昨晩、仕事の打合せ中、
19時21分、妻マナヤングーよりメールの着信あり。
「三雲、生まれて一ヶ月(♀)のお熱が38.5度あります」
すぐにその場を離れられそうになかった情けないぼくは、
39度を超えるようなら、病院に行くようにと返信をしておいた。
何分も経たないうちに、
39.2度にあがりました。病院へ向かいますとメールがはいったけれど、
ぼくが、ふたりのもとに駆けつけたのは、最初の連絡があってから3時間後のことだった。
髄膜炎などが疑われ、検査の結果、その後ただの熱だと診断された。
回り道してたどり着いた夜の病院。
子どもの鳴き声のする方へ歩みを進めると、救急処置室と書かれた部屋の前で足が止まった。
小さいわが子の手の甲に、点滴のチューブが縫い付けてある様は何度みてもなれないものだ。
自分が針に刺されているわけでなく、痛みを感じられないまま、無責任にそんな彼女を愛しいと思う自分がやるせなかった。
熱のせいか、お腹が空いているからなのか、
何かを伝えようと必死に泣いていた。
きっと甘えん坊で寂しがりやの小さい彼女は、処置後の一環として安静を求められ、ひとりベッドに寝かせられ、ずっと泣かされていたようでした。
駆けつけたところで、ぼくは何もしてあげられないことは始めからわかっていた。
生まれて一ヶ月、
父親の顔すら今だ認識できずに、言葉すら理解できない小さな女の子を
抱こうとしても、あげられるものはなく、うっとおしいほどに、ぼくの掌から伝わる体温以外にぼくはそこへ何ももってきてはいやしなかった。
言いたいことも言葉にできない、そんな辛さを独り占めして、生きてくことが求められるなら。
あなたにとって、ぼくは何を演じてみせればよいのでしょう。
ありがたいことに、お医者さんより、大事ではないとの見解をいただき、
念の為の入院となった。
ほっと肩を撫で下ろしたもうすぐ23時。
マナヤングーの実母、ナヲヨが愛娘マナヤングー35才の顔みてぼくに言ったよ。
「マナミちゃんのその八重歯、抜けんのかねえ。邪魔だと思うんだけど」
会いに行かなければならない人が多すぎて、
限りある時間の中では届きそうもない。
最近まで、誰もぼくを待っていてくれやしないと、勝手に思ってた。
すり抜けていくこの感覚。
今日もあの子が泣いていました。
ぼくにその声届いていたのに。
全然ぼくは悲しくなかった。
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