「父と僕の終わらない歌」
を観てきました。
ストーリーは、
かつてミュージシャンとしてレコードデビューを目指しながらも、息子・雄太のために夢を諦めた間宮哲太。ある日、哲太はアルツハイマー型認知症と診断されてしまう。忘れゆく哲太をつなぎ止めたのは、息子・雄太と妻・律子、そして彼が愛する音楽だった。
というお話です。
かつてレコードデビューを夢見たものの、オーディションが息子の誕生に重なったためにその夢を諦めた哲太。横須賀で楽器店を営みながら、時折、地元の老人ホームやイベントステージで歌声を披露しては喝采を浴びてきた。そんな哲太を妻・律子はずっと支えてきた。
東京に暮らす息子・雄太は、幼馴染の結婚式のために横須賀に戻ってくる。雄太を駅まで迎えに来る約束だった哲太が何故か現れない。遅れて付いた哲太は、道に迷ってしまったと言い訳をするが雄太は信じなかった。幼馴染・聡美の結婚式に間に合ったが、それからも哲太は物忘れが酷くなり、雄太と律子は哲太を病院に連れて行くと、哲太が初期のアルツハイマー型認知症であると診断されてしまう。
初期の認知症と言うことだったが、心配した雄太はイラストレーターとしての仕事をリモートで実家でやることにし、横須賀でしばらく暮らすことにする。共に暮らす哲太は段々と物忘れが多くなり、何とか認知症の進行を遅らせたいと思った雄太は、哲太が歌っている時は記憶を保っていることが解り、哲太の歌をネットで配信することにする。
すべてをわすれゆく哲太を繋ぎとめたのは強く優しい妻、強い絆で結ばれた仲間、そして哲太が愛した音楽だった。大好きな歌を歌う時だけ、いつもの哲太が戻ってくる。哲太の歌は沢山の人々を元気づけ、雄太も哲太を応援するのだが…。後は、映画を観てくださいね。
この映画はイギリスで起こった実話です。2016年に起こった出来事だそうです。それを日本に置き換えて映像化しました。よく出来ていたと思います。私は楽しめました。誰もが年を取れば、それなりに物忘れが酷くなり、色々なことが解らなくなると思うんです。それでも家族や友人の助けがあれば、少しでも長く一緒に生きていることを幸せに感じられるんじゃないかと思いました。
横須賀に住む哲太は、ある日、初期のアルツハイマー型認知症と診断されます。妻の律子と息子の雄太はその現実を受け止め、少しでも長く哲太の記憶が続くようにするにはどうしたらよいのか考えるんです。そして、若い頃から続けている歌を歌うことが哲太の記憶を繋ぎとめる手段の一つだと気づくんです。
哲太は若い頃にレコードデビューをさせてくれるというオーディションを受けようとしていたのですが、雄太の誕生と重なってしまい、オーディションを諦めたという過去があります。哲太は息子をとても大切にしていますが、オーディションのことは今も忘れていないんです。
雄太は哲太の歌をネット配信し、応援して貰おうとします。沢山の人が聞いてくれれば、哲太も喜んでもっと歌うだろうし、もしかしたらレコードも出せるかもしれない、そう思ったんです。雄太の考え通り、哲太の動画は話題になりバズります。レコード会社の話も出ますが、話題になれば悪意のある誹謗中傷も増えて雄太はちょっと危機に陥ります。
なんで人の幸せを見ると、それを潰そうとする悪意をまき散らす人が出てくるんでしょうね。いっしょになって楽しめばよいのに、本当に人間性が低いというか性格が悪いというか何なんでしょ。悪意をまき散らすと嫌な気分にならないのかしら。私は人の悪口を言ったら後味が悪いけど、そういう人って何も感じないんでしょうね。
雄太はそんな悪意に潰されそうになりながらも、哲太の気持ちを優先して動画をアップし続けます。そしてやっとレコード会社の人と繋がりますが、ネットの悪意ある噂により途中でレコードの件は止まってしまうんです。雄太はガッカリして、父親になんと話そうかと考えるのですが、哲太は認知症の症状が酷くなり、暴れたり、律子に手をあげたりし始めてしまいます。
律子も雄太もそろそろ限界だろうと考え、老人介護ホームに話を聞きに行くんです。もう暴れはじめてしまったら、家族で世話をするのは難しくなりますもんね。力は強いし、こちらの言葉を理解してくれないし、もうレコードの話も何もかもダメかもしれないと雄太は思うのですが、実は…という展開があります。
哲太が最後まで息子や妻の力を借りて歌を歌い、少しでも自分を取り戻そうとする姿は感動的でした。歌を歌うことで、記憶を呼び戻すんです。それにしても、やっぱり寺尾聡さんの歌は良いですね。今回は洋楽ばかりでしたが、日本語の歌も歌って欲しいなと思いました。
今回は松坂さんも寺尾さんとデュエットしていたりして、おおっ!と思いました。松坂さん、歌も歌えるの?ミュージカルも出来るんじゃないの?舞台も出てみて欲しいなぁ。そんなことも思いました。
この映画、実話の映画化ですが日本で起こったことではないので、もし横須賀でこんなことが起こったらどうなるのかなと思いました。日本人だとこんな風に父親と息子が二人で車で歌を歌いながらドライブするなんて、あまり無いんじゃないかな。それにここまで息子への愛を表現してくれる父親って、日本ではいなさそう。いて欲しいけどいなさそうで残念。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。もし認知症が進行してしまったらという恐怖と、若い頃に出来なかった夢の続きを見ることが出来るという楽しみが一気に押し寄せて、家族みんなで助け合いながら哲太のしあわせを探っていく姿が良かったです。キャストも良かったですね。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「父と僕の終わらない歌」