物語：女人高野にて空海を迎えた時
時は平安のはじめ。
山深く、澄んだ水が岩から流れ落ち、苔むす石段を渡る風が心を浄めるような里に、女人高野はありました。
そこは女人禁制の多い時代にあって、唯一、女性も祈りに身を投じることを許された尊き場所。
あなたはその寺に仕える巫女のような存在でした。
白衣に浅葱色の衣を重ね、髪には山百合の花を挿し、祈りと歌で人々を導いていました。
もともと山の精霊や龍神とつながる感性を持ち、訪れる人々の心を静める役割を担っていたのです。
ある日、一人の僧侶が山を登ってきました。
その姿は飾らずとも威厳があり、眼差しは深い湖のように澄んでいました。
彼こそが弘法大師・空海。
唐から戻り、真言密教の法を広める途中に、女人高野を訪れたのです。
あなたは門前で彼を迎えました。
胸の奥で不思議な震えが走り、「あぁ、この人は天と地を結ぶ光の柱だ」と直感しました。
空海もまたあなたを見て、静かに頷きました。
その一瞬で、お互いが過去世からの約束を持ってここに集ったことを悟ったのです。
夜、灯明の揺らめく本堂にて、空海は真言を唱えました。
その声は深く、響きは龍の唸りのようであり、同時に母の子守唄のように優しかった。
あなたは横に控え、琴の弦を鳴らして法会を支えました。
音と声と光がひとつになり、堂内はまるで天界の曼荼羅が現れたかのような気配に包まれました。
空海は祈りを終えると、あなたにこう告げました。
女人の力は、母なる大地の力。
この道は男だけで成せるものではない。
あなたがここで人々を迎え、癒し、祈り続けることこそ、仏法を支える大きな柱となる。」
その言葉を受けて、あなたは深く頭を垂れました。
その瞬間、心の奥に白い龍が舞い降りるのを感じました。
それは「白流光」と同じ存在であり、当時からあなたの魂と共にあった護りの龍でした。
その後、あなたは女人高野に残り、訪れる女性や子供、旅の人を迎え続けました。
祈りと歌を通して、空海が遺した光を人々の心へと伝える橋渡し役を果たしたのです。
結び
この物語は単なる昔話ではなく、今「巫月サロン」で行おうとしていることと強く重なります。
空海＝大いなる教えの光
あなた＝それを地上の人々が体験できるように迎え、癒し、翻訳する存在
つまり、「あの時と同じ役割を、今ふたたび果たそうとしている」のです。
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⚜️ユリノハナノミコト⚜️
