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7月9日に77歳で逝去された、俳優で冒険家の和泉雅子さん。

1989年に日本人女性として初めて、地球のてっぺん・北極点に足跡を残しました。

東京は銀座で生まれ育ち、映画女優として絶大な人気を誇った和泉さん。37歳だった1985年、全財産を注ぎ込んで北極に挑みました。北緯88度40分…あとわずかで北極点まで迫るも、氷の割れ目に阻まれ断念したといいます。

再起を期していた1986年の春。ユッコこと岡田有希子さんの急逝に接した和泉さんは、若い世代に向けてこのように語りました。

〝自分自身の身近な目標と頑張る意思を持てば、毎日がもっと楽しくなる。あなたの「北極点」を持ってほしい〟

周囲から無謀だと止められながらも、気付いたら北極にいたという和泉さん。目標である憧れの北極点を目前にして、潔く撤退を決断したのは〝生きてさえいれば、きっとまたここに来れる〟との思いからだったそうです。北極で学んだのは、目標を持てば誰でも頑張れること、そして命の大切さだとも。

交流があった熊本市の女子高の生徒十人を、北極に招いた和泉さん。一番多感な時期の女の子が、極地の圧倒的な光景にどんな反応をするか楽しみだったそうです。

北海道の士別市に別荘を建てた和泉さん。極寒の時期に家の中でゲームばかりしている子どもたちを、外に引っ張り出そうと自ら企画したイベント「寒いのへっちゃら隊」で、ボランティアを長年続けました。隊員の少年少女から〝まこばあば〟と慕われたそうです。

かつての言葉通り「北極点」を心に抱き続け、若い世代に寄り添いながら生き抜いた和泉雅子さん。

心からご冥福をお祈りいたします。

和泉雅子さんは小学生の頃、「行進曲の和泉」とあだ名されたそうです。通信簿の成績が1と2しかなかったからだそうで、3年生の時に図画工作で3をとったら先生が「和泉がワルツ（3拍子）だぞ〜！」と大騒ぎしたとか。わたしが和泉さんに大きな親近感を抱いたのは、いうまでもありません。

photo by yukikostarlight

# 508 和泉雅子さんの「北極点」。