風邪で寝込んで3日も経つのに一向にお見舞いに来ない彼氏に痺れを切らし
「来てくれないから風邪が治らないんだ!!」
なんて無茶な事を言って今日家まで呼び出した。
「なんで来てくれなかったの?」
「風邪で寝込んでるお前の姿なんて見たってつまんないからね。」
人が苦しんでるって言うのにつまんないとは何事だ!?
一瞬ムカッときたけれど、私から視線をそらし瞳を伏せる精市を見て、
彼の本心に気づいてしまった。
精市は今でこそこんな元気に皮肉めいた事を言ったりもしているけれど、
数ヶ月前。彼は生死を彷徨う病に侵されていた。
入退院を繰り返し、大好きなテニスができない日々に、
そして思うように動かない自分の身体に、何度絶望を感じた事だろう。
そんな彼を励まし、支えようと、私は何度も彼の病院に足を運んだ。
「もう来なくていい」とか、「別れようか?」とか、「こんな俺なんか捨てていいよ。」とか・・・・
時には八つ当たりだったり、突き放されたり・・・色んな事があった。
それを乗り越え、今の私達があるわけだけど、
精市は今でも病院はあまり好きではないし、白いシーツやカーテンは見たくないと言う。
そんな精市だから・・・・きっとたかが風邪であったとしても、
病で伏せた私を見るのがイヤだったんだろう・・・。
ベッドで眠る私に、過去の自分が重なって見えてしまうのかもしれない。
私は布団の中から手を伸ばし、精市の頬に手を触れた。
手から伝わる少し低い体温が、精市が傍にいるんだと感じさせてくれる。
「精市?」
「なんだい?」
「こっち見てよ。」
「・・・・・・・なに?」
ぶっきらぼうで、ダルそうな態度で私を見る精市。
だけど態度とは裏腹に、その目は不安で揺れている。
「精市は・・・・私がお見舞いに来た時、迷惑なだけだった?」
「は?」
「私は・・・何の力も精市に与えられなかった?」
そんな事ないよね?
頑張れたのは、みんなの・・・そして私のおかげだって言ってくれたよね?
「私の為に・・・早く元気になるよって言ってくれたじゃない。」
「・・・・・。」
「だから私も、お見舞いに来てくれた精市の為に、早く元気になるね?」
そう言いながら微笑んで見せれば、精市もやっと笑顔を見せてくれた。
精市を悲しませないためにも、病気はなるべくしないようにするね。
だけどもし病気になっても、ちゃんとお見舞いには来て欲しい。
それが私の元気のもとになるから。
それが何よりの薬になるから・・・・・。
「なら早く元気になりなよ。俺の為に・・・・」
「うん。」
ゆっくりと二人の小指を絡め、微笑みながら約束を交わした。
お見舞いの効用
(元気になったら溜まったもの発散させてくれるんだよね?)
(溜まったって・・・・・ストレス・・・・・・?)
(ふふ。俺に言わせたいのかい?)
******************************************
甘さもへったくれもない。
どうすんのコレ?ww
かなり前にお見舞いシリーズを書いたんですけど、そのユッキーですね。
UPすんの忘れてたみたいなので今更ですがUPしてみたww

にほんブログ村 ←ワンクリックお願いします☆