「カーテンコールの灯」
を観てきました。
ストーリーは、
アメリカの郊外の街。建設作業員のダンは家族に起きた悲劇から立ち直れず、妻や娘とすれ違う日々を過ごしていた。ある日、彼は女性に声をかけられ、アマチュア劇団の舞台「ロミオとジュリエット」に参加することになる。やがて突然の変更でダンがロミオ役に大抜てきされるが、自身のつらい経験が重なり演じることができなくなってしまう。
というお話です。
建設作業員のダン・ミューラーは、娘デイジーの学校での問題と、息子ブライアンの元ガールフレンドに対しての不法死亡訴訟に苦しんでいます。ストレスのせいで彼は仕事中に失敗してしまい、それを目撃したコミュニティシアターの俳優リタは、彼を次の舞台作品「ロミオとジュリエット」に出てみないかと誘います。
ダンは今の状況から少しでも変われるならと参加することにし、演劇の稽古に真面目に取り組みます。ある日、ロミオとジュリエットの死が演じられる場面になり、ダンはこの話はおかしいと言い出します。彼の息子ブライアンは恋愛のことで悩み自殺をしてしまいました。その死がロミオの死と重なり、苦しんでいることを団員たちに話します。団員たちは戸惑いながらも一緒に悲しみます。
団員と悲しんで抱き合っている場面を買い物に出た妻と娘に見られていることにダンは気が付かず、娘のデイジーは浮気を疑い、ダンの後を付けることに。そしてダンが演劇をやっていることを知り、デイジーも一緒に参加して応援することにします。後日、妻のシャロンもダンが演劇をやっていることを知り、協力することを申し出ます。
何故かダンがロミオ役に抜擢され、ダンは公演が近づくにつれ、ロミオの心情を理解するのに苦労をします。何故死を選んでしまうのか。そんなダンにデイジーがブライアンの気持ちをもう一度考えてみるように促し、何故ブライアンが恋人と心中をしようとしたのかを考え始め…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、ある家族が心の大きな傷から解放されていく姿が描かれていて、感動作になっていました。心の傷って癒すのに時間がかかりますよね。もう忘れたと言いながらも、心のどこかに小さな棘が刺さっていて、何かがあるとそれが大きくなっていく。そんな事の繰り返しで、悲しいことは忘れられないんです。
この家族は長男のブライアンを自殺で亡くしているんです。米国なので、キリスト教徒ではないかもしれないけど自殺はあまり良く思われていなくて、父親のダンは酷く苦しんでいるんです。家族みんなで忘れようとしているのですが、ダンはどうしても納得が出来ていないんです。
ブライアンは、進学の関係で恋人と離れ離れになることを悲しみ心中をすることにしたのですが、ブライアンだけ無くなり、相手の女の子は生き残ったんです。ダンは相手の女の子に対して不法死亡訴訟を行う事にし、これから証言をするということになっているんです。そんな時に、何故かダンは劇団入りすることになります。
この劇団、何となく街の人が集まって作っているアマチュア劇団なんです。プロではないので、みんなゆったりと楽しくやっていて、あまりガツガツはしていないのですが、それでも真剣に取り組んでいるんです。ダンはモヤモヤしている自分を変えていきたいと思って、この劇団に参加してみたのかなと思いました。
劇団に入ると、今度の題目は「ロミオとジュリエット」ですと言われ、端役を貰います。一生懸命取り組んでいますが、その事を家族に言うのが恥ずかしくて、こっそり言わずに通い始めたので、家族が不審がるんです。そしてダンが劇団員のリタと抱き合っている場面を見て浮気を疑ったりして混乱することに。
ダンがリタと抱き合っていたのは、その前に、ダンがロミオ役に抜擢され演技を始めたのですが、ロミオが自殺をする場面でどうしても受け入れることが出来ずに止まってしまい、台本通りにやって欲しいと言われ、ブライアンが自殺をしたことをみんなに話したんです。そしてみんなが一緒に悲しんでくれているという場面で抱き合っていたんです。
これダンが受け入れられない気持ちもわかるんです。ブライアンと彼女にはこれからの未来があった訳で、それならいったん大学で離れ離れになるけど、遠距離恋愛で頑張って、卒業後に結婚すればよかったでしょ。大学まで行けば成人するので親に何を言われることも無く一緒にいられたはずなんです。
でも、どうしても我慢が出来ず、離れるなら死ぬとなってしまったようなんです。若い頃の恋愛って一途に突っ走るから、ある程度、周りの人間が冷静になれと言ってあげることも必要だったと思うんです。好きなのは良いけど、それだけじゃ生きていけないですからね。未来も一緒にいたいと思うなら、それなりの社会の責任を取らなければいけないし、ふわふわした気持ちだけじゃ暮らしていけないですからね。
親は苦しみますよ。どうしてやれば良かったのか。自分たちが悪かったのかと悩んで悩んで、最後に相手の女の子の訴訟になったのだと思うんです。これは不幸だなと思いました。だって、相手の女の子だって死のうと思って苦しんだんですから。恨む相手じゃなく、一緒に悲しむべき相手だと思うんです。
そんなダンが、「ロミオとジュリエット」のロミオを演じながら、息子のその時の気持ちを理解していくというお話でした。ダンが必死でブライアンの気持ちを理解しようと悩み、家族も一緒になって考えて、ある答えにたどり着きます。素敵なお話でした。ちゃんと息子の気持ちを理解してあげられたのだと思います。うーん、娘のデイジーも良かったです。
私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。大きな事件が起こったりはしませんが、心にじわじわと沁み込んでくる感動がありました。相手の立場に立って、深く考えて行けば人は理解し合えるんだと思います。良い映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「カーテンコールの灯」