「Welcome Back」
を観ました。Fan’s Voiceさんの独占最速オンライン試写会が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
新人王最有力候補のボクサー・冴木輝彦(テル)と、発達障害を持つ友原勉(ベン)は、同じ団地で兄弟のように育った。ベンにとってテルは憧れで絶対的な存在だったが、テルは新人王決定戦で敗れてしまう。敗北後、何事もなかったかのように振るまうがその生活は少しずつ荒んでいく。そんなテルの様子に耐えられなくなったベンは、テルのグローブを持ち出してテルを倒した相手への復讐を誓う。
というお話です。
新人王最有力候補のボクサー・冴木輝彦(通称:テル)と生まれつき記憶力に長けているが発達障害を持つ友原勉(通称:ベン)。ベンの母親は帰ってくるからと言って出て行ったまま帰って来なかった。そんなベンの面倒を見ていたのがテルだったのだ。二人は同じ団地で兄弟のように育った。
ベンはテルを真似てシャドーボクシングをしていられるだけで幸せだった。ベンにとってテルは憧れで、絶対的な存在だったのだ。だが、そんなテルが新人王決定戦で北澤に負けてしまう。
敗北後、テルは何事もなかったかのように、あっけらかんと振る舞っていた。ベンにも変わらず優しく接しているが、テルの生活は少しずつ荒み、遊び呆ける日々。
まるでボクシングなど初めから興味がなかったようにすら見えるその姿がベンを不安にさせる。憧れだったテルをたった一度の敗北により失ってしまったのだ。
そんな喪失に耐えられないベンはある日、テルのグローブを持ち出して、「テルは負けない」「テルは負けない」と何度も呟きながら宿敵・北澤に復讐を誓い、北澤のいる大阪へと向かう。途中の川崎でテルの対戦相手だった青山に出会い、驚いた青山がテルに連絡をする。テル、ベン、青山という不思議な3人での旅が始まった。後は、映画を観てくださいね。
この映画、良い映画でした。ボクサーのロードムービー?と思って不思議でしたが、確かにボクサーのロードムービーでした。主人公のテルは、新人王有力候補とされていたのですが、決定戦で負けてしまいます。ロードムービーというから、このテルが復活をかけて旅に出そうなもんですが違いました。
これがリアルなんだなと思ったのですが、テルは負けたことで戦意を喪失しボクシングを止めてしまうんです。そんなテルの近くでずっと応援してきたベンが旅に出るんです。テルが試合で負けてしまったことで、自分の好きなボクシングをするテルではなくなってしまったと思ったベンは、決勝戦の相手である北澤を自分が倒せば元のテルに戻ると思って旅に出るんです。
お金が無かったので、東京から歩き始めて川崎までたどり着いたところで、以前のテルの対戦相手の青山に出会います。この青山さんがいい人なんだ。ベンが発達障害であることを知っていた青山は心配になりテルに連絡をしようとしますが、ベンは絶対にテルの電話番号は教えず、ボクシングジムの電話番号だけは教えてくれたので連絡をして、テルが迎えに来るんです。
何で旅を始めたのかを知ったテルは、ベンの大阪行きを止めさせようと色々と策を練るのですが、ベンは全く止めようとしません。仕方なくベンとテルは大阪に行くことにしますが、心配した青山も一緒に行ってくれることになります。それも青山が車で送っていくんです。いくら何でも親切すぎるでしょ~って思ったけど、お金持ちのいい人みたいでした。
道中にあるボクシングジムで、ゲームと称してベンにスパーリングをさせ、勝ったら次に行けるからと教えて進んでいくと、ボクシング初心者だと思っていたベンはテルをずっと見て学んでいたらしく、プロ顔負けのスパーリングを披露しテルは驚きます。
テルはずっとベンの面倒を見て、助けてきたと思っていたんだけど、実は助けられているのは自分の方だったのかもしれないと気づき始めるんです。自分が優位に立って、命令をしていたと思っていたけど、ベンがテルのいう事を聞かなくなった時、その立場が逆転していくという描き方が上手いなぁと思いました。
きっと親が、自分がずっと育てて面倒を見てきた子供が家を出て自立した時に寂しいと感じるのと同じで、テルも寂しいと感じたんじゃないかな。そして自立しようとしているのを邪魔してはいけないという考えが生まれ始めたんじゃないかと思うんです。
この立場の入れ替えが面白く描かれているなぁと思いました。持って行き方が上手いんです。最初はこんな風に展開するとは想像が出来ませんでした。それが、静かにゆっくりと入れ替わっていくんです。それがわざとらしく無いんですよ。自然に入れ替わっていき、テルもベンも大人になって行くという姿が描かれていて、とっても良かったんです。
青山役で遠藤さんが出演していらして、やっぱり良かったなぁ。以前から良いなぁと思っていた俳優さんで「辰巳」で一気に好きになりました。良い役者さんです。そしてテル役の吉村さん、ベン役の三河さん、お二人とも、よく出演してらっしゃいますよね。ドラマなどで本当によく見ますもん。そして北澤役の宮田さん、今回は髪を染めて怖かったけど、彼もよくドラマなどに出演されていますよね。みなさん、これから前に出てくる方々だと思うので期待しています。
映像は雰囲気は良いのですが、ちょっと暗めかなと思いました。単館系の映画って暗めの画面が多いような気がします。悪くは無いのですが、時々観にくいところがありました。それとストーリーの時間が飛ぶところで、突然ブツッと画面が黒くなって次の場面に切り替わるのが少し気になりました。黒い画面の時間が通常より長いから気になったのかな。
少しネタバレになりますが、最後にテルが白飯を食べている場面、良かったです。なんか一人の人間がそこで形成されたように見えて、きっとテルはこれからしっかりした人物になって行くんだろうなという未来が見えました。ちょっとの場面だけど好きでした。この題名「Welcome Back」は”おかえり”という意味なので、こんどはテルがベンに”おかえり”っていうのかなと想像しちゃいました。
私はこの映画、超!超!お薦めしたいと思います。感動しました。邦画ってサクセスストーリーが多くて、命助けたり、三ツ星取ったり、恋愛上手く行ったりが多いでしょ。でも、現実はそんなのばかりじゃないというか、そんなのほとんどあり得ないんです。日常で起こりそうなことをコツコツ描いてくださる映画の方が私は好きだな。この映画は、なんかよい映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「Welcome Back」