お題で仁王SS ③ | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

「さ、寒い・・・・・」




寒いならどこか暖かい場所に移動すればいいんだろうけれど・・・・。


寒空の下、コートの中を前後左右へと走り回っている仁王。


引退後久しぶりのテニスだからなのか、部活とは違うお遊び感覚だからなのか、

時折歯を見せて笑ったり、得意気にラケットを回したりと、とても楽しそう。

あんな風にはしゃぐ仁王を見るのは初めてで、なんだか可愛い。


そんな仁王をもう少し見ていたくて、寒さに耐えながらコート脇のベンチに座っている。

だけどそろそろ限界かもしれない。


手袋をしているのに冷たい指先。

鼻の頭もじんじんと痛い。


顔の周りをふわふわと漂う白い息に、なんでこんなに寒いのよ!!と、怒りをぶつけそうになる。



やっぱ校舎の中で待ってよう。



これ以上居たら凍死するな。と思った私は、横に置いたバッグを掴みベンチから立ち上がった。

そんな私の姿を捉えた仁王が慌てたように駆け寄って来る。




「帰るんか?」

「ううん。寒すぎるから校舎の中で待ってる。」




寒さで固まった頬をぎこちなく上げながら微笑んで見せる。

だけど仁王は表情を曇らせてしまた。




「すまんかったのう。大丈夫か?」

「うん。何か温かい飲み物でも飲んだらすぐに身体も温まると思う。」




だから心配しないで。と、さっき以上の笑みを見せた。

それでも仁王の表情は明るくならない。



そんなに心配してくれてるのだろうか?

それとも寒空の中座らせていた事に罪悪感を感じてる・・・?



しかし仁王の曇った表情は、そのどれでもなかったようだ。




「寒いとは思うが・・・・・・もう少しだけ見ててくれんか?」

「え?」

「お前さんが見とってくれんとヤル気がおきん。」




捨てられた子猫のように縋る目で私を見るその顔に、グッと咽が鳴った。

なんてずるいんだろう。

そんな顔でお願いされたら「嫌だ」なんて言えない。




「で、でも・・・・・」

「寒いならコートの下に俺のジャージ着とけばええ。あと俺のコートを膝掛けにしんしゃい。」




自分の着ていたジャージを脱いで私のコートのボタンを外しだす。

コートとはいえ、ボタンを外される行為に全身が燃えるように熱くなって、

慌てて「じ、自分で外すから!!」と、その手を止めた。


ニヤリと笑う仁王に、してやられたと思ったけど、反論するだけ無駄だろう。

仕方なくコートのボタンを外し、仁王のジャージを受け取った。


まだ彼の温もりが残るジャージ。

それに袖を通すのかと思うとなんだか恥ずかしい。




「『なんだか仁王に抱きしめられてるみたい・・・・』とか思っとるんじゃろ?」

「ち、違っ!!」

「ククッ。顔が真っ赤ナリ。」




冷たかったはずの顔に熱が集まる。

恥ずかしさを誤魔化すように乱暴にジャージに袖を通し、すぐにそのジャージを隠すようにコートを羽織った。




「どうじゃ?温かくなったか?」

「・・・・・・なってない。」




すっかり仁王ペースに乗せられてしまったのが悔しくて、

せめてもの抵抗のつもりで、拗ねた素振りを見せた。



だけどやっぱり私が仁王に勝てるはずなんてなかった。




「それはいかんのう。なら俺が温めてやるぜよ。」

「は?」




引き寄せられた腰。

掴まれた後頭部。


目の前には、ニヤリと笑った仁王の顔。


あっと驚く間もなく塞がれた唇。

強い力で固定され抵抗さえも出来ない。


なぞるように唇の上を滑る舌は、なにかの生き物のように口内へと入り込み、逃げる私の舌を絡みとる。


後ろで「なにやってんスかーーーー!!!!!」と、叫ぶ切原君の声が聞こえたけど、

もう私の頭は半分以上思考能力を失っていて、ただ仁王の唇を受け止めていた。



冷たい唇があっという間に熱くなり、その熱は全身へと伝わる。

息が上がり酸欠状態になりかけた時、やっと唇が離れた。




「どうじゃ?温かくなったじゃろ?」

「はぁ・・・・はぁ・・・・・・」

「もう少しで終わるから、いい子で待っときんしゃい。」




悠々と立ち去る仁王に声をかける事もできず、私はへなへなとベンチへ座り込んだ。



おかしいな・・・・。

付き合い始めは意外と恋愛に慣れてないと思ったのに、

まさかこんな人前でキスをするようになるなんて・・・・・・・



まだうつろな意識の中で、ボーっと仁王の後ろ姿を見つめていると、「あ、そうじゃ」と、仁王が振り返った。



「また凍えそうになったら言いんしゃい。俺がしっかり温めてやるぜよ。」




肌寒い日には、きみとキスを


(仁王の馬鹿と思いながらも、それが嫌だと思わなかった私も馬鹿かもしれない)


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昨日の続きデス。


若の誕生日なので若SSに変えようかと思ったけど、やっぱり仁王でww



私ここ5日ほど布団で寝てないんですよ。

ストーブの前で丸くなったまま朝を迎える日がつづいてまして・・・・。

昨日こそは・・・・と思ったのに、今朝は湯船で目が冷めました。(笑)


今晩こそは布団で寝たいデス。←



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