「四季以外の観劇」カテゴリーが増えていく(笑)。


東宝版は何度か観ていますが、宝塚版は初めてです。

たくさん観ているわけでないので細かい演出の違いとかはわからないのですが、トートが主役であるというのを前面に出しているところが大きいかな。
あとは気づいたところとしたら、マダムヴォルフのあたりが東宝版より上品(笑)。
そしてゾフィーの最期のシーンがなかったこと。
あのシーンがあってゾフィーはゾフィーで色々思うところあったのねと感情移入できるのですが、 そこはバッサリカットなのね(笑)。
ルドルフの寂しさも東宝版よりはあまり描かれていなくて、トートとシシィに特化されている。
故に、東宝版よりは話が淡々と進むという感じはなく、これはこれですっきりわかりやすい。

ただ、ストーリー展開がトートとシシィに重点が置かれているというのにいちばん印象に残ったのはルキーニだったりします(笑)。

望海風斗さんのルキーニが抜群の存在感で観客を物語に惹きこむ力がありました。
「キッチュ」や「ミルク」のシーンがこんなに楽しいなんて(笑)!
狂言回しとしてのコミカルさ、そして狂気を帯びた暗殺者としての凄味があって歌も表現力も抜群。
2幕最初のアドリブは日替わりなのかな。
この回は「今日は2階席熱いね」と2階席をいじっていた(笑)。
やはり、ルキーニが舞台を動かしているのだなと改めて感じました。
だから本当に本当に東宝版では他のキャストも見せて(笑)!!!

フランツの北翔海莉さんは初見。
評判通り、飛びぬけて歌がうまい。
深みがあって安定感素晴らしい。
マザコン的青年から貫録を帯びた老年の経緯、そしてシシィへの変わらぬ愛など演技も情感あって素敵でした。
ダンスもお上手ということでも、フランツあんまりダンスないからなあと思っていたら、今思い起こすとフィナーレで最初にキレキレで踊っていた方がこの方だったのか!

ゾフィーの桜一花さんもあいかわらず歌も演技も素晴らしかった。

で、脇が素晴らしかっただけに主役が少し物足りない。

みりおトート様は一幕より二幕の方が演技も歌も良かった。
「愛と死の輪舞」も一幕ではちょっと不安定だったのが二幕ではぐっときた。
ただ、良くも悪くも綺麗すぎるので凄味と歌に深みが出たらもっといいなと思いました。
そしてトート様にはもう少し妖しい色気も欲しかったりする。
「最後のダンス」ももっとできるはず!って思って観てました。
回を重ねたらもっと良くなるのではないかなと思います。

シシィは「私だけに」が意外に悪くなかったです。
お上手かと問われたら正直「うーん」なのですが(苦笑)、 この歌声にはエリザベートの心情が伝わってきました。
ただ、デュエットになると負けちゃうのね。

宝塚版はトートが主役なんだなというのはわかっていますが、あくまでもタイトルロールは「エリザベート」なのでシシィの存在感が薄いと「エリザベート」じゃなくなってしまうんでは?
それくらい「えっと誰が主役だっけ?」と思ってしまいました(辛口ですんません)。

なんだかんだ書いていますが音楽は大好きですし、
東宝版とはまた違った華やかさがあって楽しかったです。