「ドライブ・イン・マンハッタン」
を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
夜のニューヨークを走るタクシーに、ジョン・F・ケネディ空港から1人の女性客が乗り込む。2人は会話を弾ませ、運転手は乗客の些細なしぐさや会話により、彼女が自立した女性であることを見抜き、恋人が既婚者であることまで当ててしまう。これきりの関係だからこそ歯に衣着せぬ会話が続き、彼女は胸に秘めていた告白をしはじめる。
というお話です。
夜のニューヨーク。ジョン・F・ケネディ空港から一人の女性がタクシーに乗り込んだ。シニカルなジョークで車内を和ます運転手と女性はなぜだか波長が合い、会話が弾む。
客のガーリーは運転手に名前を聞くとクラークだと答える。クラークはガーリーの態度や言葉遣いから自立した女性だと言い当てる。彼女はキャリアのあるプログラマーをしており一人で仕事をしている人だった。そして彼女の恋人についても既婚者だと言い当ててしまう。
驚いたガーリーだったが、クラークが既婚者の手口を幾つも明かし始め、それがとことんガーリーの相手と一致することに驚きを隠せない。聞けば運転手クラークは二度の結婚を経験し、幸せも失敗も経てきた。
もう二度と会うことのない関係だからこそ、お互いの本音を打ち明けていく二人。他愛のないはずだった会話はやがて予想もしなかった内容へ発展し、女性は誰にも打ち明けられなかった秘密を告白し始める。後は、映画を観てくださいね。
この映画、カッコいい作品でした。ある女性が空港から家に帰るまでのタクシー内での会話だけの映画なんです。それだけ?と思われるような内容ですが、そのタクシーの中での会話がどんどん展開していき、乗客ガーリーと運転手クラークの内面や、内に秘めていた誰にも言えなかった大変なお話が浮き上がってくるんです。
空港からの帰りということで、ガーリーは故郷で義姉と会ってきたようでした。昔からの家庭の事情があり姉とは疎遠になっていたようなのですが、久しぶりに逢いに行ってきたようです。子供の頃に姉に虐待されていたガーリーは、今も心の傷が残っているようでしたが、それでも義姉に逢いに行ったという理由はなんだったのかが彼女の秘密なんです。
運転手のクラークは長年この仕事を続けてきているベテランのようで、乗客を見ただけでどんな職業でどんな性格なのかを当てられるほど人間を見てきている人でした。悪い人ではないけど、ちょっとおしゃべりで言いすぎるところもあるようでしたが、とても優しそうでした。きっとガーリーの中にある悲しみを感じ取ったのでしょう。だからずっと話しかけたのかなと思いました。
ガーリーは自宅に帰る途中で恋人にメールを送ります。帰ったら逢いたいと送ると彼の方は盛り上がっちゃって、卑猥な言葉を羅列し、局部の写真を送って欲しいと言い始めます。そのメールを見てガーリーは喜んでいるとも呆れているともわからない微妙な表情を浮かべます。私なら”この男頭悪そうで付き合ってられない。”と思ったんじゃないかな。いい大人が送るメールじゃないでしょ。
そんな彼女の表情を読み取ったのか、クラークが相手は既婚者なんだろうと話します。そして既婚者は愛していると言われるのを嫌がるとか、既婚者は妻以外を性交目的の相手としか見ていないとガーリーに言うんです。まさに性的なメールを相手が送ってきていた後に言うので、信ぴょう性が増しますよね。
でもクラークが言っていることは本当だと思いました。何故既婚者と平気で付き合えるのか私には解りません。だって、戻る所がある人ですよ。自分には手に入らない人なのに、何故本気になっているのか不思議です。遊び相手として見ているだけなら良いけど。
そんなやり取りがタクシーの中でずーっと続くんです。ガーリーとクラークは、最初は軽い会話のつもりでしたが段々と深い部分へと会話が続いていくんです。そしてクラークは自分が2度の結婚をしていて、最初の妻はバカだったけど可愛い女だったとか、過去の話をしていくんです。その妻たちがどうなったのかは判りませんが、クラークがとても寂しそうに話しているので今は一緒にいないんでしょう。クラークは聞き手の方なのであまり詳しい内容は出てこないんです。
ガーリーは、タクシーに乗った直後には恋人に連絡をして、逢いたいとメールをしているのですからこれからも関係を続けていくつもりだったのかもしれません。でもクラークとの会話を続けて、自分が酷いことをされているという事に気が付いていったような気がしました。それまでは”恋”をしていたからなのか、この関係が酷く歪んだものだという事に気が付いていなかったのだと思います。
クラークとの会話の中で、ガーリーは義姉との関係と父親について思い出します。会話では詳しく出ませんが、行政の判断で義姉とガーリーが家を出たという話があったので、父親に虐待されていたんじゃないかな。なのでガーリーは父親のような人を求めていて、今の恋人も父親のような人みたいでした。そこをクラークがチクチク突いて、いい様に遊ばれているという事を言うんです。
それこそ娘を心配して父親が注意しているような構造になってきて面白かったです。ガーリーもこの人がいう事は真実だなと思ったんだろうなと思いました。それくらい、説得力があったんです。タクシー運転手、恐るべし!沢山の人と関わる仕事だと、こんな風に人のことが解ってきちゃうんですね。
ちょっと違うけど、何となく「ドライビング・ミス・デイジー」を思い出しました。優しい運転手に癒されていくという感じですかね。これ、ずーっとタクシーの中の会話劇なので、舞台でやったら面白いだろうなぁ。脚本が上手いので、会話だけなのに情景が全部頭の中に浮かぶんです。そういうお話って、本当に凄いですよね。
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。この映画、カッコいいです。映像は美しいし、脚本も上手いです。ショーン・ペンとダコタ・ジョンソンしか出ていないのに、会話の中には沢山の人が出てきてその情景が見えるんです。ちょっと今までに無いような映画なので、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ドライブ・イン・マンハッタン」