~ こいのぼり ~
「誕生日プレゼントは何がいい?」
「麗華の膝枕。」
それがプレゼント?って感じだけど、ジロちゃんらしいといえばジロちゃんらしい答えで、
誕生日当日の今日。朝から芝生のある公園にお弁当とポッキーを持ってやって来た。
ここ数日天気がよかったけれど、今日は特に晴天で、青空がどこまでも続いている。
私の膝に頭を乗せて、仰向けで眠るジロちゃんの前髪に指を絡めながら
本当にいい天気だな・・・・と空を見上げると、視界の端に青い空を泳ぐこいのぼりが見えた。
風に揺れるこいのぼりはとても気持ちよさそうで、
「あんなふに風に揺られながらお昼寝したら気持ちいいだろうな・・・」
とか、ジロちゃんなら言いそうだな・・・・なんて思った。
「何で笑ってるの?」
「あれ?ジロちゃん起きたの?」
「うん。それでどうして笑ってたの?」
「え?笑ってた?」
ジロちゃんの事を考えるだけで顔がほころぶなんて・・・・。
私も相当重症だな・・・・。
「あのね、あそこにこいのぼりが見えるじゃない?」
「ん?あぁ~アレ?」
「そう。あんなふうに風に揺れてお昼寝したら気持ちいいだろうな・・・って思って。」
「それで何で笑うの?」
「ふふ。それはナイショ。」
内緒にされた事を不満そうに頬を膨らませていたけれど、
急に何かを思いついたように手を打って膝から頭を上げ、
自分の隣をぽんぽんと叩きながら「ねぇ。麗華も一緒に寝ようよ!」と言い出した。
「え?そしたら膝枕できないよ?」
「いいから!」
何を思いついたのかわからず、不思議に思いながらもジロちゃんの隣にゆっくりと寝転んだ。
背中に感じる芝生がこそばゆい感じだけど、
視界いっぱいに広がる空がとても開放的に思えた。
「わぁ。なんか気持ちいいね!」
「でしょ!?」
「へぇ・・・これがいつもジロちゃんが見てる景色なんだね・・・・。」
膝枕をしながら見上げた空とはまた違って見えて、
いつもジロちゃんの目にはこんな風に空が映っているんだ・・・。
そして今ジロちゃんと同じ景色を見ているんだ・・・・。
そう思うとすごく嬉しくて、さっきまでと同じ空がとても輝いて見えた。
「けど急にどうしたの?」
「ん~?なにがぁ~?」
「一緒に寝よう!なんて。」
「さっき麗華が「あんなふうに風に揺られて昼寝したら気持ちいいと思う」って言ったから・・・・・。」
「え?」
「本当に空を泳ぐなんて無理だけどさ、こうやって寝転んだら少しはこいのぼり気分味わえるかなぁ~なんてね!」
ニカッとはにかむジロちゃんに、胸が温かくなる。
確かにこんな風に寝転んでると視界は空だけで、まるで空中で浮かんでいるようだ。
「じゃぁ・・・・ジロちゃんが真鯉で、私は緋鯉かな?」
「いつかそうなれたらいいよね。」
「え?」
「な~んでもないC~!!」
いつかそうなれたら・・・・。
それって夫婦にって・・・・事だよね?
恥ずかしくって聞き返すことなんてできなかったけど、
本当にいつかなれたらいいな・・・・と思った。
「俺さぁ、自分の誕生日あまり好きじゃなかったんだよね。」
「え?どうして?」
「だっていっつも休みだC~!」
「祝日だもん仕方ないよ。」
「けど友達にも会えないし、部活も休みだしさ・・・。」
GWで旅行などに行く子も多いから、ジロちゃんはいつも寂しかったのかもしれない。
もっと早くこうやって出会っていたら・・・・なんていまさら言ってもどうしようもないんだけど、
今は私がいるよ!って伝える為に、ジロちゃんの手をギュッと握った。
「でもさ、今年は休みでよかたって思ったんだ!」
「どうして?」
「だって、1日こうやって麗華とくっついてられるから!!」
繋いだ手を強く握り返してくれて、顔だけをジロちゃんの方へ向けると、
ジロちゃんも同じように私を見ていて、なんだかドキンと胸が跳ねた。
「ジロ・・・ちゃん。」
「そっか・・・。こうやって隣で寝るのってベッドの上だけだったね!」
「んなっ!!何てこと言うのよ!!」
「へへっ!麗華顔真っ赤。」
「ジロちゃんのせいでしょ!!」
別にいけない事をしているわけじゃないけど、なんだか妙に恥ずかしくて、胸がドキドキして
まっすぐジロちゃんの目を見ていられずにそっと瞳を閉じると、温かくて柔らかい感触が唇にそっと触れた。
「麗華・・・・・家帰ろっか?」
「え・・・?ダ、ダメ!!」
「なんで~?」
「それは・・・・・えっと・・・・もう少しジロちゃんと一緒に空を見上げていたいから!」
言い訳半分。本心半分。
帰ったらどうなるかなんて考えるまでもない。
別にそれが嫌ってワケじゃないけど、今はまだもう少しジロちゃんと同じ空を見ていたいから・・・・。
「いつか子鯉も一緒に昼寝しようね!」
「え?」
「なんでもないC~!!」
「あぁ~俺のマネしたぁ~!!」
「ふふ。ジロちゃん大好き!」
「俺も・・・麗華が大好きだよ!」
流れ行く雲の下でじゃれあう私達を、3匹のこいのぼりが見守ってくれているようだった―――
Happy Birthday Jiro 5.5
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ジロちゃんハピバ!
また1日遅れになっちゃった。
話の構想は出来上がってたんですけど、久し振りに書いたからか、
やたら時間かかるし、うまく表現できないし・・・・。
駄文だぶーんで泣きそうです。(涙)
しばらくリハビリが必要ですね。今日は多少時間が取れるんで、久し振りにじっくりブログ巡りしたり、
色んな夢を読み漁って萌補給をしたいと思います!