「タンゴの後で」
を観てきました。
ストーリーは、
19歳のマリア・シュナイダーは気鋭の若手監督ベルナルド・ベルトルッチと出会い、「ラストタンゴ・イン・パリ」への出演でまたたく間にトップスターに上りつめる。しかし48歳のマーロン・ブランドとの過激な性描写シーンの撮影は彼女に強烈なトラウマを与え、その後の人生に大きな影を落とすことになる。
というお話です。
フランス人俳優ダニエル・ジェランの娘、19歳のマリア・シュナイダー。両親の離婚後は母親と暮らしていたが、母親に隠れて父親に会って俳優になりたいと話しており、母親はキレてマリアを家から追い出してしまう。
家を追い出されたマリアは仕事をして稼ぐしかなく、父親に頼み、エージェントを通して仕事を手に入れる。その仕事とは、イタリア人監督ベルナルド・ベルトルッチによる1972年のエロティックサスペンスドラマ『ラスト・タンゴ・イン・パリ』という作品だった。
新人女優のマリアは何も分からないまま現場に入り、言われるがまま演技をしていく。相手役は有名なアメリカ人俳優マーロン・ブランド。この映画で有名になれると思ったマリアは何を言われても我慢して演じていたのだが、ある場面の撮影で”流れのまま演じてみて。”と言われ、撮影に入ると、なんと相手役の男にレイプされるシーンで、台本にない演技を強要される。
何も知らされてなかったマリアは怒り、映画は最後まで撮影しましたが、その後、彼女の人生は一変してしまう。レイプシーンの為に映画は「わいせつ」作品として裁判にかけられ、ベルトリッチは有罪判決を受け、マリアも有罪に。その後のマリアはこの映画のトラウマに苦しみ、苦しい人生を送ることに。後は、映画を観てくださいね。
この映画、というか「ラストタンゴ・イン・パリ」という映画の撮影で起こったことを描いている映画です。実は、私はこの「ラストタンゴ・イン・パリ」を観ていません。何となくストーリーを読んで、もしかしたらTVで観たことがあるのかもと思いましたが思い出せません。
私は「ラストタンゴ・イン・パリ」を観ていなくて良かったと思いました。女性をレイプするシーンを知らせずに撮影して、その驚きと恐怖を映像に収めたということですよね。はっきり言って、そんなもの唯のポルノです。何が芸術だよ。女性をただのモノとしか考えてないじゃないですか。
この映画では、その辺りをしっかりと描いてくれていて、ベルトルッチとブランドがマリアに知らせずに仕組んでいて、現場でいきなり後ろから押し倒し、バターを使ってア〇ルセックスを強要する場面が描かれていました。もちろん映画撮影なので振りですが、それでもバターを塗られて触られたマリアは酷く屈辱的だったと思います。
撮影でレイプされるとは思わず、そのレイプシーンをそのまま映画として上映しているんでしょ。もちろん本当にヤッてはいないとは言え、マリアにとっては本当にレイプされたと同じくらい悲しくて苦しくて悔しくてトラウマになったのだと思うんです。だって、そうでしょ。いきなり押し倒されて後ろからレイプって、許されちゃいけない撮影でしょ。
100歩譲って、この映画にそのレイプシーンが無ければ後からの展開に理由が付けられないと説明するなら解るんです。何故レイプしなければいけなかったのかという明確な意味があれば、女優さんだから納得出来れば怒らなかったでしょう。でもだまし討ちでやられたら怒るでしょ。映画の撮影現場にはほとんど男しかおらず、女は飾りモノとしか扱っていないかったことが、この映画の映像からも解るんです。
現代でこれをやったら犯罪です。昔だってこれは犯罪だと思っています。今はインティマシー・コーディネーターを付けることが常識となってきているので、少しは良くなっているとは思うけど、それでも映画撮影現場での女性軽視は一掃されてはいないと思いますよ。随分と女性監督も増えてきているので嬉しいですけど、それでも女性のみの現場なんて今も無いんじゃないかな。
マリアはこのレイプシーンの映画を撮った後、脱ぐ女優と思われたのか、現場で直ぐに上は脱いでくれと言われたりするんです。俳優として扱われているのではなく、色モノとしてしか見て貰えずに苦しみます。そしてドラッグにハマり、荒れた生活をしながら仕事を続ける姿が描かれていました。
まだ19歳の新人女優に何も知らせずにレイプシーンを撮影したベルトルッチ監督やマーロン・ブランドには本当に腹が立ちます。今の日本社会でもそうですが、レイプがどれほど女性の心を壊すのか解っていないんです。
ニュースで少女がレイプされて裁判になっても、相手はほとんど罪にならないというのが信じられません。レイプは死と同じなんです。ち〇こを切るか科学的去勢をするべきだと思います。でないといつまでも再犯しますよ。まず性犯罪者にはチップを入れて、誰でも位置情報が見れるようにすべきですよね。
ああー、怒りで映画の話から離れてしまった。ごめんなさい。この映画のマリアは凄く怒っていました。そんな彼女に一度も謝らなかった監督と俳優は許されないと思います。どんなに素晴らしい作品を作ろうが、人間としてクズと言わざるを得ないです。
なので、私は「ラストタンゴ・イン・パリ」は決して観ないと思います。女性をモノとしか扱わなかった映画に興味はありません。芸術的だと評価されたのかもしれませんが、女性をモノとして扱う映画を芸術と評価する人間の気が知れません。私はフェミニストでも何でもありませんが、性別で相手をバカにする人間はクズだと思っています。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。どんなに芸術的に称賛された映画だとしても、人間を人間として扱わなかった映画は許されません。その映画によって1人の人間の人生が狂ってしまったんです。今後、こんなことが決して無いように警鐘を鳴らす映画だと思います。もちろん実話を元にした小説を映画化しているので、実話ではありませんが、こんなことが起こっていたということは事実だと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「タンゴの後で」