ロンドン市内を歩いているとよく見かける物の一つに郵便ポストがあります。

地域によって若干のバリエーションがある様ですが、基本的に赤い円筒形のものが多いです。

日本の昔の郵便ポストとよく似ているので、何枚か写真を撮りました。

日本では1901年に発明家の俵谷高七さんという人が考案した、と郵政博物館のサイトには書いてありますが、

英国ではそれを遡ること60年、1840年代に郵便ポストが設置されたとの事です。

また郵便事業自体イギリスのものをモデルにしている様ですので、ポストもこれを真似たと思います。

**日本の郵便物収集箱自体は1871年に導入されてます。


この郵便ポスト、いかにも英国的だなと思うのは、ポストに時の国王のマーク(モノグラム)が施されている事です。

正しくはRoyal Cypherというそうですが、モノグラムまたはそれに類するもので、紋章とは微妙に違う様です。

これが必ずポストには付いています。


ちなみに、イギリスの郵便事業の歴史に軽く触れてみますと、その歴史は16世紀に遡ります。

ヘンリ8世が1516年に郵政長官のポストを新設したことから始まり、

1635年にチャールズ1世により一般人にも開放されました。

そのシステムは長らく受取人が料金を支払うシステムでした。

郵便ポストもまだ存在しませんから日本の飛脚に近い仕組みだったのかもしれません。

1840年にイギリス国内の郵便料金が一律1ペニーに統合され、合わせて料金は差出人が支払う事になりました。

程なく料金が支払い済であることを証明するためにSTAMPを貼る制度が始まりました。切手の始まりです。

郵便ポストが設置され出したのがいつ頃からかよく分かりませんが、切手制度が始まった1840年以降に徐々に設置されたと思われます。

それ以来伝統的にポストには時の国王のRoyal Cypherが刻印されているそうです。

ちなみに、英国ではROYALの施設には押し並べてROYAL CYPHERがついてるのか、それともポストだけなのかはよく分かりません。


時代はくだり、2001年に民営事業に移管されるまで郵便事業は国営でした。

伝統と格式を重んじる英国の事ですから民営化されたとは言え、今後更新されるポストにはきっとCⅢRとのRoyal Cypherが表記されるんでしょうね。


さて、小生がロンドン及び郊外で見かけたのは、

VRビクトリア女王のもの。

ERⅦすなわちエドワード7世のもの。

この人は10年しか治世がないので少し珍しいのだそうです。(ラッキー!!!)

EⅡRエリザベス2世の治世のもの。

そしてGRジョージの治世のものなんですが、これが少しややこしい。

実はジョージは5世と6世がいますが、なぜかポストにはこの違いが明記されていない。

なので、小生が写真に収めた物もどちらのものか定かでありません。

また、エドワードまでは筆記体で書かれていますが、ジョージからゴシック体になってます。

この辺ももしかしたら関係あるのかもしれません。


基本的には円筒形のものが多いですが、一番古いのは8角柱だったり、壁に埋め込んであったり

他のタイプも存在する様です。

一番古いビクトリア女王の時代のものは少なくとも120年以上は前のものです。

古い郵便ポストを探しながら街を散策して見るのも面白いと思いますよ。


Chelseaの辺り

飾り文字がすごいけど、よく見るとERⅦと読める。

つまりエドワード7世の治世の時に設置されたポスト。

木にめり込んでいる。というか木に取り込まれつつある・・・


Cambridgeの市内

何気に道端にあったポスト
よく見るとVRとありビクトリア女王治世のもの。
つまりこのポストはこの場所に120年以上存在することになる。


Wimbledon市内

GRとなっているので、国王ジョージの治世のもの。

5世か6世かわかりませんが、それはともかく赤がすごく綺麗。

土台の黒色とのバランスも良い♩


これもWimbledon市内

EⅡR即ち、エリザベス2世女王治世のもの


番外、春日部の辺で見かけた日本の古い郵便ポスト

カッコはイギリスの郵便ポストのほぼパクリですね。

赤が少しくすんでるかな・・・

最近のヌリカベの様な四角い郵便ポストよりこの方が可愛いと

思うのは小生だけでしょうか?(笑)


参考