おばあちゃんとおじいちゃんは、そんな山奥で、車も持たずに生活していた。

買い物は時々バスに乗っていくか、隣町に住む叔母さんの車に乗って行っていたようだ。

それでも、スーパーなんていらないのではと思うほどの、野菜が畑でとれた。

本当になんでもとれたのだ。北の野菜から、南の野菜まで、なんでも、育てていた。

おばあちゃんは、野菜作りの天才だった。

昔使っていた大きな井戸の周りには、いつも玉ねぎが吊るしてある。

夏は、大きなスイカがたくさんとれた。本当に立派なスイカ。

おいしい枝豆、ゴーヤ、じゃがいも、落花生、にんじん、とうもろこし、なす、にんにく……

それを、『畑にもぎにいこか』

そう、おばあちゃんが言ってくれて、一緒に畑に野菜をとりに行くのが、うれしくてしかたなかった。

畑仕事を、もっと学んでおけばよかった。

今も後悔している。

おばあちゃんちは、とっても山奥にある。




1日数本しか止まらない田舎の最寄りのJRの駅からさらにバスで30分ほど山に登ったところにある



バスも1日3本程だろうか。



それでもバスが通ってるのだから、すばらしい。



電車とバスを乗り継いで、私が住む街から4時間くらいかけてやっと着く場所。



コンビニはもちろんないし、スーパーも車かバスで30分以上かけていかなければならない場所だった。



最近は道路状況も変わって少し早く着くようになったけど、車だと3時間くらい。



隣の県に住んでいたけれど、とても遠い場所だった。

突然の母の一言に、言葉を失った。


今、なんて言った?


母は気まずそうな、なんとも言えない表情で、私の目を見ずに言った。


『おばあちゃんちな、もう壊すことがきまったんよ』



いやだ…


いやだいやだいやだ!!


なんで、あの家は私がいつか住みたいって言うたやん!なんで?!私あの家に住むのが夢やって何度も言うたやん!


そのためにずっと仕事続けて、貯金してるってずっと言ってたやん。


って叫ぶのを堪えて、


『……いやだ…』


って泣くのを堪えながら言った。


おばあちゃんちは私の心の故郷だった。


生まれ育ってないけど、いつも学校に疲れたり、仕事に疲れたらすると、帰りたいと思うのはあの家だった。


『もう、その予定は変えれないの?』


そう聞きながら、隣の部屋にいる子供に泣いているところを見られないようにしようと必死で泣くのを堪えて、聞くと、自然とボロボロに涙が溢れてくる。


『変えれないよ。仕方がないでしょう。もう、ずっと話してたことなの。あのまま置いておくわけにはいかないんよ。』