お題で仁王SS ① | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言


数ヶ月前に出来た初彼。

仁王雅治。


付き会うどころか恋愛自体初心者の私は、恋愛に手馴れたこの彼氏とうまくやっていっけるのかと不安だったけど、

思った以上に紳士的で優しい仁王のおかげで、けっこういい感じにお付き合い出来ている。


無駄に色っぽいし、ドキドキするような事もサラリと言っちゃうし、

私だけがドキドキしてるみたいで悔しさ半分。寂しさ半分って感じだったんだけど・・・・・・・

最近気づいた事が一つある。


彼は意外と恋愛に慣れていないのかもしれないと言う事。


意地悪い笑みと、からかい口調でなら恥ずかしい事も言えちゃうみたいだけど、

いい雰囲気の時とかになると必ず無口になる。

視線もなかなか合わないし、なんとなくそわそわしているように思う。


初めて手を繋いだときなんて家に着くまで無言だったし、

チラッと横目で見た仁王の横顔は、なんとなく赤く染まっているようだった。


もしかして仁王も緊張してる・・・?

私と一緒にいてドキドキしてくれてる?


私だけが知る彼の素顔見れたような気がして、胸の奥が温かくなった。




そんな彼の誕生日が、いよいよ明日に迫った。


自分から誕生日の話をするような人じゃない事はわかっていたから、

思い切って私から誘ってみれば、嬉しそうな微笑を見せてくれた。


そんな仁王の笑顔をもっと見たくて、無駄に色々張り切り過ぎちゃったけど、きっと仁王も喜んでくれると思う。


明日に備えて色々と最終チェックをしていると、ベッドの上に置いてあった携帯が鳴りだした。

仁王専用のメロディに、慌てて携帯の通話ボタンを押した。




「もしもし・・・・?」

「よう。なにしとった?」




耳の傍で聞こえるその声は、いつ聞いてもドキドキする。

熱くなる頬に冷えた手を当てながら、「お風呂から上がって部屋に戻ってきたところ。」と返事した。


明日の準備をしてるとは、なんとなく照れくさくて言えなかった。




「風呂上りか・・・・。髪は乾かしたんか?」

「うん。ちゃんと乾かしたよ。」

「そうか・・・・・・」




何か考え込むようにそのまま黙ってしまった仁王。

いったいなんなのだろう・・・・?




「どうかした?」

「いや。風呂上りなら湯冷めさせてもうたらいかんと思って・・・・・。」

「別に電話するくらいじゃ湯冷めなんて・・・・・・」




そこまで言いかけて、彼が言っている事がそう言う意味ではないことに気づく。


微かに聞こえる車音。

耳を澄ませば風の音も聞こえる気がする。




「仁王・・・・・今どこにいるの?」

「・・・・・お前さんの家の前じゃ。」




聞き終わる前にベッドから弾き起き、コートを片手に部屋を飛び出した。


お母さん達にばれないように玄関を出れば、向かいの家の壁に持たれるようにして立つ仁王の姿。

ポケットに手を突っ込みながら、緩やかに口元を緩ませた仁王に、胸がドキンと音を立てた。




「どうしたの・・・・?」

「少し・・・・出れるか?」




ちょっとだけならお母さんも気づきはしないだろう。

もし気づかれたら・・・・・コンビニにでも行っていた事にしよう。


私はコクンと頷き、歩きだした仁王君の後に続いた。




「急に悪かったのう。」

「ううん。全然平気。」

「寒く・・・・ないか?」

「うん・・・・・大丈夫。」




「大丈夫」と答えたけど、仁王君の手が私の手を掴み、ギュッと握り締めた。

ポケットに入れていたせいかその手は温かくて、冷えた手にじわじわと体温が広がる。


響く靴音はゆっくりなのに、胸に響く鼓動はとても早い。

俯いた視線を少しだけ上げると、優しく微笑んだ仁王君の視線とぶつかって、さらに鼓動が早くなった。




「なんか仁王とこうして夜中に会うとか不思議な感じだね。」

「そうじゃのう。」

「あ、そう言えばもうすぐ日付変わるんじゃ・・・・・・」




時計を見るために携帯を取り出そうとポケットに手を突っ込んだところで、

ふと、もしかして・・・・?と、思った。


彼がこんな時間に私に会いに来たのは・・・・・もしかして誕生日を一緒に迎えたかったから・・・・?

もし私が逆の立場なら、好きな人に1番に会いたいし、「おめでとう」って言って欲しい。


仁王もそう思って私に会いに来てくれたの・・・・?



ポケットの中で携帯を握り締めながら仁王君を見上げた。



不意に止まった歩み。

見た事もないくらいに真剣な瞳。


その瞳は、私の予想が間違いでないことを語っていた。



時が止まったように見つめあったまま立ち尽くす2人。

壊れてしまうんじゃないかと思うくらいに心臓が激しく胸を揺らして、息をするのも忘れてしまいそうになる。


ひゅっと風が2人の間を横切る。

それが合図だったかのように、仁王君の顔が私の顔へと近づいた。



初めて触れ合った唇。

想像していた以上にそれは柔らかくて、とても熱かった。



唇が触れた瞬間、ポケットの中の携帯が震えアラーム音が鳴る。

彼の誕生日を知らせるその音は、より私の唇を熱くさせた。




午前ゼロ時に、きみとキスを

(真っ赤な顔で「お誕生日おめでとう」と伝えた私に、「ありがとさん」と微笑んだ彼の顔は、私以上に赤かった)


****************************************


仁王誕生日企画。もうほとんど出揃ってますね。

いや~。仁王祭り最高!!ww


皆さんも楽しんでいただけてるでしょうか・・・?

あと半日。仁王祭りを満喫するぞー!!



お題は『確かに恋だった 』様からお借りしました。



よければワンクリックお願いします。
にほんブログ村 小説ブログ 夢小説へ
  にほんブログ村