ありがとう企画第2弾 (宝生綾女さんリク 手塚夢-前編- ) | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

動悸、息切れ、体温上昇、思考能力低下。


どうやら私は病に侵されてしまったようです。


病名・・・・恋の病


- その手の温もり - 前編


「ぉ、おはよう・・・・・ございます。」

「おはよう。今日も早いな。」

「はぃ・・・・。」


朝の登校。

帰宅部でなにも部活に入ってもいない私が

こんな早朝から登校する必要なんてまったくない!


ならなんで?と聞かれたら答えは一つ!

手塚先輩に会う為!!


朝5時に起きて身支度を整え6時に家を出る。

そして、6時半少し前に公園を過ぎた一つ目の曲がり角から

姿をみせる手塚先輩と偶然を装い朝の挨拶をする。

最近の私の日課である。


挨拶をした後、一緒に登校して・・・とか、

会話を弾ませ急接近!なんて夢の様な展開は・・・ない。


挨拶を交わした後は手塚先輩の3歩後ろを

その大きな背中を見つめながら学校まで向かう。

私にとってはそれだけでも幸せな時間なのだ!




手塚先輩との出会いは数週間前。

同じクラスの桃城の忘れ物を届けに

テニスコートまで行った時の事。


「危ない!」と言う声を聞き振り返えれば

黄色いボールが私目掛けて飛んできた。


当たるっ!!

そう思い目を閉じてみたが一向に痛みはこず、

恐る恐る瞼を開けば大きな手が顔の前に伸ばされていた。


手の中にはテニスボール・・・・・。

その手をたどり上を見上げればそこには

厳しい顔をした眼鏡をかけた人がいた。

確か生徒会長の・・・手塚先輩・・・。


「大丈夫だったか?」


低い声だが優しさが込められたその声に

慌てて首を上下に動かすと

「ならばよかった・・・。」と、さっきボールを受け止めた

その大きな手で私の頭を一撫でした。


その瞬間私の心臓は大きく跳ね、

ばくばくと音が聞こえそうなほどの動悸と

呼吸困難になってしまったような息苦しさ・・・。

そして下から湧き上がるように顔に熱が集まり

もう何も考えることができないほど頭がくらくらした。


その後なにか言われたような気もするけれど、

もう私の耳には何も聞こえず

ただこの原因不明の症状をどうにかしたくて

勢いよく頭を下げ、そのまま全力疾走で走り去った。


家に帰ってからもしばらく心拍は元に戻らず

体も燃えるように熱い。

頭がボーっとして頭がうまく回らない・・・。

思い出すのはあの大きな手が私の頭を包んだ温もり・・・。


その夜は同じことが頭をぐるぐる回り

数学の宿題を前に考える事は数式ではなく、

あの時の事ばかり・・・・・。


結局何も手につかず、明日の朝早くに学校でやってしまおうと

早々にベッドへと入った。


そして次の日。

宿題をする為にいつもより早めに家を出て学校に向かう。

この時間ならまだ誰もいないだろ・・・。

そう思いながら少し小走りで通学路を駆けていると

突然飛び出てきた影とぶつかってしまった。


「きゃっ」


突き飛ばされるように右側に倒れそうになった時、

腕を掴み引き寄せられ温かい胸へと抱きとめられた。


「大丈夫か!?」

「あ・・・はい。すみませ・・・・!?」

「どうした?どこか痛むのか?」


お礼を言おうとゆっくりと顔をあげれば

目に飛び込んできたのは昨晩私の頭と心を支配していた

あの手塚先輩!!

いきなりすぎて声も出ない!

だけど心配そうに顔を覗き込んでくる先輩に慌てて返事を返した。


「す、すみませんでした!!大丈夫・・・です。」

「いや・・・。怪我がないならいい。」

「あ、ありがとうございます!!」

「ん?お前は昨日の・・・・?」

「えっ!?ああああ・・・・そ、そうです!!

あの時は・・・いえ、あの時もありがとうございました!」

「ずいぶんと慌てて帰ったようだがその後何もなかったか?」

「はいっ!!もう全然!!まったくすこぶる元気です!!」

「そうか。」


ふっ。と、目が細められ浮かぶ微笑。

まただ!!

あの時の様に胸が閉めつめられるような甘い痛いみと

ドクドクと全身で波打つ鼓動。


掴まれた腕が・・・・・熱い。


「すまないがもう行かなくては・・・。」

「へっ!?あ、はい!ほ、本当にありがとうございました!」

「あぁ。じゃぁ。」


そう言って走り去る手塚先輩の後姿を見つめながら

私はしばらく立ち尽くしたまま動けなかった。


以前友達と理想の恋愛論を話していたのを思い出す。

あの時友達が言った言葉・・・。


- 恋はいつどこで落ちるかなんてわからない -

その言葉が何度も頭の中でリピートされる。


恋・・・?


私だってまったく恋愛に興味がないわけじゃないし、

いつか素敵な彼氏が欲しいとも思ってる。

だけどそれは、友達の延長線で段々好きになって・・・

とか、そんな感じで恋をするもんだと思っていた。


だからあの時は、友達のその言葉を

そんな漫画みたいな話し・・・と笑い飛ばしていた。


でも・・・・。


いきなり胸に芽生えた感情に戸惑いは隠せないし、

自分でもコレが本当に好きだという気持ちなのかまだわからない・・・。


だけど・・・・もう1度逢いたい。

もっと先輩のことを知りたい・・・。

そして・・・・

もっと先輩に近づきたい・・・・。


その気持ちだけは確かな想いだった・・・。


*******************************


長くなっちゃったので2つに分けました。

後編は夜にUPします。(多分)


お待たせしてスミマセン・・・。