~ あなたがいれば・・・・・ ~
初めて大好きな人と二人で過ごすクリスマス。
イルミネーションを見ながら、キラキラした街を手を繋いで歩く。
プレゼント交換をして、お互い微笑みあいながら引き寄せられるようにキスをして・・・・
そんな乙女チックな夢を見たりもしたけれど、現実はそう甘くない。
まだ中学生の私達。
お互いお金もないし、うちの親はうるさいから夜に外出なんて許してもらえそうにない。
それでもやっぱりせっかくのイブだもん。
少しでもいいから、大好きな人と一緒にいたいって思うでしょ?
その想いは私だけじゃなく、英二君も同じ想いでいてくれたみたい。
「どこにも連れて行ってあげれないけど、二人で過ごしたい。」
恥かしそうにそう言ってくれた。
今私達は制服姿で、見慣れた教室の窓側の席で向かい合うように座り
真ん中の机には、私が作った決して上手とは言い難いケーキが1つ。
その脇にはペットボトルのミルクティーと炭酸ジュース。
色気もムードもあったもんじゃないけど、目の前に英二君がいてくれるというだけで、
私にとっては、とっても素敵なクリスマスだ。
「あまり上手じゃなくてごめんね?」
「なんで?すっげぇ上手だよ!ね?食べていい?」
「うん。」
お金がないといってもやっぱりケーキくらいは欲しいよね・・・って事で、
英二君からのリクエストで作ってきたケーキ。
見た目は悪いけど、味はまあまあだと思うんだけど・・・
「うまい!!」
「本当?」
「うん!」
誰に褒められるより1番嬉しい!
料理はどっちかといえば好きだけど、好き=上手とは限らない。
それでも一生懸命作ってきたケーキだから・・・。
おいしそうに食べてくれる英二君を見てるだけで、自然と笑顔になってくる。
ニコニコと笑みを浮かべながら英二君を見ていると。
お返しとばかりに満面の笑みを浮かべたの英二君が
「ほら、ユキちゃんも食べなよ!」と、フォークに乗せたケーキを差し出してきた。
「え・・・?」
「ほい。あーん。」
「・・・あーん。」
口に広がるクリームの甘さ・・・・。
だけどそんな甘さより、もっと甘い気持ちが胸いっぱいに広がる。
まだ付き合いだして3ヶ月を過ぎたくらいの私達。
この間やっと英二君から手を繋いでもらったばかりで、
それだけでも心臓が破裂しそうなくらいドキドキするのに、
今のって・・・・・・間接キス・・・・・・だよね?
英二君はまったく気にしてないみたいだけど、
私は恥かしさで顔は真っ赤だろうし、嬉しくてにやけてしまいそう・・・・。
そんな顔を見られたくなくて、誤魔化すように、
「あ、ここから駅のイルミネーションが見えるよ!」なんて言いながら立ち上がった。
時計の針はまだ5時を過ぎたところだったけど、
夕陽がさしていた教室はいつの間にか蛍光灯の灯りだけになっていて、
窓の外も、すでに夜へを姿を変えている。
その窓から見える駅前のイルミネーションは小さいけれどとても綺麗だ。
窓に張り付くようにその景色を見ていると、パチン。と突然教室の電気が消えた。
「え?」
「こうした方がよく見えるでしょ?」
振り返れば英二君が入り口付近の電気のスイッチを切ったようだ。
教室の明かりがなくなった事で、確かにイルミネーションがはっきりと見える。
「きれい・・・・。」
キラキラと輝くいる光りの結晶を食い入るように見つめていると
窓に置いていた手に英二君の手が重なり、背中には英二君の温もり・・・
あまりに驚きすぎてそのままの体勢で固まっていると、
その手をとったまま、私の体を包み込むように抱きしめられた。
背中から伝わる英二君の鼓動
首元に感じる英二君の吐息
「こんなクリスマスでゴメンな・・・。」
「どうして謝るの・・・・?」
「何のプレゼントもないし、どこに連れて行ってやれるわけでもない・・・・」
お互い納得してこのクリスマスを迎えたはずなのに、
英二君はまだ気にしていたんだね・・・・
私は腕の中で向きを変え、見上げるように英二君と視線を合わせた。
「私は英二君と過ごせるだけで十分幸せ。プレゼントならたくさん貰ったよ。
英二君の笑顔。英二君の優しさ。英二君の気持ち・・・。私・・・今幸せで胸がいっぱいだよ?」
「ユキちゃん・・・。」
「大好き・・・・英二君。」
心臓が飛び出てきちゃいそうなくらいバクバクして、手なんか少し震えているけど、
最大の勇気を振り絞って、英二君に私の心の全てを伝えた。
うまく笑えているかな?
ちゃんと・・・・届いたかな?
一瞬驚いたような顔をした英二君だったけど、すぐに私の大好きな笑顔を浮かべ
少し苦しいほどに私を抱きしめてくれた。
「俺も大好きだよ。」
「うん。」
「俺、ユキちゃんの事、本当に大切にしたいと思ってるから・・・。」
「うん。」
「だから・・・・ずっと傍にいて。」
「うん。」
「俺だけを見てて。」
「うん。」
「来年も一緒にクリスマス過ごそうな。」
「うん。」
「再来年も・・・その次も、ずっとずっと・・・・」
「うん・・・。」
「・・・・・・キス・・・していい?」
思わず「うん。」と言いかけて、言われた言葉に慌てて顔を上げた。
恥かしそうに、だけどその目は真剣に私を見ている英二君。
普段と変わらない教室に、不恰好なケーキと、味気ないペットボトル。
夢に描いたようなクリスマスではなかったけれど、
大好きな英二君がいてくれる。
それが、何よりも最高のクリスマス。
私は小さく「うん」と頷いて、瞼をゆっくりと閉じた。
二人で贈り合ったプレゼントは・・・甘いクリーム味のKISS ――
A Merry Christmas to you
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Xmas企画、第1弾はユキ様リク 英二ドリームでした。
ピュアラブ。って事でしたので、お互いウブウブに仕上げてみましたが
こんな感じでよろしかったでしょうか?
ユキさんの思う英二はちょっとかっこいい感じの英二だと思ったんですが
どうも私の中の英二は可愛い子ちゃんキャラでして・・・・。
何とかカッコよく頑張ってみたんですがコレが限度です。(苦笑)
お子様達と楽しいクリスマスをお過ごしくださいね♪
企画参加&リクありがとうございました!