「盤上の向日葵」
を観てきました。
ストーリーは、
山中で身元不明の白骨死体が発見される。現場には、この世に7組しか現存しない将棋駒が残されていた。駒の持ち主は、将棋界に彗星のごとく現れ時代の寵児となった天才棋士・上条桂介であることが判明。さらに捜査を進めていくと、賭け将棋で圧倒的な実力を誇った裏社会の男・東明重慶の存在が浮上する。
というお話です。
山中で謎の白骨死体が発見される。事件解明の手掛かりは、遺体とともに発見されたこの世に7組しか現存しない希少な将棋駒。
容疑をかけられたのは、突如将棋界に現れ、一躍時の人となっていた天才棋士〈上条桂介〉だった。
さらに捜査の過程で、桂介の過去を知る重要人物として、賭け将棋で裏社会に生きた男〈東明重慶〉の存在が浮かび上がる。桂介と東明のあいだに何があったのか?それは謎に包まれた桂介の生い立ちに鍵があった。
桂介は幼い頃に母親を亡くし、父親に酷い虐待を受けながら暮らしていた。そんな桂介に唯一優しくしてくれたのが元教師の唐沢夫妻だった。桂介は唐沢に将棋を習いながら成長し、唐沢の援助で奨励会に入って才能を伸ばせと言われるのだがどうしても父親を捨てることが出来なかった。
その後、成長して奨学金で大学に通っていた桂介の前に東明が現れる。将棋を封印していた桂介は東明により将棋の才能を開花することになるが、それは想像を絶する過酷なものだった。そんな過去の関わりにより桂介に容疑がかかるのだが。
後は、映画を観てくださいね。
原作を未読で観に行きました。私は将棋が全く分からないので、将棋に関しての詳しい描写があると解らないだろうなと思っていたのですが、将棋に関しては全く知らなくても大丈夫な展開でした。主人公・桂介の人生が描かれていく中で、彼が将棋の天才でそれが生きるための糧になっていたようでした。
山中で白骨死体が見つかり、その死体の胸の上にあった将棋の駒が希少なモノでこの世に7組しかないモノだったんです。で、それを当たっていったら上条桂介という棋士の持ち物だったということが判るんです。そこからこの物語は始まります。
上条は子供の頃に虐待を受け、酷い生活をしていました。そんな彼を可哀想に思った元教師が将棋を教えてくれ、その生活から助けようとしてくれますが、どうしても父親を捨てることが出来ずに、結局、酷い生活をずっと続けていくんです。子どもにとって、どんなに酷い父親でもただ一人血のつながった家族だと思って別れられないんです。
桂介は成長し、大学でやっと父親と離れることに成功します。自分の力を知った桂介は東大に入って勉強し、外資系企業に入社してトップの成績で2年ほど働くんです。そしてある目的のためのお金を貯めるとその会社を辞めて、全く違う仕事に就くんです。きっとこの時代の桂介は前を向いて生きることにしあわせを感じていたと思います。あまりこの部分は描かれませんが、きっと活き活きしていたと思うんです。
でもしばらくして桂介の前に父親の庸一が現れ、また昔と同じように金を無心され、地獄の日々に戻されてしまいます。やっと生きる目的のようなものを見つけたと思ったのに、父親の庸一に潰されてしまうんです。酷い親ですよね。桂介は離れたいのに離してくれなくて、その上、ある真実を聞いてしまうんです。
庸一は桂介の出生の秘密を告白し、それによって桂介を脅して金をもっとよこせというんです。どう考えても親なんて思えないようなクズ男でした。そしてもう一人、東明という男が桂介に関わってきます。こいつもクズでした。将棋を餌に桂介を利用し、彼がもっていた希少な将棋の駒を勝手に売ってしまったりして、酷い男でした。
桂介に関わってくる男はほとんどクズばかりで、最初に桂介を助けてくれた唐沢ご夫婦以外はとんでもない人間でしたね。こんなにクズが集まるなら桂介が悪いのかと思うけど、桂介はとても優しい良い子なんです。でもね良い子だからこそ騙しやすいし、頭が良すぎて底辺の人間が考えることが想像出来ないんです。だから騙され利用されてしまう。
唐沢さんが助けようとしたとき、もし唐沢さんの所に行っていたら、それなりの学習(人間的なこと)をさせて貰えて、社会でも上手く生きられたのかもしれないけど、父親の庸一を裏切れずに残ってしまった時点で不幸が確定してしまったのかもしれません。チャンスは掴まなきゃ幸せになれないのにね。
桂介の母親は狂って自殺をしたという過去があります。何故母親は狂ってしまったのか何故自殺をしたのかというのが、桂介の人生に関係してきます。そして仕事で成功した後に、庸一に金の無心をされた時には、もう彼自身も生きることに絶望していて少しどうでも良くなっていたようにも見えました。どこまでも希望を潰され、ささやかなしあわせの糸口を潰され、桂介があまりにも不幸で悲しくなりました。
内容的には「砂の器」っぽいなと思いました。天才棋士で殺人容疑となるので、似ているなと思いました。でも虐待問題とかは現代に通じるモノがあるので似ているけど現代版という感じでした。
この映画、キャストは素晴らしくてグッと来るものがあるのですが、ストーリーが暗くて辛くなりました。もう少しでも幸せになれる部分があると良いのですが、どこまでもクズたちに足を引っ張られる桂介がいて、誰も彼を助けられないというところが何とも言えずに悲しく感じました。ヒーローは出てこなくても、普通に助けてくれる人が1人でも居たらよかったのになぁ。
ハッキリ言って、スッキリする映画ではなく、もやもや、イライラする内容の映画でした。桂介は、嫌だったら嫌だと自分で言わなければ何も始まらないことを知るべきです。相手が父親であろうと、将棋の師匠であろうと、クズを助ける必要は無いし、何を言われてもクズのいうことは誰も信用しないですから大丈夫。いつかは戦わないと相手の思う壺だからね。
私はこの映画、お薦めしたいと思います。原作を読んでいないので比べられませんが、柚月裕子先生の小説なのできっと原作も悲劇なんでしょう。うーん、辛くて暗いお話しでした。良い映画だとは思いますが、あまり私は好きではありません。しあわせになれる映画が好きです。でも素晴らしい演技が観れるので、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。![]()
「盤上の向日葵」












