テニプリ 逆ハー連載 番外編 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

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妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

*このお話は「七転び八起き」という連載の番外編です。

コレだけでも問題なく読めるいと思います。




別に何が欲しいわけでもない。

言ってもらえるならそれはそれで嬉しいけれど、

例えなんの言葉がなくたってかまわない。

ただ・・・・・・・・お前に逢いたい。



七転び八起き  -番外編 -


- ハッピーバースディの奇跡 



携帯を握り締めながら、同じ道を行ったり来たり・・・。

偶然という奇跡でも起きたらと思ったけれど、そんな甘い考えはもう捨てた。

だけどどうしても通話ボタンを押す勇気がない。

もし繋がったとしてなんて言う?


「よう。今近くにいるんだが会えねぇか?」

何の為に!?

っつーか近くにいるってのがまずおかしい。

あいつと俺の家は決して近くはない。

わざわざ来ない限り、こんな所にいるなんてありえない。


「渡したいものがあってよ・・・。」

って、今何も持ってねぇし!!

その前に何を渡すんだって話しだよな・・・。


そんな事を考えているとまたさっきの公園の前まで辿り着いた。

公園内で遊んでいる子供達の母親らしい集団が、俺を見て何やらひそひそと言っている。

そりゃこんな黒光りがウロウロ同じとこうろついてたら怪しいよな・・・。

俺は逃げるように公園に背を向け、さっき来た道を戻りかけた。

と、その時・・・・。


「ザッカル君!!」


俯き歩き出した前方から、今日俺が聞きたいと思っていた・・・・

逢いたいと願っていた・・・・、あいつの声が聞こえた。


「原!?」

「どうしたの~?ビックリ~。」

「お、おぅ。久し振りだな!!」

「久し振りって・・・まぁ・・・2日ぶり?」


落ち着け俺!!

不思議そうな顔をする原に焦る俺。

このままじゃ怪しまられちまう!!


「で?どうしてこんなとこいてるの?サッカル君って家この辺だった?」

「いや・・・あ、あのよ・・・・。」

「確か・・・第3小学校だったよね?って事は全然違うじゃん!」

「あ・・・・・その・・・・。」

「誰か友達がいてるとか?この辺誰かいたっけ・・・?」


ヤバイ!

この辺誰がいる・・・?誰も思いつかねえ・・・。

なにか・・・・何か言わないと!!!


「迷子になったんだ!!!」

「へっ?」


終わった・・・。俺はもう終わった・・・。

何で迷子なんだよ・・・・。

他になんかあんだろう!?

見てみろ!原が呆れた顔してんじゃねーか!!


「ザッカル君迷子なの?」

「そ、そう・・・みたい・・・だな。」

「あはは。ザッカル君もしかして方向音痴!?」

「え?ど、どうだろうな・・・?」

「私もなんだよね・・・。でもさすがに地元じゃ迷子にならないよ!!」

「そりゃ・・そうだろな。」


もともとカッコイイイメージなんて俺に持ってないだろうけど、

この歳で迷子だなんてカッコ悪すぎる・・・・。

やっぱり来るんじゃなかった・・・。

会えて嬉しかったはずの気持ちが沈んでいく。

いや、一目でも会えるだけでいいと思ってきたんだ。

目的は叶えられた。もういいだろう・・・。


「原、俺・・・・。」

「どこに行きたかったの?よかったら案内するけど。」

「え?」


道思い出だしたから。とか適当な理由をつけて立ち去ろうとしたのに

まさか原からそんな申し出があるなんて・・・。


ここで断ればもうサヨナラだ。

だけど、このまま迷子のフリをすれば・・・・。


「いいのか?」

「うん。駅前の本屋に行こうと思っただけだし。」

「そうか・・・。わりぃな。」


悪いだなんて思ってない。

俺は嬉しくて緩みそうな頬を必死で引き締めた。


「で?どこ行こうと思ってたの?」

「えっと・・・用事はもう済んだんだ!!帰り道がわからくなって・・・。」

「じゃぁ、駅でいいのかな?」

「ああ。」


駅前の本屋に行くと言っていた原の言葉を思い出し、

駅までの案内を願い出た。

ここからだと15分くらいで着くはずだ。


たった15分・・・。


だけど今日、俺の1日の中で1番充実して、そして幸せな、夢のような時間だった。




「後は電車に乗るだけだから大丈夫だよね?」

「ああ。助かったよ。」

「いいって。ザッカル君の新しい一面を知れたしね!」


俺は別に方向音痴じゃないけどな。

だけど、こんな風に一緒に過ごせるならそれでもいいか・・・。


「あっ!ちょっと待ってて?」

「あ?おい!!原!?」


突然走り出した原は、駅前の側道に停められた軽トラックに駆け寄り

何やら茶色い紙袋を抱えて戻ってきた。


「お待たせ。」

「いや、いいけどよ。なんだそれ?」


大切そうに抱えた紙袋からは、白い湯気が立っている。

それってもしかして・・・?


「焼き芋!!好き?」

「まぁ・・・嫌いじゃねーけど・・・。」

「そっか。よかった。あげる!」


嬉しそうに微笑みながら紙袋を俺の方へと差し出す。

え・・・?俺に・・・?


「いいって!原が買ったんだろ?お前が食えよ!」

「私は帰りにまた熱々の買うから!!」

「でも・・・。」


躊躇する俺の手を取り、無理やり抱えさせると

「温かいでしょ?」と満足そうな笑みを浮かべた。


「あったかいけどよ・・・。」

「私の気持ちもこもってるしね!!」

「は?どう言う意味だ?」

「ハッピーバースディ!!ザッカル君!!」


まさかの連続で俺は礼を言う事も忘れ、

「じゃあ気をつけて帰ってね!!」と、去っていく原の背中を

見えなくなるまで・・・・ずっと見つめ続けた・・・・。





別になにが欲しいわけでもない。

言ってもらえるならそれはそれで嬉しいけれど、

例えなんの言葉がなくたってかまわない。

ただ・・・・・・・・お前に逢いたい。



そう思ってここまで来たんだ。


だけど、俺の手の中にはお前がくれた熱々の焼き芋があって、

笑顔のお前が「おめでとう」と言ってくれた。


帰りの電車に揺られながら、俺は手の中の温もりを、

大切に・・・大切に抱きしめた・・・・。 


                                Happy birthday Jackal 11.4        

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ザッカル君ゴメンよ・・。

君の誕生日に気付いたのが21時でした(笑)

めっちゃ短いけど、間に合ったからいいよね!?←

しかもこんな誕生日でいいのかよ!?って感じですが

本人幸せそうなので許したってください!ww


ザッカル君お誕生日おめでとう!!

いつまでも変わらず、優しいザッカルでいてください!


「ジャッカル」のスペルがわからず適当です(ヲイ)

間違ってたら教えてください!!!orz