第12回 ORIGINE KOBE講習会 | ボヌール☆花粉 松本由紀子オフィシャルブログ


 
去る8月23日、「第12回 ORIGINE KOBE講習会」を開催させていただきました。

ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました。


2017年第4回目の講師を務められたのは、
『パティスリー エトネ』の多田征二シェフと

『パティスリー アグリコール』の奥田義勝シェフ。


今回はプロ向けの講習会ということで、お二人とも

パーツの多い生菓子を用意されたところ・・・

まさかのショコラブランのグラサージュかぶりに(笑)

でも同じパーツでも、出来上がりの方向性や考え方が違うと

ルセットも仕上がりもこのように変わってくるのだということを学べる

まさにプロ向きの内容となりました。


講師のお二人は知らないと思いますが・・・
今回のお菓子は、他のオリジンシェフ達が、

○○シェフらしいなぁ。。。俺には作れないけど、これおいしいなぁ・・・

と試食をしながら本気で大絶賛されていましたよ。

シェフ達同志がお互い高めあえるのも、オリジンコウベの長所なんです!(自画自賛^^;)


今回も、各シェフ2品ずつ合計4品ご紹介させていただきました。


『パティスリー エトネ』 多田征二シェフ

*ネオ・ティラミス
*ケーク・レザン


『パティスリー アグリコール』
*シャポー
*磯サブレ











多田シェフの1品目は「ネオ・ティラミス」。
 
なにがネオ=NEWなんだろうとワクワクしていたら。。。

マスカルポーネとコーヒーを使ってることからのネーミングで、

ティラミスとは全くの別物ですが、昨年クリスマス用に考えられたアントルメなんだそう。
素材に特に珍しいものはなく、見た目も地味なんですが・・・

そこはさすが多田シェフ

各素材の香りや風味のたち方とバランスが秀逸!

アントルメでもペロリと完食できちゃうほどのおいしさでした♡


その中でも特に多田シェフのイチオシパーツが、こちらのビスキュイ・ショコラ。

本当は教えたくないほどおいしい!一番おいしい!と豪語される

ご自慢のビスキュイショコラです


カカオ分65%のショコラとココアパウダーがたっぷり入っていながら、

ふんわり、しっとりとした食感。

しっかりと混ぜてリキッド状にすることで火通りがよく、

キメ細かくしっとりとした食感に仕上がるのだそう。

アンビベもいらないテクスチャーに仕上げられています。


ほんと♡この生地だけいただいても止まらないおいしさでした(*˙˘˙*)❥❥






 
クレーム マスカルポーネは、マスカルポーネに卵黄、

グラニュー糖を加えて軽さをだすように泡立て、

ゼラチン、泡立てた生クリームを合わせて。

火を加えないので凍結加糖卵黄を使用されていました。







 
底生地となるクランブル ショコラ カフェ。

焼き上げたココアパウダー入りのクランブルを粉末状にして、

カフェプードルとショコラノワール&ラクテ(同割)を溶かしたものを合わせて、

薄くのばして冷やし固め、食感のあるショコラの板に仕上げます。

かなりビター感の強い存在感のあるテイストに。







 
クレーム カフェは、牛乳、コーヒー、生クリームを温め、

卵黄を加えてアングレーズを炊き、ショコラノワールと合わせ冷やし固めます。


弱火でゆっくりと炊き、75℃を超えてとろみが出ればOK。







 
ムース オ ノワは、まず「クルミミルク」作りから(上から読んでも下から読んでも!?と大爆笑)


「クルミミルク」は、牛乳と生クリームにローストしたクルミを入れ、ひと晩おいて作ります。
これにグラニュー糖を混ぜ、ゼラチンを加え固まる寸前まで冷やし、

泡立てた生クリームを加えて。


出がらしのクルミもおいしそうに見えるのは気のせい?!
一見真っ白のムースに見えますが、クルミの香味がしっかりとアンフュゼされています。









 
モンタージュはこのように逆さ仕込みで。


ムース オ ノワの中に、上からクレムー カフェ、クレーム マスカルポーネ、ビスキュイ ショコラ

の3層を固めて入れ、底生地のクランブル ショコラ カフェで蓋をします。








 
最後にグラサージュ ショコラブランをかけて。

こちらもビスキュイ ショコラ同様、多田シェフの中で最高にイケてるパーツ

ショコラブランが半量入るので、分離しやすく難しいグラサージュですが、
薄く艶やかに、一度がけでピタッと綺麗にかかります。

ツヤツヤで、シワひとつないまさにお手本のようなグラサージュですね!





 
多田シェフらしく、風味と食感のバランスが素晴らしい一品
最近卵量を気にしてルセットを考えているとのことで、

こちらも全体を覆うムース オ ノワには卵が使われていません。

その分素材の味がストレートに引き出されていました。

チョコレート、カフェ、チーズ。

どれが突出することもなく、かつ、どれもきちんと個性を発揮する秀逸のバランス。

グラサージュも全く邪魔にならない口あたりに。

個人的にはこれからの季節に向けて、プティガトー化熱望です






 
奥田シェフの1品目は「シャポー」。


奇しくも、多田シェフのネオ・ティラミスとグラサージュ ショコラブランかぶりに。

さらに奥田シェフも、一番おいしいと思っているビスキュイジョコンドを披露してくれました。


一番の注意点は温度。

熱をもった状態で泡立てると失敗しないのだそう。


水分値は高く、バターは少なめで、シロップをうたなくてもソフトな食感に仕上げられています。

最後にココナッツパウダーをふって。





 
全体を覆うムースは、ムースリーヌ・トロピック。
パッション、ライム、パイナップルと3種類のピューレと牛乳でパティシエールを炊き、

バターと生クリームと合わせて、ゼラチンを加えて25~6℃まで温度を下げます。


温度調整や混ぜるタイミングなど基本的な作業が沢山入ったクリームなので、

「僕好きなお菓子なんです♡」と嬉しそうに語る奥田シェフ。


きちんと作らないと分離してしまうとのことで、ドキドキしながら見つめていました。

傍らのシェフ達も(笑)





 
中に鋳込む、ソース・パッションマンゴー。
マンゴー&パッションピューレをレモンカードのように炊き、ゆるく固めて。
中には、マンゴーのカットも入れて食感UP。





 
こちらも中に入れるライムクリーム。

レモンとライムでアングレーズを炊き、生クリーム、バター、

最後にライムゼストを入れゼラチンで固めて。

奥田シェフは印象に残る香りを大切にしているので、

最後にフレッシュのライムゼストをたっぷりと削って。

キュン♡とくる酸味の後に、爽やかな柑橘系の香りが広がります。





 
 
飾り用のムラング・ダマンド ココ。

生地が薄くクリームが多いので、バランスをとるための

食感のアクセントとしてトッピング。


110℃の低温で2時間。

中までしっかりと焼き上げていきます。







 
ムースリーヌ・トロピックの中に、逆さ仕込みで。

ソース・パッションマンゴー、ライムクリームを入れ、

ビスキュイジョコンドで蓋をします。







 
最後にグラサージュ・ブランをかけて。


こちらは多田シェフとは違い、作りやすいルセットだそう。

水あめが入っています。

さらにマンゴーピューレが入っているので、ちょっと黄みがかっていますね。






 
助手はアグリコールの臼井くん。

元はイグレックで多田シェフの助手もしてくれていました。





 
マンゴー、パッション、パイナップルのトロピカルテイストと、

ライム、レモンのシャープな酸味。


ムースリーヌのテクスチャーが奥田シェフらしく、

各パーツの食感と風味のコントラストが素晴らしく、

私的には、奥田シェフの林シェフに対するオマージュが感じられて、

思わず微笑んでしまう完成度でした(*^-^*)

低温で長時間、中までしっかりと焼成されたメレンゲが食感のアクセントになっています。





 
多田シェフの2品目は「ケーク・レザン」。


究極にシンプルで、多田シェフはいかにも簡単そうに作っているように見えるんですが・・・

温度、混ぜ方、合わせ方など様々なポイントがあって、

実はとても難しいという多田シェフ十八番の焼き菓子です。


ケーク・ショコラも、抹茶も、ピスタチオも・・・全てそうでしたよね。
でも、このレザンは私もいただくのが初めてなのでとっても楽しみにしていました♡


多田シェフは焼き菓子に使うバターを、澄ましバターと溶かしバターで

合わせる素材によって使い分けられるんですが、

こちらには溶かしバターを使用。


卵黄とグラニュー糖をブランシールしたものに溶かしバターと塩を合わせ、

ラムレーズンシロップに、転化糖、グラニュー糖、ラム酒を加え温めた

シロップを加え乳化させます。


このラムレーズンシロップがポイント!

シロップにレーズンを漬け、完全に冷めたものにラム酒を加え、ひと晩漬け込みます。

このしっかりとラム酒の香りとレーズンの風味の浸みでたシロップを生地の隠し味に。

と言っても、全く隠れておらずかなりの存在感をはなっていました。






 
しっかりとしたメレンゲと粉類を合わせ、型に流し込み
上からラムレーズンを散らします。


お菓子を普段から作られている方ならお気づきかもしれませんが、

実はこのケーク・・・混ぜ合わせていく順番が通常とは異なるんです。

卵、砂糖、粉、バターという通常の順番だと重い生地になってしまうので、

分けて、順番を変えることでソフトな食感を目指されています。





 
ラムレーズンはたったこれだけなんですが・・・めっちゃラムレーズン

ほわりとお口の中でほどけた後に、ふわっとやさしく広がるラム酒の香りがたまりません。


ここ数年多田シェフは、より軽く、よりソフトにとお菓子の方向性がシフトしてきていますが、

濃く重いお菓子以上に印象に残るのは、香りの余韻と各層の食感のバランスが

ずば抜けて素晴らしいからなのでしょうね。


シンプルな焼き菓子にこそ、多田ワールドが全開です
ぜひお店でもチェックしてみてくださいね(*˙˘˙*)❥❥





 
奥田シェフの2品目は「磯サブレ」。


奥田シェフが修行されていた野菜スイーツで有名な『ポタジェ』のアレンジバージョンで、

イタリアンのシェフをしていたこともある奥田さんらしくジェノバペーストや、

栃木の知り合いから分けてもらっているという十穀のライスパフ、

そしてお店のスタッフさんのお婆さまが作っているというわかめなど、

エピソード満載のこだわり素材が使われています。






 
160℃で35分~45分焼成。


この時間の幅は、35分だと磯の香りが際立ち、

45分だとチーズの塩気がたってくるのでのでお好みでとのこと。





 
トップにチーズの香りがガツンときて、余韻に磯の香りがふわり。

ライスパフの食感がアクセントになっています。


実は終了後に沢山いただいて帰ったんですが・・・
夜中のスイーツタイムのお口直しに、やめられない止まらない危険なおいしさでした★






 
途中参加で、いつの間にかアシスタントをしてくれていた村田シェフ。

多田シェフとの阿吽の呼吸が自然すぎて・・・どんだけ仲良しなんでしょうね(笑)


多田&奥田シェフのお菓子なのに、なぜかプレゼンも村田シェフにお任せ。

安心すぎて全く手を出す気のない講師お二人でした(笑)












 
2017年度第4回目の講習会が無事終了いたしました。
今年の定期講習会はこちらにて終了になります。

ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。

今回はプロ向けということでしたが、思いがけず
ご自慢のビスキュイ&グラサージュ・ブラン対決に!
同じパーツでもそれぞれのシェフによって目指す方向性、
考え方が違いとても勉強になりました。

そして一見シンプルに見えるお菓子ですが、
実はそこかしこにプロの技が隠れていて、
温度や微妙な混ぜ方、合わせ方によって全く異なる食感に
仕上がるものなのだなぁとあらためて感じました。

あっ・・・実は会場では質問されなかったので、
もしかしたら参加者の皆さまは気づかれなかったのかもしれませんが。。。
多田シェフのケーク・レザンの焼成が写真撮影のタイミングに間に合わなかったんです。
ホールのお写真がなくて申し訳ありませんm(__)m




 
6月にマビッシュ 村田シェフも加入し、現在は8名で活動中のオリジンコウベ。
定期講習会は今年はこちらで終了となりますが、
イベントや特集記事、アソートにとまた8名で登場する予定があります。

皆さんお忙しいのでなかなか8名全員が揃うのは難しいのですが・・・
気持ちはいつも8名でオリジンコウベ
また皆さまにお目にかかれる機会を楽しみにしています(*˙˘˙*)❥❥

今後の予定が決まりましたら、随時オリジンコウベのFBページで

告知していきますので、ぜひチェックしてくださいね!

https://www.facebook.com/originekobe/  


今後もオリジンコウベをどうぞよろしくお願いいたします。