「最後まで行く」韓国映画のリメイクだけど日本の懐かしいフィルム・ノワールが帰ってきたようです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「最後まで行く」

 

を観てきました。

 

ストーリーは、

ある年の瀬の夜、刑事の工藤は危篤の母のもとに向かうため雨の中で車を飛ばしていたが、妻からの着信で母の最期に間に合わなかったことを知る。そしてその時、車の前に現れたひとりの男をはねてしまう。工藤は男の遺体を車のトランクに入れ、その場を立ち去る。そして、男の遺体を母の棺桶に入れ、母とともに斎場で焼こうと試みる。しかし、その時、スマホに「お前は人を殺した。知っているぞ」というメッセージが入る。送り主は県警本部の監察官・矢崎で、工藤は矢崎から追われる身になってしまう。

というお話です。

 

 

年の瀬も押し迫る12月29日の夜。刑事・工藤は危篤の母のもとに向かうため、豆の中で車を飛ばす。工藤のスマホには署長から着信が。「ウチの署で裏金が作られているっていう告発が週刊誌に入ったが、もしかしてお前関わっているんじゃないか?」という淡島の詮索に「ヤバい」と血の気が引く工藤は、何とかその場をやり過ごしたものの、心の中は焦りで一杯になっていた。

そんな中、美沙子から着信が入り、母が亡くなったことを知らされた工藤は言葉を失うが、その時、彼の乗る車は目の前に現れた一人の男を撥ね飛ばしてしまう。すでに彼が絶命していることが判ると、狼狽しながらもその遺体を車のトランクに入れ立ち去った。

途中、検問に引っかかるも何とかその場をごまかし署に辿り着いた工藤は、署長に裏金との関与を必死に否定し、その場を後にする。そして母の葬儀場に辿り着いた工藤は、こともあろうに車で撥ねた男の遺体を母の棺桶に入れ、母とともに斎場で焼こうと試みる。

その時、工藤のスマホに一通のメッセージが入る。「お前は人を殺した。知っているぞ。」というその内容に、腰を抜かすほど驚く工藤。その後メッセージは「死体をどこへやった?言え。」と続く。まさかあの晩、誰かに見られていたのか。

そのメッセージの送り主は、県警本部の監察官・矢崎。彼もまた、ある男が行方不明となり、死んでいたことが判明し動揺していた。そしてその男こそが、工藤が車で撥ねた人物だったのだ。さらにその裏には、矢崎が決して周囲に知られてはいけない秘密が隠されていた。追われる工藤と、追う矢崎。前代未聞の96時間の逃走劇の結果は?そして男の遺体に秘められた、衝撃の事実とは!? 後は、映画を観てくださいね。

 

 

 うーん、凄かった!面白かった。さすが藤井監督、素晴らしいです。最後まで、ちゃんと行ってましたね。観る方も、最後まで緊張しっぱなしで、ドキドキハラハラが止まりません。なんか、観た後に、一人で"これだよ。こういう映画が観たかったんだよ!"って、手を握っちゃったもん。

 

日本でも、こういうガッツリのフィルムノワールを作って欲しかったのよ。今回は、韓国映画のリメイクだから、ちょっと寂しいけど、でも、日本の監督で、日本の俳優で、面白かったなぁ。本当にカッコ良かったです。

 

最近は、刑事ドラマとかいうと、リアルが重要視されて、拳銃で撃ち合ったりは、ほとんど無いでしょ。角川映画の最初の頃って、結構、ノワール的な映画があって、楽しめたんだけど、最近は、”孤狼の血”くらいしか思いつかないですもんね。松田優作さんとか、面白い映画やってましたよね。あの頃のように、現実的じゃないけど、でも、そんな日本もあったかもよって事で、フィルム・ノワールを作って欲しいなぁと思っていたんです。

 

この映画、ノワールと言って良いのか解りませんが、面白かったです。工藤という、ちょっと悪い刑事が、雨の日に人を轢いちゃうんです。飲酒もちょっとしていて、ヤクザからお金を貰ったりしていて、悪徳警官なんだけど、極悪ではない感じなんです。で、轢いちゃって、どうしようと慌てて、つい、トランクに死体を入れて隠しちゃうんですよ。そこから、工藤の運命は、山を石が転がり落ちるように、転落していくんです。

 

もー、ホントに、ずっとどうなるのか、どうなるのかとドキドキしていて、先が全く読めないんです。途中で、諦めて、死体を開いてみれば、実は…ということが判るんだけど、全く見もせずに、そのまま死体を処分しようとするんです。往生際が悪いというか、どこまでも頭が悪いというか、途中から、面白くなっちゃって、笑っちゃいました。おいおい、コメディなのかい?って言ってしまうほど、その隠している姿が滑稽なんです。

 

 

岡田さん、本当に上手い役者さんだなと思いました。今までも、上手い俳優さんだなと思っていたけど、今回は、特に、素晴らしいと思いました。ジャニーズの事があって、ちょっと嫌だなと思っていたけど、観始めたら、もう、惹き込まれちゃって、そんな事を忘れました。本当に素晴らしかった。どんな役でも出来ますよね。

 

もう、本当に、日本を飛び出して海外を視野に入れたらいいんじゃないかな。アクションも出来るし、カッコいいし、身長は低いけど、あのアクションがあれば、闘えますよね。トム・クルーズだって、背が低いのにあれだけの事をやってるんだから、岡田さんだって出来ると思うのよ。今回の役は、ダサい姿で逃げ回るんだけど、彼が演じるとダサいけど汚くないから観ていて気持ちイイんです。うーん、好きだ…。

 

それに対する綾野さんも最高でした。矢崎という男は、能面で、イラつくと、顔の皮膚がピクピクするんです。その演技が凄かった。今まで、何事も完璧にやってきたような男なのに、1つの間違いで、自分の人生が狂いだすんです。必死で仕事をして、上司に気に入られ、そんなに綺麗じゃないけど上司の娘と結婚出来ることになり、これから順風満帆になるハズだったのに、一人のチンピラのせいで、崩れていくんです。このチンピラが磯村さんね。

 

もー、観ていると、工藤も矢崎も、そんなに悪い奴とは思えないんです。今やっている仕事の中で、少しでも楽しようとか、得しちゃおうとか、小っちゃい事をしているんです。工藤は、ヤクザから賄賂を貰っているという話をマスコミにリークされ、工藤だけじゃなくて、上司もやっているのに、何故か、工藤だけ言われちゃって、何で自分だけと思うんです。矢崎は、上司の為に、色々な手配をして、金庫の管理もしていたのに、ちょっとしたミスで、全て矢崎のせいにされて、一人で片付けてこいとか言われちゃって、何で俺ばっかりって感じなんです。

 

実は、これにも色々と裏があり、最後の最後で解りますが、全てが仕組まれていて、あまりにもタイミングよく、絡んでくれたという感じなんです。どこまでが仕組まれて、どこが偶然なのか、というのを、観ながら推理していくのも面白いですよ。他の出演者たちも、スノッブ揃いなので、誰もかれも信用が出来ないんです。

 

これ、韓国版も観てみたかったな。私、観ていないようなんです。うーん、残念。でも、日本版が、これだけ面白いのだから、まぁ、観なくてもいいのかな。本当に面白かったです。

 

エンドロールで、藤島ジュリーと名前が出た時は、またも、ゾッとしてしまいましたが、それを吹き飛ばすくらい、映画は面白かったです。はぁ~、でも、なんか、これから、良い映画を観ても、ジャニーズの社長の名前を見てゾッとすることが続くのかな。嫌だなぁ。どうしても頭に、みんなヤラれちゃったんだというのが、こびり付いてしまい、嫌な事を思い浮かべちゃうんです。はぁ~、しばらくはダメなのかな。

 

 

切り替えて、この映画、私は、超!超!超!お薦めしたいと思います。これ、マジでお薦めしたいです。殴り合いとかもあるけど、良く出来ているので、誰が観ても楽しめるんじゃないかな。もう、どうしようもなくなってしまう二人の男が、引き返すことなど出来ず、最後の最後まで突き進んでいく姿が、何とも、滑稽で、これこそフィルム・ノワールだなと思わせる作品でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S : この映画、私、WOWOWさんのプレゼントでムビチケが当たったんです。WOWOWさんが制作に関わっているようで、WOWOW契約者の何名様にプレゼントというのがあったんです。嬉しかったなぁ。WOWOWは、ドラマも良いし、映画も良いんですね。これからも良い作品を作って欲しいです。

 

 

「最後まで行く」