~ 春になれば・・・・・ ~
雲に覆われた空には黒い雲が沢山浮かんでいて今にも雨が降ってきそう。
そんな空の下を私は全速力で走っていた。
早く知らせたい。
誰よりも早く、1番に伝えたい。
1軒の家の前で足を止め、息を整える間もなくチャイムを押せば
中から間延びした声が聞こえ、私が会いたくて仕方なかった人物がヒョコリと顔を出す。
「ブン太!!」
「うぉ!?侑莉!?お前どうしたんだよ!?」
まさか私とは思っていなかったのかかなり驚いた顔をしているけど、それくらいで驚かれちゃ困る!
私は詰め寄るようにブン太に近づき、ズイッと1枚の紙切れを目の前に突き出した。
「受かったの!!」
「は?」
「合格したの!!!」
「え?・・・・・マジで?」
何の事かさっぱりわかってなかったようだけど、私の言葉の意味を理解したのか
見る見るうちに笑顔になって、ガバッと私を抱きしめてくれた。
「すげぇじゃん!侑莉!!」
「うん。」
「めちゃくちゃ頑張ってたもんな・・・。」
「うん。」
「・・・・これで春からは同じ学校だな!!」
「うん!!」
ブン太とは小学校の同級生だった。
そこそこ仲もよかったし、淡い恋心なんてものもちょっとはあった。
だけどブン太は私立の立海へ・・・。
私は地元の公立中学へ・・・・。
学校が違えばいくら同じ地元といってもそうそう会う事なんてない。
気がつけばすっかり思い出の人物となってしまっていた。
そんな私達が再会したのは、去年の夏にあった同窓会。
昔の面影を残しつつも、めちゃくちゃカッコよくなったブン太に私は再び恋をした。
そして嘘みたいな話だったけど、ブン太も私を好きになってくれた。
ブン太と付き合えただけで幸せだったし、毎日は無理でも学校帰りに待ち合わせしたり、週末に遊んだり・・・・。
順調そのものって感じだったと思う。
だけど人間って欲深いもので、最初はそれでもよかったのに、
もっと逢いたい・・・・もっと一緒にいたい。そんな欲求がどんどん大きくなる。
私って我がままだな・・・・。って自己嫌悪になりかけた時、
そんな私にブン太が「高校は一緒の高校通う気とかねぇの?」と言ってくれた。
ブン太も同じ気持ちだったと知ってどれほど嬉しかった事か・・・。
私の成績じゃ正直ギリギリラインだったけど、死に物狂いで勉強をしてきた。
受験の日は学校は休みだったブン太だったけど、
朝は校門の前まで送ってくれたし、試験が終わった後は迎えにも来てくれた。
「合格したら毎日こうやってすごせんだな?」って笑って言ってくれた言葉は今でも忘れない。
玄関先で抱き合ったままの私達だったけど、今はこのまま離れたくなくて
ブン太の体にに回した腕にギュッと力を込めると、ブン太も同じように抱き返してくれた。
「ねぇブン太。同じ学校に行ったら何したい?」
「まずお前の事皆に見せびらかす。」
「そ、そんな事しなくていいよ!!」
「なんでだよ?俺の彼女だ!って言っとかなきゃ変な虫がついたらどーすんだよ!」
「つかないよ・・・・・。」
「あ、それから、弁当一緒に食いてぇ!!もちろん侑莉の手作りな!」
「味の保障はしないよ?」
「侑莉が作ったのならうまいに決まってる!あとは・・・制服デートとかしてぇ!」
「今までもしたことあるじゃん!」
「わかってねえな・・・・。同じ制服で!ってとこに意味があんだよ!」
私以上に嬉しそうに微笑むブン太に胸が熱くなる。
こんな笑顔をこれからは毎日見れるんだね・・・。
「同じクラスになれたらいいね・・・。」
「もし違っても会いに行くからよ。」
「うん。」
「これからは会いたい時に会えんだな・・・。」
「うん。」
「マジ嬉しい・・・・。」
いつの間にか降り出した雨が地面を濡らしていたけれど、
太陽のように輝くブン太の笑顔が、これからの私達の未来を照らしてくれているように思えた。
「あ、合格祝いまだだったな・・・・。」
「え?ケーキでも作ってくれるの?」
「違ぇよ。こういう事。」
いたずらっぽい笑顔を浮かべながら重ね合わされた唇。
寸前までお菓子でも食べていたのか、甘いチョコ味のキス・・・・。
大好きなブン太の腕の中で、私は最高の合格祝いをもらった。
「合格おめでとう・・・・・侑莉」
同じ制服を着て、同じ門を潜り、同じ校舎で時を過ごすまであと数ヶ月―――
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侑莉ちゃん。合格おめでとう!!
今皆さん受験シーズンなんですね・・・・。
懐かしいな・・・受験。ww
ブン太にお祝いして欲しい!!ってリクだったんですが・・・・・・コレは祝ってもらってんのか?
微甘・・・って感じですね・。
次に本命校の受験があるみたいなんで、そっちも無事に合格したら
今度はもっと甘いのをプレゼントするね♪だから頑張って!!ww
受験中の皆さんも頑張ってくださいね!!