この春、
娘は担任の先生が替わった。
生まれて初めての男性の先生。
もう高学年だし、良い事ね。
女性の先生は細やかで、女の子の親にとっては相談しやすくて安心。
でも、男性の広い視野や「やってみなさい」と言う懐の深さは、娘の限界を少し広げて下さるように思える。
はじめ娘は戸惑っていたがじきに慣れ、今では先生をとても信頼している。
先生はわたしよりひと回り以上もお若く、背がスラリと高い。
大きな身体に似合わず、繊細で実直。
その割に細々口出しせず、じっと辛抱強く子供たちと向き合おうとしておられる。
その先生が、
先日切れた。堪忍袋の緒が・・。
きっかけは子供たちの忘れものの多さ。。しつこく叱責したりゲンコをしない先生に気が緩んだのだろう。
それでも先生は、込み上げる怒りを直に子供にぶつけない。
心の沸々としたものを
黒板にぶちまけた。
『仏の顔も三度まで』
大きな字でお書きになった。
続けて、
『二度あることは三度ある』
「先生は、とても怒ってる。」娘は思った。
しかし、
先生の静かなるお怒りに気付かぬ2~3の男子が
思いつく限りの諺を唱え始めた・・・
すると、先生は「おっ、それもありますね。」
大きな字で黒板に書き込む。
やがて、先生の怒りの沸点は緩やかに下降し・・
気付くと、男子達の口ずさむ諺を先生があとから黒板に書くスタイルに変化。
いつになく大きく書かれた諺で黒板のスペースが無くなると、
それらを消して、先生は尚も書き進む。
『七転び八起き』
尚も書き進む。
そして先生が、
『三度目の正直』とお書きになった時、
娘は、先生が今なにをおっしゃりたいのか
解らなくなったのであった。