「ウィッチウォッチ」は2025年に「日5」枠でアニメ化された、篠原健太先生原作のWJ掲載作品であり
「ギャグ・コミカル」「魔法・魔物」「日常・学園生活」「ラブコメ」「バトル」「シリアス」「友情」「人情」
という要素を存分に堪能できる名作。
その70話(2022年7月19日発売・WJ2022年33号に掲載)が「秘密の衝動」。
アニメでは21話(2025年8月24日放送)で「秘密の衝動/ケイコの気ままスタイル/ジキルの乙木家訪問」として放送された。
この回については散々語ってるんでもういいよ!と思う人もいるかもしれないけど、
私自身と重ね合わせ悩んだり、救われたりしたシーンが結構あるので語らせてほしい。
【二人の少年の出会いと友情、救いの物語】
この「秘密の衝動」回のメインとなるのは「霧生見晴(ミハル)」と「藤木累(ジキル)」という二人。
ミハルは物語の舞台・乙木(おとぎ)家の使い魔の一人で、魔女のニコや鬼のモリヒトたちと共に生活する「吸血鬼」の少年。
中学3年生(ニコ達よりも一つ年下)で、血ではなく生気を吸い取って自分のパワーにする体質持ち。
小柄で、金髪碧眼のかわいい美少年。しかし性格はあざとい小悪魔気質(そこがかわいいんだけども)
CV:若井友希さん(アニメ)

ジキルこと累はそのミハルが通う中学で生徒会長を務める長身の眼鏡男子。
生真面目で規律や正義を重視し、初登場時も「不良生徒によるカツアゲの証拠を掴むため、張り込みを行っていた」が、
そのカツアゲをミハルに止められたことから言い合いになってしまう…「最悪の出会い」ってやつだ。
CV:阿座上洋平さん

最初は「せっかくカツアゲの証拠を掴もうと張っていたのに」「知らないよ そっちの事情なんて」と口論し、まるで仲良くなれそうもない二人。
だがアニメや漫画などでよくあるお約束……「出逢いの印象最悪な方があとあと絆が深まるじゃん!!」(by漫画「キミ特!~キミにも特撮映画が撮れる!!~」より)
…そう、この二人も「最悪の出会いからだんだん交流を経て絆を深めていく」のである。
そんな二人が「仲良くなっていく」過程に、その「救われる」要素が詰まっている。

【「正直このキャラ、もうやめたい」「親友は必要ない」】
乙木家ではあざとい小悪魔キャラなミハル君、だが学校だと一転。
「気品あふれる優雅な転校生」として、女子生徒たちを魅了しているが……
その背景には、「自身が生気を吸い取る体質持ち」であることが影響している。
誤って誰かの生気を吸わないために、人と距離を置いて自分を隠し生きていた。
そのために転校先のこの学校でもどう接していいかわからず、初日からイキってしまいこのようなキャラを演じている。
「正直このキャラ、もうやめたい」と陰でぼやくのだった。
さらに放課後には「黒マスクの男」による校舎のガラス割り事件が発生。
その対応に当たっていた教師が「そういう子(事件を起こした生徒)に必要なのは自分をさらけ出せる友人」と発言したのを聞き、
心からの理解者・親友を欲しつつも、小さいころの優しい父の言葉―――
「ミハルの力は友達を傷つけるかもしれない。人に言ってはいけないよ。」
を思い出し、「ボクは学校に親友は必要ない。乙木家に帰れば安らげる、それで十分だ」と強がっていた。
……私もわかるよ。
私も幼稚園、小学校~中学校と周りになじめず、「変わったやつ」とみなされてきた(いじめられたとかはない)
高校は特に何もなく平穏に過ごせたけど、大人になってからも自分の体質などで色々あって「生きづらいな」と感じてきた。
そんな自分の経験や生きた道のりが忌々しく感じられて……こんな自分に嫌気がさしたこともしょっちゅう。
人付き合いも下手だし、友達なんてなかなかできなかった……
周りの友達とキャッキャしてる子たちがうらやましく見えて悲しかったこともある。
「なんで自分だけ…」って。

【「悪事を働く者だからと…」】
乙木家に帰って休もうとしたミハル君だが、先ほどの不良が急襲。因縁をつけてこちらに殴りかかろうとしてくる。
奴らを撃退したのが「黒マスク」。黒いレスラーの覆面で顔を覆い、激しく興奮した様子の男子生徒だ。
ミハル君を助けてくれたのかと思いきや、なぜかこちらにも殴りかかろうとしてくる……
さらにここでミハル君の生気が尽きる。(朝からもらっていなかったため…)
仕方ないので黒マスクから「一般人ながらあふれんばかりのパワー」をいただき、ここで彼の正体にも気づき問いかける。
「生徒会長?」と……
覆面の下からのぞかせた素顔は、眼鏡を外した藤木累そのものだった。
どうしてわかったのかというと、口論の際に腕を掴まれたことで判別できた。
体育館裏で累くんの話に耳を傾けるミハル君。
祖先が「ジキル博士とハイド氏」のジキルであるためか、いつの頃からかどうしようも
できない破壊衝動に目覚め、たまっては周り(物や人)を傷つけていた。
たとえ悪さをした相手であっても、暴力で解決するのは間違っている―――自分の衝動と良心や優しさの間で揺れる累くん。
最初はツンツンしてとっつきにくく、ちょっと怖いイメージがあった藤木累くんだったけど
このシーンを見てると「本当は思いやりがあって、誰かのために泣いて笑って、心を動かすことができる真面目で実直ないい子」だとわかる。
それゆえに自分の中の暗い衝動を一人で抱え込み、ずっと悲しんできたんだな……(´;ω;`)
彼の抱えていた本当の優しさや誠実さに触れることができて、嬉しかった。

【「秘密なんて誰にでもあるでしょ」】
一番の推したいポイントがここ。
累くんの抱えた痛みや悲しみ、本心を知り、優しく寄り添ったミハル君……
「秘密」とは、
「他人に知られないようにすること。隠して人に見せたり教えたりしないこと。また、そのようなさまやそのような事柄。」
(コトバンクより)
と出てくる。
それを私は「周りに明かさない痛み、挫折、つらさ、悲しみ、怒り、努力」と解釈した。
つまり、あのセリフは
「周りに言えないつらさや葛藤、つらい傷は今を生きるすべての人が抱えているものだ」
という事になる。すごくうれしかったし胸に響いた。
自分のさっき書いたつらい境遇の心の傷に、
「そういう悲しみや辛さはみんなにあるから、君一人が異常なわけじゃないよ」とそっと手を差し伸べてくれた気がした。
あざといところも周りを振り回す困ったちゃんなところもあるけどほんとに傷ついてそっと涙を流す人には真剣に、温かく寄り添う。
そんな芯の強さがミハル君の一番の魅力だと思う……!

【最後の体育館裏でのやりとりと、「ミハルに親友ができました」】
ラストは、ミハル君の正体や能力を知った累くんが
後日、ミハル君から「ジキル そろそろ欲しいの」というLINEを受け取り、
「ジキルって呼ぶな」「いつもの場所で」
と返し
体育館裏でミハル君と合流、累くんの体内に溜めた生気をミハル君が吸い取りながら軽口をたたきあう。
その光景にかぶさる「ミハルに親友ができました」のナレーション。(アニメだと「~親友ができた」と少し短くなっている)
このコマで「秘密の衝動」回は幕を下ろす。
自分のコンプレックスや傷でしかなかった「能力・体質」を相手のために使い、悩まなくてもいいように幸せにしてやる。
二人で叩き合ってる軽口にはお互いへの確かな信頼と、「自分のために…ありがとう」って強い感謝、自分の能力が誰かの役に立てると気づいた希望を感じる。
二人が苦しんできた過去は、相手と出逢い彼と絆を深めるためにあった…とも思える。
たとえどんな心の傷やコンプレックス、誰にも言いたくないつらい過去があっても出会いや環境、使い方によって報われるし、幸せになれる。
そんな明るい未来に向かって私たちを導いてくれている…そんなメッセージを感じる。
私も前述のつらい過去で傷ついたり、自分を恨んだりしてきたけど、
この回を読んで「深い心の傷を前向きに活かすことができるのはすごく幸せなことだな」と思えた。
幸せに導いてくれたことに感謝……!!

二人の絆や関係、セリフややりとりがこれからも誰かの救いになってほしい、
と願わずにはいられない。
これを読んでるみんなにも、「自分を導いて、救ってくれる大切な作品やキャラとの出会い」がある事を祈って。
