妊娠初期のころ、

つわりの一種なのか、

気持ち悪さよりも

割れるような頭痛がひどすぎて、

近所の鍼に何度か通った





値段はそれなりにするし、

施術後、内出血したり、

翌日もみ返しのようなだるさはあるけれど、

行った後は凝りが取れるのか、

いくらか楽になる



それで、通っていた



さばさば、ずけずけモノをいう鍼灸師さんで、

まぁ楽というか、

私もおもしろおかしく

その場限りで

適当な受け答えをしていた




初期のころは、

結婚しないで妊娠したことに対して、

「まぁ事故みたいなものでしょ?」と言われて、

ばかにすんなよ!とか、

事故じゃないし!

とは心のどこかで思ったものの、

否定するのもめんどくさいし、

適当に

「あーそうですね」

と流すと、

「でもせっかくできたからには、

大切に育てていかないとね」と言われた


その通りだと思った


それから、全身を診てもらい、

「よくこの身体で妊娠できたね。足も腰もお腹も冷えているし、かたくて凝っているし、不妊治療で通ってくるような人の身体だよ。

こんな細い身体で、胃腸も弱っているし、ストレスいっぱい抱えてるね。」

とも言われた




それには、心の底から納得だった

なぜなら、私もこんなにすぐ妊娠できると思っていなかった

姉もなかなか授からないし、

母もそうだったと聞いていた

以前から冷えはあったし、

生理も乱れたり、

身体の歪みも気になっていたし、

自分が妊娠できる身体とも思えなかった



でも、そこに宿ってくれた小さな生命

私が毎日泣いて、泣いて、精神不安定ななか、

ずっと一緒にいてくれたべびたん


本当にこの妊娠は奇跡なんだと思う

妊娠って本当に奇跡






そんなことを思った






しばらくして、

初期の頭痛はそれなりに落ち着き、

費用のこともあって、

鍼には行かなくなった







でも、後期に入り、

また頭痛がやってきた



そして久しぶりに鍼に行った





「さすがにお腹、出てきたね」

その頃でも一般の妊婦さんより

全然おなかは目立たなかったけれど、

そう言われて施術開始



「結婚したの?」

と言われ、

きたー!この質問!

と心の中で思いつつ、

「あーまだなんですよね」

と軽く答える


「結婚する気はあるの?」

そう聞かれたので、

「…しないかもですね」

そう答えてみた



いろいろ聞かれたら

めんどくさいな、

泣かずに話せるかなと思いながら、

鍼をしてもらう時は

体勢的に

顔を合わせなくていいので

気持ち楽だった



いろいろ聞かれる前に、

「なんか結婚めんどくさくなっちゃって」

とふざけた回答をした



それに対して、

「自分から断ったの?

まぁ男なんていらないよね。

俺も自分でめんどくさいなって、

そう思うもん。」

そう言われて、

心の中でどこか安心した自分がいた




「でも子どもが産まれてくるのは、

楽しみにしてるの?」

そう聞かれて、

「はい!」

即答すると、

「ならよかったよ」と言ってもらえて、

また安心した自分がいた



私が守る

これから先のこの子の人生

普通じゃないかもしれないけど、

全力の愛で育てていく

父親がいない分を何倍にもして

またその決意が固まった瞬間でもあった