正直、雪文を初めて開けた日の記憶がボクにはない。

ときどき 「いつからお店あるんですか?」

というご質問をいただくけれど、定かでもない。
けど2年くらい前の今頃だった気がする。

ボクは占いを信じるタチではないけれど、金星生まれの地球人ということだ。
直感するという感覚をボクは人生の羅針盤として生きていることのようだ。
だから猫に名前を付けるとき、池田ヒャッケンでよしとした。

いい加減に 生きてみる という明日の予想はたいそう不安なもので
今日という連続を明日を鑑みずに生きるといういうわけでなし。
様式美をもって生きてみたいともボクは思うけれど、彼のようにはボクはなれない。

だから、お店をオープンするとき、古今のならいに従ってボクの人生とボクが名付けた雪文の
行く末を占いなるものに申し立てた。

雪文という会社を設立した3年前は占いで、最悪の年だと書かれてた。
決して起業する事なかれ、全てにおいて上手くいかず、それがあと3年は続く。

だから、ボクはお店を開けずじっとしてみた。
ひっそりが雪文の信条になった理由もそこら辺りの験担ぎ。
半年が経ち、お店をこっそり開店したのは、そんな不幸のどん底で悪運つきるのを
千鳥足で回避してみるの巻、と思っていたから、覚えてないのは必然だ。

間もなく祖母さんが亡くなって、そしてボクは離婚した。

漠然と断定された不運の持ち主であったボクだけど、
てふてふてふてふ蝶のよう に舞、蜜のように甘いアイスが功をそうしたのか、
それからずっと悪いことばかりおこりはしなくて、何故だか人生で男としての一番のモテ期を迎えた。

そんな極楽はいつの間にか往生。
妻に逃げられ哀愁漂っていたであろうボクの後ろ姿は、見る影もなくなってしまったようで、

さっぱりモテない今のボクは、相も変わらず無精ひげと不健康。
あんなに異性に愛されるなら、もいちど離婚してみたいと
友だちのタロちゃんが言っていました。

そんなモテなくなって久しいボクが、久しぶりに夜の店頭に立っていたとき、
素敵な女性がご来店。

他愛もない会話をしたあとでアイスを二つお買い上げ。
今日はこんなに寒いのに と言ったからかも。
その方は去り際、お店のドアをすべて締め終える、ほんの刹那 振り向いて

「 今日は 雪 が 降る かも 」 と言いました。

幻の、ような素敵な言葉に一瞬、危うく恋に落ちたと思ったけれど、

なんて素敵な予感であることよ。

「 明日 雪文 開いて いる かも 」

のでボクは今、いまかいまかと雪が降る のを待っているのよ。

いいこともあるものだ。
いや、雪文を開けてこのカタカタ、やさしい人にたくさん出会い、いいことばかりがあった気がする。
相も変わらず貧乏だけれど、
ボクとそりの合わない内田百閒さんが昔書いたの。

世の中に 人の来るこそ うるさけれ とは云うものの お前ではなし

最近ひきに引きこもっていたボクだけど、ボクにも会いたい人がいる。
ボクはお店が大好きで、明日のやる気よ降ってこい。

だから誘われてしまったクリスマスイブにフィリピンパブで忘年会。
いけたら行こうとボクはこっそり思うふふ。

【業務報告】

鹿児島霧島産の抹茶が届きました。
今日の夕方までに作ります。今回はお持ち帰りも用意します。(←失敗いたしました。再製造は土曜日の予定)
○ーマンのみかん届きました。
そのうち作ります。