夢数300突破記念  仁王夢 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

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妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

このお話は『恋して 愛して』 の番外編で、未来設定です。

『恋して 愛して』を読まなくとも問題なく読めますが、ヒロイン大阪弁で話します。






365日






「寒い・・・・。」




一面に青が広がる空に、吐き出した白い息が雲のように立ち上る。


遊歩道に並ぶ木々は赤や黄色に色を染め、秋を彩っているというのに・・・・

この気温の寒さはなんや?

もう冬って言ってもいいんやないやろか?


まだ日が照っているだけマシなんやろうけど、日陰に入ったら凍えてしまうそうなほど寒い。


もう少し厚着して着たらよかったとジャケットの前をかき合せ、

日の射す道を選びながら足早に先を急いだ。



日曜日という事で駅前は雑踏としている。

そんな中からでもすぐに目的の人物は見つかった。


壁を背に、顔は俯かせ、足先を見るように視線を落としている。


そこそこ長身のくせに猫背のせいで低く見える身長。

あの頃とは違って髪の色も落ち着いてしまった。


それでも視線を迷わせる事無く彼を見つけてしまうのは

目を引く容姿のせいか?それとも私の愛ゆえか・・・?



寒さも忘れそんな事を考えながらボーっと壁にもたれながら立つ雅治を見つめていると、

足先に視線を落としていた雅治の肩が小さく震えだした。


チラリと前髪の隙間からこちらに視線を寄こし、

そしてまた俯き、今度はさらに肩を震わせる・・・・・



アイツ・・・・・笑ってる!?



私がここから雅治を見てた事に気づいとったんやろう。

どうせアホ面で立っとるのう。とか思ってたんちゃうの!?


ほんまに・・・と、呆れながら雅治のもとへと歩み寄れば、

目の前に立つ私を見上げ、ニイッと口端をあげた。




「なに膨れっ面しとる?」

「気づいてたんならなんかリアクションしーや!。」

「俺に見惚れとるようじゃったからのう。もう少し堪能させてやろうかと思ったんじゃが?」

「そりゃどうも。」




ククッと喉で笑いながら見せるいたづらっぽい瞳。

こうして私をからかうとこや、その時見せる表情なんかは昔のままやな・・・と、思う。




「怒りなさんな。」

「別に怒ってへんけど。」

「アイス買っちゃるから機嫌直しんしゃい。」

「トリプルにしてな。」




『アイス』の文字に反応した私に、クスクスと笑いながら頭を撫でてくる雅治。


もうアイスで釣られるような年ではないんやけど、

好きなものは好きやし・・・・。


それになんだかんだでこうして雅治がさりげなく、

私の好きなアイスを食べに連れて行ってくれるのが嬉しい。



「ほな行こか?」と、歩き出せば、自然と繋がる手と手。

指を絡めればお互いの冷たい指先が少しづつ熱を持っていく・・・・


もうこれくらいじゃ照れるような事はなくなったけど、

その代わり胸に広がるのは安心感と安らぎ。


隣の雅治を見上げると、優しい瞳で私を見下ろしていて、

私と同じような事を考えてるんやろうと思った。




「あ、あそこのパン屋さん潰れてんな。」

「潰れたと言えば駅向こうのイタ飯屋も潰れとった。」
「えー?あそこのカルボうまかったのに・・・」



学生時代からよく買いに行ったパン屋さん。


一時期あんドーナツにハマってそればっかり買ってたら

店に入った瞬間「あんドーナツ今日は売り切れてないんだよ」とか言われた事もあった。

顔を覚えられるなんてどんだけ買ってたんじゃ?なんて雅治に呆れられたっけ・・・?


働き出してから見つけたイタ飯屋さん。


家庭的な雰囲気やったけど温かみがあって、料理もおいしかった。

特にカルボナーラは私のお気に入りの一品。

最近行く機会がなくてまた行きたいな・・・って思ってたのに潰れてしもたんか・・・。




「そういやもうすぐクリスマスやな」

「その前に俺の誕生日じゃろ?」

「もう誕生日祝ってもらって喜ぶ年でもないやろ?」

「去年自分の誕生日に『祝え、祝え』言うとったんはどこの誰じゃ?」

「・・・・・・・。今年のイルミネーションは何色やろな?」

「話し逸らすんじゃなか。」

「去年の青色は綺麗やったな・・・」




毎年一緒に見るクリスマスイルミネーション。


去年のツリーは青のイルミネーションでとても幻想的やった。


寒い寒いと連呼しながらも、毎年このイルミネーションを見に来ている。

たぶん今年のクリスマスもこうして2人手を繋ぎながら見上げてる事やろう。



生まれ育った街ではないけど、私がこの地に来て何年もの時を過ごしてきた。

そしてその同じ時を・・・・・雅治と共に過ごした。


私の記憶の中の思い出と、雅治の持つ思い出が同じである事。

些細な会話でその事を感じる。


街を歩けば目に入るもの全てに、雅治との思い出がある・・・。




「もう雅治としてへん事ってないかもしれんな・・・・」

「なんじゃ急に?」

「雅治と出会った年月考えるとさ、たぶん1月1日から12月31日までで、一緒に過ごした事ない日ってないんちゃう?」




1年目に逢えなかった日は、2年目に逢ってたかもしれん。

それでも逢えてなかった日も、3年目・・・・・4年目と過ごすうちに

365日全ての日を二人で過ごしたように思う。


記憶として消えてしまってる事も多いし、何年の何月何日に何をした・・・・なんて覚えてるはずもない。

それでも2人で歩んできた時間は、私と雅治の心に消える事無く刻まれている。




「まぁ確かに一緒に過ごしとらん日はないかもしれんが・・・・」

「やろ?」

「まだやっとらん事なんて腐るほどあるじゃろう?」

「たとえば?」




いつの間にか着いたアイス屋で、最近お気に入りのフレーバーを2つ頼む。

残り一つは雅治の好きなフレーバーを・・・・。


「雅治は?」なんて昔はいちいち聞いとったけど、今じゃもう聞くこともなくなった。

雅治は私のアイスを数口食べるだけで十分やし、好きな味も覚えたから・・・


そんな事がわかるようになったのも、やっぱり2人で過ごしてきた時間の長さやと思う。


だからまだやってない事とかって思いつかん・・・・。



店の奥にあるイートインコーナーで二人椅子に腰掛け、早速アイスを頬張りながら

「で?やってない事って何よ?」と問いかければ、なぜかじっと私を見つめながら黙り込む雅治。



「・・・どないしたん?」

「トータルやのうて・・・・・」

「え?」

「今までの時間をトータルしてやのうて、1年で365日一緒に過ごしてみるか?」




ふざけた口調でもなく、真剣に言葉を口にする雅治やけど、

言うてる意味がよくわからん。




「どういうこと?」

「そういうことじゃ。」




だからどういう事やねん!?


1年で365日・・・?


学生時代に比べ逢える時間も減ったし、最近はお互い仕事が忙しくて

月に1.2回会えればいい方やった。


そんな状態で、1年で365日一緒に過ごすなんて無理。


って事は・・・・?




「同棲ですか?」

「まぁそれでもええがのう・・・。」

「違うん?」




私の返答に少しがっかりした顔をする雅治。

どうやら雅治が言うてるのは同棲ではないらしい。


けど・・・・同棲以外でって言うと・・・・・




「ついでに苗字も365日一緒にしてみるとかどうじゃ?」




口に入れたアイスがさらりと溶けるかのように、

私の心に溶け込んできた雅治の言葉。


その言葉はアイスと違って口の中を冷たくする事はなく、

私の心をじわりじわりと熱くさせていく・・・・・



珍しく気恥ずかしそうに笑う雅治に、胸がキュンと締め付けられるように苦しい。


でもその苦しさは、愛しさであると私は知っているから・・・・。




「365日じゃ1年で終わってまうで?」

「365日は毎年続くって知らんのか?」




お互い口にする言葉は甘さのかけらもないけれど、

2人の心に広がるのは、熱いほどの愛情。




「クリスマス薬指あけて待っとくわ。」

「その前に俺の誕生日じゃろ?」




浮かべた微笑に涙が滲む。

だけどこの涙は、指輪と共に贈られるであろう言葉を聞くまで、流さずにとっておこう。




微笑を浮かべあう2人の距離が少しづつ縮まり、冷たい唇が重なり合う。




「愛しとるよ・・・・雪。」




365日、毎日そんな言葉を口にしてとは言わんけど、

こうして口付けを交わし、想いを伝えられたら幸せやと思う。




「私も・・・・・」

「ん?」




『愛してる・・・・』



その言葉を唇に乗せて、もう1度雅治の唇に自分の唇を重ねた―――――




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グヘヘ。ウキャキャ!!←


タイトルにも書きましたが、このブログで夢をUPして300作品目になります!!


100も200もまったくスルーやったんですけど、みかちゃんが100作品目、

なっちゃんが200作品目でお祝いしてたんで、

100・・・200・・・ときたら300やっとかなあかんのちゃうの?ってな感じでやってみました。(笑)


まだ300か・・・って気持ちと、もう300か・・・って気持ちがありますが

ここまで書き続けてこれたのも、コメを下さったり、応援してくださる方々がいてくださるからだと思ってます。


妄想のままに書いてるだけですけど、読んでくださる方にも楽しんでいただけるような夢を

これからも書き続けていきたいと思います!!


一応300作品目!!ってお祝いとして、仁王夢にしてみました。

未来設定ですね。


私はプロポーズはさりげなく「え?それって・・・?」って感じがいいので、

こんな感じにしてみました。


さすがに働き出して銀髪はないと思うので、髪の色は黒がいいな・・・と思ってます。

昨日昇華とも話してたんですけど、仁王って黒髪も似合うと思うんですけどね?


余計にエロっぽく見える気が・・・。


どなたか黒髪仁王を描いてください!!←



また明日からは連載の続きを書きます。


最後までお読みいただきありがとうございました!



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