と大阪の関西公演ということでなかなか芳樹さんを関西で観られる機会がそんなにないので足を運びました。

でも行くかどうかしばらく悩んだのは題材が戦争ものだということと場所が普通のホールではなかったということ。
キリスト教の集会所ということでクリスチャンでない私にはためらいがありました。
でもこんな機会そうないだろうからえいやっと行っちゃった(笑)。

場所は本当に普通の住宅街の中にある洋風の普通のお家でした。


キャストは
仲代さん=お母さんの恭子さん。
恭子さんの妹であり仲代さんの実母である宮崎総子さん=恭子さん・総子さん姉妹のお母さん。
そして芳樹さんがお父さんに広島のおじさんに親戚の治雄さんに農家の姑にお医者さんに他もろもろ何役やったっけ(笑)?という構成。

あとはギターとキーボードが入り、時々仲代さんの歌とギターの方の弾き語りがありました。
神戸ではこのギターの方がいらっしゃらなかったようでそのかわり芳樹さんが弾き語りをしたらしい。

うっそれも観たかったー。
でもね、月末の平日19時三宮は無理だったよ(涙)。

戦争ものということでひたすら重いものを想定していたのですが、ユーモラスな部分もあり時々入る歌の効果もあってそれほど重くなく話に入り込めることができました。
ただ、それでも戦争が普通の家族に入り込む重さは感じました。
悪人が誰一人出てこない優しい話ではありましたが、現在の情勢に対しても警鐘を鳴らす作品であったかと思います。
洪水のシーンでは先日の広島での水災を思い出しました。

仲代奈緒さんはTVでは観たことありましたが初見。
少女の役では本当に無邪気で可愛らしく、朗読の時は凛とした語りで演じ分けが見事でした。
そして歌声が本当に優しくて素敵。こんなに歌がうまい人とは思わなかった。

宮崎さんは本業が女優さんではないので・・・。
ただ、仲代さんの最後の挨拶で「身内が出るのもどうかと思いましたが、この物語の中で実際に生きていた人なので」というように物語に説得力がうまれたように思います。

芳樹さんは前述通り、いろんな役をこなしていました。
お父さんは本当に父性たっぷりなお父さんでああ年相応とか思ってしまった(笑)。
娘と言い争いのシーンが印象的で、「絶対だから」と口答えする娘に「絶対人は死ぬというのはあっても、他に絶対というのはないんだ」と諭すところ。
戦時中、今までの価値観が全く変わってしまうという情勢が背景にあるんだろうなというのが伝わってきて、これは現在にも通じることではないかと感じます。
そして親戚の治雄さんの話がいちばん胸締めつけられた。
原爆で家族を皆亡くしてしまった直後に赤紙が来て無理矢理な笑顔を残しながら入隊したのですが、すぐ終戦となり「これからどう生きて行けばいいかわからない」という悲痛な表情になるのが
本当に痛々しくてたまらなかった。
広島のおじさんがまたいい人で、原爆が落ちた直後に市内に親戚を探しに戻った道中子供達を助けてあげた時の語りも優しくて。

結局その時に浴びた放射能で早逝されたそうですね。
農家のお姑さんは本当におばさんそのもので(笑)、演じ分けがやはりすごいなと思いました。

二幕始めに最初に仲代さんとギターの方が「翼をください」を歌うのですが、途中から芳樹さんが歌いながら登場された時には私のテンションあーーーーーーーーっぷ(いい感じに壊れてきましたw)!
なんたって耳元で生の歌声が聴こえるんですよ!

そりゃあっぷあっぷするわい。
小さな会場なのでマイクなしですから本当に生声で。
しかも本当にこれが優しい歌声でね。

DVDの「十二夜」と「じゃじゃ馬ならし」での歌声しか聞いたことないから普通に歌えるんだ!と思った(おい)。

だってあれらは癖ありすぎなんだもん。

自分の出番でない時は基本的に本を持って伏し目がちなのですが、時々上を向いてぼーっと見ている時があってそれはギターの方が弾き語りされている時が多かったのですが、完全にこっち見てるーっ視線感じるーっていう時がありましてもうすごくドキドキしたものです。
とりあえず「私はギターの方を見ているんです」とアピールのようにギターの方に視線やっていたのですが(笑)。
あと、足組んで本を読んでいる姿がまんまユーリだったw


最後の挨拶では仲代さんが震災をきっかけにこの話をもっといろんな人に知ってもらいたいと思って始めた、東京だけでなく色んなところでもやりたいと思っていて今回関西公演が実現できて本当に嬉しいということを語っていらっしゃいました。
そして「芳樹さんからも一言」とふられた芳樹さん、「へっ」と最初にちょっと驚くというか焦るのはなぜなんでしょう(笑)。
話ふられるのわかっている筈なのに。
この話は素晴らしい話でまた参加させてもらえて嬉しい、奈緒ちゃんのライフワークとなると思うからずっと続けていってほしいというようなことを挨拶されていました。
「奈緒ちゃん」と何度も呼びかけていたので、どうして私の名前は「なお」じゃないのだろうかと思いながら聴いていた(おい)。


行くかどうか悩んだけれどやはり行って良かったです。
また違った一面も観られたのが良かった。


さてこれから「大いなる遺産」を読もう(笑)。