本日の授業の目的

・重点先行主義に則った文書・文章の構成の仕方を理解する

本日の学習目標

・文書作成における「重点先行主義」の意義を説明できる

・既存の文章を重点先行主義に基づいて修正できる

・重点先行主義に則った文書構成のパターンを再現できる

1. 文書作成における「重点先行主義」の意義

人の興味は初めが高くて、中だるみし、最後にまた少し上がる。

中だるみのところに重要なものをおいても、心に残らない。


重要性の高いものから低いものへ

概要から詳細へ(早い段階で全体像を描かせる)

⇒新聞のリードに見られるような構成


2. 実際の文章に見られる重点先行主義の例

【新聞記事を参考に】


<見出し>
フィッシング詐欺容疑、組長ら逮捕 IT社長手口考案?


<リード>
他人になりすましてネット銀行の口座から現金を引き出したとして、福岡、
熊本、茨城など5県警の合同捜査本部は、福岡県柳川市○×、指定暴力団九州
△◇会系組長のA 容疑者(30)ら3人を不正アクセス禁止法違反の疑いなど
で逮捕したと、7日発表した。捜査本部は27都道府県で数十件、計700万
円の被害があったとみている。一部は容疑を否認しているという。

<本文>
捜査本部によると、3人は、偽のネット銀行のホームページにメールで顧客
を誘導する手口で顧客の口座IDやパスワードなどを不正に入手。07年10
月、4人のネット銀行の口座から、現金計約36万円を不正に別の口座に送金
し、だまし取った疑いなどが持たれている。
捜査本部は、今回の被害者に送金させた口座から現金を引き出したとして、
すでに福岡市中央区のIT企業元社長ら5人を窃盗容疑で逮捕している。元社
長らが詐欺の手口を考案した、とみている。



3. 重点先行主義に則った文書構成のパターン(一般的なレポートの場合)


★文書全体において重点先行

  (初めに概要を置き、のち詳細)

★さらに、各パラグラフにおいても重点先行

  (トピックセンテンスの構造)


【練習問題】 メールの修正


学校教育研究科2 年の△◇と申します.
突然のメールを失礼します.

先日から風邪で熱を出しており,授業を欠席しております.本日も回復具合は
思わしくなく,~演習の出席は難しそうです.

ところで,私は既に来春より専任教員としての採用が決定しており,どうして
も今年度中に大学院を修了しなければなりません.したがって,○×先生の~
演習の単位は絶対に落とすわけにはいきません.

そこで誠に勝手ながらお願いがあります.本日授業中に発表される~演習の最
終課題の概要をメールにてお送りいただくことはできませんでしょうか.
ご多忙の先生にこのようなお願いをするのは大変恐縮です.しかし上記の事情
があるため,あえてお願いを申し上げる次第です.
どうかご検討のほど,よろしくお願い申し上げます.
-------------------------
学校教育研究科2 年
△◇●■


⇒形の上では、「起承転結」


 しかし、伝わりにくく、まどろっこしい。冗長、冗漫。


【修正】①

学校教育研究科2 年の△◇と申します.

誠に勝手ながら、お願いしたいことがあってご連絡いたしました。

本日授業中に発表される~演習の最終課題の概要をメールにてお送りいただけないでしょうか。


私は既に来春より専任教員としての採用が決定しており,どうして
も今年度中に大学院を修了しなければなりません.したがって,先生の~演習の単位は絶対に落とすわけにはまいりません.
しかし、先日から風邪で熱を出しており,授業を欠席しております.本日も回復具合が思わしくなく,~演習の出席は難しそうです.

ご多忙の先生にこのようなお願いをするのは大変恐縮ですが、

ご検討のほど,よろしくお願い申し上げます.

学校教育研究科2 年
△◇●■


【修正】②

学校教育研究科2 年の△◇と申します.


本日は

お願いがあり、ご連絡いたしました。


本日授業中に発表される~演習の最終課題の概要をメールにてお送りいただけないでしょうか。


大学院修了のために先生の~演習の単位がどうしても必要です。

にもかかわらず、先日から風邪による発熱で,授業を欠席しております.本日もまだ出席は難しそうです.

学校教育研究科2 年
△◇●■

ご多忙の先生に不躾なお願いですが、

ご検討のほどお願い申し上げます.



※相手との距離感によって、情報量、文面が変わってくるのが当然。不躾だったり、冗長だったり。


  円滑に進めるためにはちょうどいいところを探る必要がある。



☆☆箇条書きを効果的に使うのも一つの手☆☆



★議論の枠組みの例;序論・本論・結論̶型

・序論(introduction)
- <導入部>として読み手を本論にさそいこみ、抵抗なく本論にはいっていけるように準備を整える
(a) 本論で取り上げる問題̶話題̶は何か
(b) その問題をなぜーどんな動機によってーとりあげたのか
(c) その問題の背景はどんなものか
(d) レポート作成者はその問題についてどんな調査・研究をこころみたか
(e) どんな結論(見解、主張)に到達したか

・本論(body)
- 調査・研究のやり方と、それによって明らかになった事実を述べる
(i) 調査・研究のやり方
- 実際にやったことを具体的に記述
(ii) 調査・研究の結果
- レポートの核心となる部分。内容は基本的に「事実」

・結論(conclusion)
(1) 本論の(ii):「調査・研究の結果」を簡潔に列挙してまとめる
(2) それにもとづいて自分自身の見解(主張)を組み立てる
(3) そこでおこなった調査・研究の意義を述べ、将来の問題を展望する

【参考文献】
木下是雄,『レポートの組み立て方』,ちくま学芸文庫,p110,3.6.2「レポートの標準的な構成」より抜粋(一部斎藤が編集)


. 感想

「相手との距離感によって、情報量、文面は当然変わってくる。短すぎると不躾に、長すぎると冗長に。

円滑に進めるためにはちょうどいいところを探る必要がある。」ここに注意して、簡潔に、わかりやすい文章を書きたいと思う。

単刀直入でありつつ、過不足がない、失礼がないという視点を大事にしたい。