「アイム・スティル・ヒア」軍が国を手に入れてしまうと個人個人の自由な発想は封印されてしまうんです | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「アイム・スティル・ヒア」

 

を観てきました。クロックワークスさんの公式Xで試写会が当選いたしました。

 

ストーリーは、

1971年ブラジルのリオデジャネイロ。軍事独裁政権に批判的だった元下院議員のルーベンス・パイバが、政府に連行され、そのまま行方不明となる。残された妻のエウニセは子どもを抱えながら夫が戻ることを信じて待つが、今度は彼女自身も拘束され、政権を批判する人物の告発を強要される。釈放後、夫の失踪の真相を求め、不屈の人生を送る。

というお話です。

 

 

1970年代、軍事独裁政権が支配するブラジル。元国会議員ルーベンス・パイヴァとその妻エウニセは、5人の子どもたちと共にリオデジャネイロで穏やかな暮らしを送っていた。しかしスイス大使誘拐事件を機に空気は一変する。

軍の抑圧は市民へと雪崩のように押し寄せ始める。ある日、突然にルーベンスは軍に連行され、そのまま消息を絶ってしまう。夫を奪われたエウニセは、必死にその行方を追い続けるが、やがて彼女自身も軍に拘束され、過酷な尋問を受けることとなる。数日後に釈放されたものの、夫の消息は一切知らされなかった。

 

 

後日、新聞が夫ルーベンスは亡命したと報道するが、そんな様子は一切無い。元教師が逮捕された時にルーベンスと一緒だったことを認めており、ルーベンスは軍に投獄されたのは確かなのだ。いつまで経っても逮捕したことを認めない軍に人身保護令状を提出し、根気強く夫の行方を追及していく。

 

沈黙と闘志の狭間で、自由を奪われ、絶望の淵に立たされながらも、エウニセの声はやがて、時代を揺るがす静かな力へと変わっていく。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画は1970年、軍事政権下のブラジルで起こった実際の事件を映画化したものです。ルーベンス・バイヴァという元国会議員だった男性が軍に逮捕され、そのまま行方不明になってしまいます。彼の妻は必死で夫を探しますが、その内に自分も逮捕されてしまいます。

 

そんなルーベンス夫妻の事件を彼らの息子であるマルセロ・ルーベンス・バイヴァが回想録として書籍化し、それがこの映画の原作になっています。彼がまだ子供の頃に、突然父親が逮捕されて、しばらくして母親までも逮捕されてしまうんです。怖かっただろうと思いました。

 

 

映画は妻のエウニセの目線で描かれています。1964年にブラジルでクーデターが起きて、それまで国会議員だったルーベンスは議員をクビになって、普通の公務員として働き始めます。軍事政権下で公務員として働いていたルーベンスは、裏で軍事政権を問題視している海外などの報道記者をこっそりと国内に紛れ込ませる手助けをしていました。

 

そのことが漏れたのか、それとも元々議員だったので何かするのではと疑われていたのかそこら辺は解りませんが、何故か逮捕されるんです。何の前触れもなく、ただ連れていかれました。行政が機能していれば、ちゃんと理由を言ってから逮捕なのですが、独裁政治が行われているので関係ないんですよね。ただ気に入らない奴は逮捕するみたいな雰囲気もあったのではと思います。

 

 

凄く恐ろしい事なんだけど、北朝鮮は今も独裁政権だし、中国だって国に都合の悪いことをした人は逮捕されるんでしょ。共産主義だから仕方が無いと言われるかもしれませんが酷いですよね。いう事を聞かせるために家族などを人質としてとっていて、何かあれば人質を殺すぞと脅されるんでしょ。酷いです。

 

夫のルーベンスはとても平均的な人であり、軍事政権に盾突くような気は無かっただろうと思うのよ。確かに海外からジャーナリストなどを呼び入れていたけど、軍事政権とは言っても近代化は進んでいるんだから、情報を外に出すことにより世界を味方にして現政権も悪くないと思わせればよかったのに。どーも力だけで抑え込もうとするから長続きしないんだよね。頭の良い人いなかったのかしら。

 

 

妻のエウニセは夫が捕まり、自分も拘留されてしまい、家庭の経済状況が悪くなっていくんです。私はあまりブラジルの事は知らないのですが、妻にも半分くらい渡しておけばよかったのに。銀行へ行くんだけど、本人のサインが無いと惹きだせないと言われ、仕方なく家にあった外貨や土地を売ることにしたんです。そうしなければ生きていけなかったんだと思います。

 

エウニセは、まず生活基盤をしっかりと固めて子供たちを安心させ、それから夫のことに付いて調べるのですが、どんなに探しても夫の資料が出てこないんです。まぁ、軍なのでマトモに答えてくれる訳がありませんよね。なので、仕方なく人身保護令状を突きつけて教えてくださいとお願いするしかないんです。

 

 

そんな事を何年も続けて、25年後にエウニセはやっと夫の死亡通知書を手に入れるんです。本当なら本人が帰ってくるはずだったのに、紙切れが1枚。それでもエウニセは涙を流して喜びました。それまでは死んだことも軍が認めず、亡命したなんていう嘘の情報を流す人たちですからね。

 

日々の生活の中でエウニセは資格を取り、弁護士として働くことが出来るようになり、子どもたちを育てました。でも、出来れば夫と二人で子育てしたかっただろうに、こんな理不尽なことが日常に起こるなんて酷すぎますよね。凄い映画でした。

 

 

私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。恐ろしい映画でした。そんなに殴る蹴るなどの場面はありませんでしたが、軍事政権下というのはこんなにも個人が無くなり、国のためと言いながら、偉い人が好きな人だけを集めてやるようになってしまうんですね。恐ろしいです。そんな現実を教えてくれる映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「アイム・スティル・ヒア」