宍戸さんお誕生日おめでとう!!(夢) | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

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妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

君の隣 宍戸Side  を先にお読みください。




いつも傍にいてくれた存在。

その優しさに甘えていた罰・・・?

何度ごめんなさいを言っても言い足りない・・・。

本当にごめんね。

あなたの事はとても大切な存在だけど、

私の心を捕らえて離さないのは・・・あの人だけだから・・・・。



- 君の隣 - ヒロインSide



あの台風の日から、宍戸先輩の態度がどこかよそよそしい。

引退後もあれほど毎日来ていた部活にも顔を出さなくなった。

電話をかければ出てくれるし、メールにも返事をくれる。

だけどなぜか壁があるように感じずにはいられなかった。


もう私の事好きじゃなくなったんだろうか・・・・?


そんな考えが浮かんできて慌てて消し去る。

宍戸先輩は良くも悪くも心に正直な人だから絶対に嘘は付けない。

だからきっと、私にもう気持ちがないのなら

こんな形でズルズル付き合いはしないだろう。


ならなぜ・・・・・・?


どうして前のように微笑んではくれないのだろう・・・?

あの大きな手で、頭を撫でてくれないのだろう・・・?

私を見つめる瞳が・・・・悲しそうなんだろう・・・・?



「功?何か考え事?」

「え?あ・・・・ううん。なんでもないよ。」


先輩が部活に来なくなってから、私は長太郎君と帰っている。

先輩と付き合う前はずっとこうして帰ってきたわけだし、

先輩と帰りだしてまだ数週間ほどなのに、

隣にいるのが先輩じゃない・・・それがとても寂しい。


「お前が好きだ。付き合ってくれ!」

真剣な目で想いを伝えてくれたのも

「お前すぐ転けそうで危ねぇからな!」

そっぽを向いて顔を赤らめながら初めて手を繋いでくれたのも

こうやって学校の帰り道の事だった。


隣を見上げれば、幼い頃から気付けばいつもそばにあった微笑が

私に向けられている・・・・。

私もつられる様に微笑み返したけれど、

今見たいのは・・・・この微笑じゃ・・・・・ない。


住宅街に入り人通りも少なくなった頃

突然歩みを止めた長太郎君が街灯の下で佇む。

「どうしたの?」

そう声をかけても俯いたままの長太郎君から返事は返ってこない。

首をかしげながら長太郎君へ歩み寄った時・・・

突然伸ばされた腕に閉じ込められてしまった。

胸に顔を押し付けられ痛いくらいの腕の力で抱きしめられる。


「ちょ、長太郎君!?」

「・・・・・・。」

「ねぇ・・・痛いよ・・・・。」

「・・・・・・。」

「ちょうた・・」

「俺なら・・・・」

「・・・え?」

「俺なら功にそんな顔させない・・・・。」


絞り出すように苦しそうな声が耳元で聞こえ押し返す腕を止めた。


「最近の功は泣きそうな顔ばかり・・・。

そんな顔させてるのは・・・宍戸さんのせいだろ?

あの日からずっと・・・・功は笑ってない・・・。

表面だけの笑顔で、俺には泣いているように見えるよ・・・。」


今までずっと傍にいてくれた長太郎君には

私の作り笑いなどお見通しなのだろう・・・。


「俺なら功を悲しませるようなことしないよ。

いつだって功を見てたんだ・・・・。

功の隣には・・・俺がいるべきなんだよ。

いままでも・・・これからも・・・・。」


声がどこか震えて聞こえるのは気のせい・・・・・?


「俺はずっと幼馴染なんかじゃなく・・・・

一人の女の子として・・・功が好きだったよ。

ねぇ・・・功。俺を選んでよ。俺を好きに・・・なって・・・・。」


こんな長太郎君の声を聞くのは初めてで、

顔は見えないけれど泣いているように思えた。


私は・・・何を見ていたんだろう・・・・。

いつも傍にいてくれた長太郎君。

どんな時も私を助けてくれて、私を支えてくれた。

その優しさに甘えてばかりで、その奥に眠る想いに気付かなかった。

こんなに傍にいたのに・・・。

誰より近くにいたのに・・・・。


ごめんなさい・・・・・。


言葉にしようと思うのに・・・涙がそれを邪魔をする・・・。

言葉の代わりに涙を溢れさせ、

それが染みとなり長太郎君のシャツを濡らす・・・・。


「どうして泣くの?」

「・・め・・・さい・・・・。」

「そんな言葉聞きたくない。」

「ごめんなさい・・・・。」

「謝って欲しくなんかない!!」


指が食い込むほどの力で肩を掴みガクガクと揺らす。


「俺じゃダメなの?」

「ごめんね・・・。」

「俺なら幸せにしてあげられる!」

「・・・・私の幸せは・・・・宍戸先輩の隣にあるの・・・・。」


嗚咽を堪えながら必死に思いを伝える。


「長太郎君は私にとって掛け替えのない人だよ。

それはいままでも・・・これからだって変わらない・・・。

だけど・・・・好きなのは宍戸先輩一人なの。

私の心を幸せで満たしてくれるのは・・・宍戸先輩だけなの!」


そう・・・・例えこのまま先輩の気持ちが離れてしまったとしても・・・

私の幸せは・・・先輩の隣にいること・・・・。


止まることない涙を溢れさせながらもその目を逸らす事無く

長太郎君に届くように・・・この思いが届くように・・・。

一言一言を伝える・・・・。


どれほど時がたったのか・・・・?

吹き抜ける風に体を震わせれば

鞄から取り出したジャージを肩にかけてくれた。

そしていつもと変わらない、あの優しい微笑で、

「わかってたよ。だけど・・・もう伝えずにはいられなかった。」

そう言って立ち止まっていた足を進めだした。

慌てて後を追おうとすると

「来ちゃダメだよ。」

振り向かず声を響かせる・・・。


「功が隣に並ぶのはさっきで最後。

そして・・・・その涙を拭ってあげるのもね・・・・。」

「長太郎君・・・・。」

「宍戸さん・・・・。駅向こうのストリートテニス場にいるはずだよ。」


それだけ言い残して暗闇の中へ消えて行く長太郎君。

本当にごめんね・・・・。そしてありがとう・・・・。

消え行く背中に私は頭を下げた。



その後涙を拭いストリートテニス場へと駆け出す。


先輩に逢いたい・・・。

そして・・・・この気持ちを伝えたい・・・・・。


長く続く階段の上にライトが見え、ボールの音が聞こえた。

気持ちを落ち着かせながらゆっくりと階段を踏みしめる。

登りきった向こうに広がるコートの中で、

大好きな先輩が走り回る姿が目に入った。


先輩に会えなくて寂しかった。

先輩の笑顔が見れなくて悲しかった。

先輩に名前を呼ばれなくて苦しかった。

先輩の隣にいたい・・・・。そして・・・傍にいて欲しい・・・・。


言いたい事はたくさんあって、今すぐ全てを伝えたいと思うのに

先輩に逢えただけで胸がいっぱいで言葉が出てこない・・・。


だけど・・・・私に気付く事無くボールを打ちつける

先輩のその瞳に私を映して欲しい・・・・。


大きく息を吸い込んで、ありったけの勇気と想いを込めて

先輩に届くように・・・・声を張り上げた。


「宍戸先輩!!大好きです!!」








「今日は先輩のお誕生日なんですから、

なんでも我侭言ってくださいね?」

「我侭って・・・・。ねぇよ、そんなの。」

「えぇ~!!何でもいいんですよ?」



あの私の大告白は、テニスコート全体に響き渡り

驚きすぎた先輩は放心状態で立ち尽くしていた。

他にもたくさん人がいたもんだから

その後は冷かされまくっちゃったけど

顔を真っ赤にさせた先輩が

「馬鹿かお前。恥ずかしいヤツだな・・・・。」

と言いながらも「ま、俺も・・・・好きだけどな・・・。」

と、大好きな笑顔を見せてくれた。


宍戸先輩は長太郎君との事を気にして

距離を空けていたことを教えてくれて、

私も長太郎君に告白されたことを隠さず伝えた。


「不安にさせて・・・悪かったな・・・。」

「いいんです。これは長太郎君を傷つけてきた罰です。」


きっとこんなことがなければずっと

長太郎君の気持ちに気付かなかった。

そしてそのまま傷付け続けていたことだろう・・・。


次の日会った長太郎君はどこかスッキリしたように

「おはよう」と微笑んでくれたし、

宍戸先輩と長太郎君はすっかり元通りで、

久しぶりに二人のダブルスを見る事もできた。



そして今日・・・・。

9月29日は宍戸先輩の誕生日。


長太郎君が「今日は一緒にお祝いしておいで。」と、

マネージャー業をお休みにしてくれたので

先輩のお家でお誕生日のお祝いをしている。


付き合って初めてのお誕生日。

お祝いのプレゼントは色々考えたけど

中2女子が買える物なんて限られていて

結局おそろいの携帯ストラップを買った。

恥ずかしそうにしながらも「ありがとな。」と

頭を撫でてくれてそれだけで心が満たされる。


だけど今日は私が満たされてる場合じゃない!


そう思って先輩の我侭を叶えようと思ってるんだけど

なかなか先輩は我侭を言ってくれない・・・。

頬を膨らませて先輩を見れば少し困った顔をしている。

困らせちゃったかな・・・・?


「だって・・・・先輩の願い叶えてあげたいんですもん・・・。」

「願いならもう叶ってるからいいんだよ!」

「え?」

「お前の隣に俺がいて、俺の隣にお前がいる。

それだけで俺は十分なんだ。」

「宍戸先輩・・・・・。」


同じように思っていてくれたことが嬉しい。

先輩の幸せも・・・・私の隣にしかないと思っていいですか?


「あ・・・だけど・・・・一つ言うなら・・・・・」

「なんですか!?」

「いや・・・何でもねぇ・・・。」

「なんですか!?気になるじゃないですか!?」

「なんでもねぇって!いいんだよ・・・。」

「よくないです!さあ!言ってください!!」


ズイッと身を乗り出し詰め寄ると頭を掻きながら目を泳がす先輩。

そして・・・・。


「!!」


大きな手に目を塞がれた瞬間唇に触れた温もり・・・・。


驚きで身を引こうとすれば腰を引き寄せられ

胡坐をかいて座る先輩の膝の上に座らされてしまった。


「今顔上げんなよ!!」

「は・・はい・・・・。」


きっとお互い顔が真っ赤だろう・・・・。

ドキドキと響く鼓動は私のものか・・・それとも先輩の・・・・?

チラリと視線を上げればぶつかる視線・・・。


「先輩顔真っ赤ですよ。」

「見んなって!!」

「ふふ・・・・。宍戸先輩・・・・大好きです。」

「功・・・・・。俺も・・・・好きだ・・・。」

「お誕生日おめでとうございます。

来年も再来年も、その次も・・・ずっとずっと・・・・

一緒にお祝いさせてくださいね。」

「ああ。いつまでも俺の隣いいろよ。」


微笑を交わしながらどちらからともなく瞳を閉じて・・・

お互いの気持ちを伝え合うように・・・2度目の口付けを交わした・・・・。



                      Happy birthday Ryo 9.29

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宍戸さんお誕生日おめでとう!!


会長からのリクで、先輩後輩設定で、チョタとは幼馴染。

そして宍戸さんVSチョタ!!


こんな感じでよろしいか?ww


二人素敵な誕生日をお過ごしあれ~♪

リクサンキュー!!