ギャグでもなく・・・・甘くもなく・・・なんだろう?ww (ブンちゃん夢) | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

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妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

「恋して 愛して」の番外編のような話です。

だけど仁王は一切出てきません。ww

お相手はブンちゃんですが恋愛要素はないです。

このお話だけでも問題なく読めると思いますが、よければ本編もどうぞ(宣伝)







女友達って言うより男友達に近い感覚。

育った環境か土地柄か・・・・?

ノリがいいから俺達のバカみたいな話にもついてくるし

あいつ自身おもしろいし、変に気を使わなくていい。

まだ出会って数ヶ月なんて信じられねぇくらい俺達に馴染んでたし、

それが当たり前だと思うようになっていた。


仁王がアイツを好きだと気付いた時には驚いた。

だってさ、仁王が今まで付き合ってきたタイプと全然違うし

まぁ・・・ブサイクでもないけど・・・・普通?

アイツ等が付き合いだしたのはなんか不思議な感じだったけど

だけど別に俺達の関係が変わるわけでもねぇし、

「友達」だけだったのが、「友達の彼女」って項目が増えただけ。

そう、それだけ・・・・。

だから俺達はずっと友達なんだ・・・。






~ 知ってしまった女の顔 ~






週末の日曜日。


新生立海レギュラーの試合があるらしく、

「見に行くよ。」と幸村君の一言で、元レギュラー全員で見に行く事になった。


赤也がどんな部長っぷりなのかも見たかったし、その日は暇だったので即OKした。

まぁ・・・拒否権なんてなかったけどさ・・・。


当たり前だけど試合結果は立海の圧勝。


俺達がいなくなっても常勝立海は健在だ。

今夏の雪辱を赤也に託すってのはなんか癪だけど、来年こそは再び王者の座を奪い返して欲しい。


試合後に真田達が赤也にアドバイスというか、説教みたいなのを始めだした。


こうりゃ長くなりそうだ・・・。


そう思った俺は「用事あるから先帰るわ。」と声をかけ、そそくさとその場を後にした。


変にあの場にいて巻き添え食らったらたまんねぇしな。

それに腹へって倒れそう・・・・。

とりあえずなんか食おうかな・・・・?


駅に向かいながら何か旨そうなもの売ってないかと

辺りを見渡しているとなんだか見た事あるような後姿を見つけた。



「萌木?」

「あれ?丸井やん。なにしてんの?」

「お前こそ。」

「私はちょっと用事。もう帰るけどな。丸井は?確か今日試合見に行くんじゃなかった?」

「おぅ、その帰り。真田と柳の説教が始まったから抜けてきた。」

「あぁ・・・なるほど。・・・雅治は?ヤツが1番に抜け出しそうやけど?」

「アイツは試合終了と共に消えたぜ。ホントによ・・・。」



最後の試合が終わった瞬間隣にいた仁王は消えていた。

もともと嫌そうだったしな・・・。



「お前も来ればよかったのに。」

「用事があったんやって。それに雅治が来るなって・・・。」

「なんでだよ?」

「さぁ・・・・?」



それはなんとなくわかる。

仁王は幸村君を萌木に近寄らせたくないんだろう。

この俺でも幸村君が萌木を好きだってのに気付いたくらいだ。

仁王が気付いてないわけがない。


しかしなんでコイツなんだろう・・・?

モテそうにも見えないし、女としての魅力なんてまったくない。

料理はうまいみたいだけど、カワイらしい仕草をするわけでもないし

今日だってホラ・・・私服だけどパンツスタイルのボーイッシュな感じ。

そういう格好キライじゃないけど、彼女にするならカワイらしい感じがいい。



「ところでさ、お前腹へらね?」

「減った減った!丸井も?」

「おう!なんか食いに行こうぜ!!」

「あのカフェは?」

「う~ん・・・・ちょっと移動すっけどケーキバイキング行こうぜ!」

「はぁ?ケーキ?なんでケーキやねん!?」

「いいだろぃ!体動かした後は甘いもの食いたくなるんだよ!」

「あんた見てただけちゃうの?」

「いいからいくぞ!」



文句を言う萌木の背中を叩き、人ゴミの中駅に向かって歩きだした。


ケーキバイキングに女を誘うのは初めてだ。

だって一緒に行っても1,2個食べておなかいっぱい。とか言うしよ。

どうせ一緒に食うなら同じようにガッツリ食ってくれるヤツの方がいい。

そのへんコイツなら俺と張り合うくらい食いそうだしな。


今日はなん個食おうか・・・?

最高記録いっちゃうかもな~♪


なんて考えながら俺は駅の改札をくぐった。



駅は時間的なせいかやたらと混んでいてすごい人だ。

ホームに溢れる人たちの中、なんとか先頭に並び電車を待つ。



「電車乗ってまでケーキバイキング行かんでもよくない?」

「それくらいの価値があるウマさなんだって!」

「私は今すぐこの空腹を満たしたかった・・・。」



そんなことを言い合っていると電車が来た。

後ろからの勢いに押される様に電車の中へと流れ込み

押さえつけられるような圧迫感を背中に感じながら

苦しそうな萌木を壁際に寄せ、倒されないよう足を踏ん張る。



「大丈夫か?」

「うん・・・すごいなぁ。こんな満員電車初めてやわ。」

「俺も・・・。」



登下校の電車ラッシュでもここまで酷いのは今までない。

電車が揺れるたびに左右後ろから与えられる圧力に耐え切れず

萌木が背にする壁へと手をついた。



「わりぃ・・・ちょっと我慢してくれ」

「いいけど、大丈夫?」

「そんなヤワじゃねぇって!」



とは言えグイグイと押される力に支えている手が震える。


ヤバイ・・・・。


そう思った時、カクン・・・と伸ばしていた肘が折れ

そしてそのまま背中が押され壁へと押さえ込まれた。


いてぇっつーの!!

誰だよ!?押してくんな!!


なんとかもう1度肘を伸ばそうとしても、押さえ込まれた力が強すぎて体を起こせない。

肘でなんとか支えた体は萌木を押さえつけていて・・・・・・・・・って・・・・えぇ!!??


頬に感じていた髪は俺の髪ではなく萌木の髪。

そして身長がほとんど変わらねーせいで、顔をずらせばすぐ横に萌木の顔が・・・・・。


体同士は完全に密着していてなんだかこの体勢って・・・。


抱きしめてるみたいじゃね・・・・?


ちょっと待て!!

何考えてんだ俺!!


何とか離れようと思っても、俺が動けば萌木は苦しそうだし・・・。



「・・・おい。大丈夫かよ?」



とりあえずしばらくはこのままでいるしかない・・・。

そう思って萌木に声をかけた。



「・・・うん・・・。」

「わりぃな・・・・苦しくないか?」

「・・・・うん・・・。」



やっぱり苦しいのか?

いつもとは違ったか細い声で俯いたまま顔を上げない萌木。

それに少しだけ髪の隙間から見える顔が赤い気がする・・・。



「やっぱ苦しいんだろぃ?」

「っ・・・・大丈夫・・・。」



なんだか様子がおかしい気もするけど

大丈夫って言ってるわけだし、ま、いっか・・・。


それにしても狭い・・・・。

後どれくらいで次の駅だったっけな?

はぁ・・・・。


息苦しさと体勢の辛さで思わず溜息が漏れた。


ん?


今一瞬萌木の体が震えたような・・・・?



「どうかしたか?」

「な、なんでもない!」

「お、おう・・・。」



なんだか怒ったような声が返ってきて、何で怒ってんのかわかんねーけど、

それ以上話しかけるなとでも言われてる気がして、俺は口をつぐんだ。


なんなんだ・・・?


いつもの萌木らしくないっつーか・・・・。

正直変だ。


そんな心配をしていると、カーブで電車が傾き、また背中に圧力がかかる。


く、苦しい!!



「ふぅ・・・・」

「んっ・・・・。」



え・・・・?

俺の溜息に混じり、微かに聞こえた声に耳を疑う。


今どこから聞こえた・・・?


しばらく耳を立てていたがもう聞こえてはこない。

空耳か・・・?なんだよ・・・焦ったってーの・・・・。

はぁ・・・。



「っん・・・・。」



っ!?

間違いねぇ!!絶対聞こえた!!

しかも今のって・・・・・・。

萌木!?


萌木を見ると、さっき以上に耳が赤い!

なんだよ!?今の声コイツが出したわけ!?

ありえねぇ~!!

だって・・・今の声ってまるで・・・・・・・・



「ま・・・まる・・い?」

「な、なんだよ。」

「あの・・・・さ、顔の位置・・・・ずらしてくへれん?」

「え?」

「その・・・・・・息が・・・・・」

「息?」

「っ・・・・。耳や首筋に当たって・・・・その・・・・・」



そこで俺はやっと萌木が言わんとする事に気づいて、慌てて顔を反対側へと向けた。

本当なら身体も離してぇけどこの状況じゃ顔を背けるくらいしか出来ねぇ・・・・。



「わ、わりぃ・・・。」

「いや・・・私の方こそごめん。」



二人の間に妙な沈黙が流れる。

こういう沈黙は正直苦手だけど、何も言葉が出てこない。


さっきのあの声が耳について離れなくて、意識ぜずにはいられない!


だって・・・・あれってそういう事だろう?

俺の息に・・・・その・・・・感じ・・・・・・・て・・・た?


密着する体が、さっきはそれほど何も感じなかったのに

急に熱を持ったように熱くなって、萌木に聞こえちまうんじゃないかと思うほど鼓動が音を立てる。


やべぇ・・・。

どうしよう・・・。


思わず知ってしまった、コイツの女の顔。

今まで女だと思っていなかったのに、1度そう思ってしまうともう以前のようには見れなくて・・・。


そっか・・仁王の前じゃいつもこんな顔であんな声出すんだな・・・

って俺なに考えてんだ!?

忘れろ!!忘れろ~!!


そうだ!ケ、ケーキなに食おう?

いちごのショートとか食いてーかも!

赤い苺が・・・・・・赤い・・・・・って何でそこでさっきの萌木の赤い耳が浮かぶんだよ!


どんなに忘れようとしても忘れられなくて、もう考え出したら止まらなくて・・・・


そう言えば髪から匂ったシャンプーの香りがいい匂いだったな・・・とか、

近くで見たら以外と肌が綺麗だったな・・・とか・・・・

そんな事ばかりが頭の中をぐるぐる回る。


そしてこれは男の性か・・・・・さっきの声がもう1度聞きたいと思ってしまう・・・・。



背けた顔を逆に向ければ・・・・・・。


だめだ!!萌木は仁王の彼女だぞ!?


でも声聞くくらいいいんじゃね?


ダメだって!声聞いてどーするっつーんだよ!!



二人の俺が脳内でああだこうだと言い合っている。


悪魔の囁きに負けるなと必死に抵抗してみせるが、思春期の男の欲望には勝てなかったようで、

俺はゆっくりと萌木の方へと顔を向けた・・・・・・。


『―――。右側の扉が開きます。』



萌木の方へと顔を向けきる前に車内にアナウンスが流れ、

そのすぐ後に電車は駅へと到着し、乗客が次々と降りていく・・・・


背中を押されていた圧迫感もなくなり、自然と萌木と俺の身体が離れてしまった・・・・。



「あ・・・・・・」

「はァ・・・。苦しかった・・。なぁ丸井?」

「お、おう!」

「ん?どないしたん?」

「な、なんでもね・・・・・。」



くっそー何でこのタイミングなんだよ!という残念な気持ちと、

よかった・・・・。と、どこかホッとした安堵感で複雑だ・・・・。


萌木はさっきの事なんて気にもしてないように、他愛もない会話をはじめ

一人ペラペラとしゃべり続けていたけど、話の内容なんて全然頭に入ってこなかった。



そのうち電車は目的の駅に着き、ケーキバイキングの店へと向かって歩いていたが

どうしても視線がうなじや唇にいってしまうし、萌木の顔を正面からなんてとても見れない。


このままじゃマジで俺やばい!

何がやばいのかわかんねーけど、やばいと思う!



「わりー!俺もう帰るわ!」

「はぁ!?」

「じゃ、じゃーな!!」



後ろで萌木が俺を呼んでたけど、俺は振り返ることもなく、

「仁王ごめん!!」と、心で何度も謝りながら、数駅先の家まで全力疾走で帰った。




結局腹は満たされる事がないままに家まで辿り着いた俺だったけど、

言いようのない罪悪感と、イケナイ事を知ってしまった高揚感で夕飯を2回しかお代わりできなかった。


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恋愛でもなく、友情でもなく・・・。

けどこういう事って若い時はあったような気がする・・・・。←


意味のない話ですみません。(笑)



昔に途中まで書いて放置していた作品をちゃんと書き上げてみました。

途中放置の話が他にもあるので、ちょっとづつ消化していこうと思います。

リハビリリハビリ。ww