「聖地には蜘蛛が巣を張る」宗教の解釈で殺人まで正義にされるなんて、あってはいけない事です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「聖地には蜘蛛が巣を張る」

 

を観ました。Fan’s Voiceさんの、独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

2000年代初頭。イランの聖地マシュハドで、娼婦を標的にした連続殺人事件が発生した。「スパイダー・キラー」と呼ばれる殺人者は「街を浄化する」という声明のもと犯行を繰り返す。一部の人々はそんな犯人を英雄視し、真相を追う女性ジャーナリストのラヒミは、取材にのめり込んでいく。そして遂に犯人の正体にたどりついた彼女は、家族と暮らす平凡な男の心に潜んだ狂気を目の当たりにする。

というお話です。

 

 

2000年代初頭。9.11のツインタワーテロ事件が発生する。そのニュースを横目に、イランの聖地マシュハドで起きた娼婦連続殺人事件が発生する。「街を浄化する」という犯行声明のもと殺人を繰り返す“スパイダー・キラー”に街は震撼していた。

だが一部の市民は犯人を英雄視していく。聖地で身体を売るような汚い者を排除するのは正しいと言うのだ。女性ジャーナリストのラヒミは、勤めていた出版社でセクハラを受け、退職に追い込まれて、フリーのジャーナリストとなり、このマシュハドに取材に来た。この異様な連続殺人事件に興味を持ったのだ。



 

しかし、調べれば調べるほど、事件を覆い隠そうとする不穏な圧力を受けるが、ラヒミは危険を顧みずに果敢に事件を追っていく。ある夜、おとりとして街角に立ったラヒミは、殺人犯らしき男に誘われ、バイクに乗る。

後日、逮捕された殺人犯は、家族と暮らす平凡な男だった。ラヒミは、彼の心の深淵に潜んでいた狂気を目撃し、戦慄することに。そして、裁判が始まる。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、イランの女性が置かれている境遇というか、差別の中で生きなければいけないという生活が描かれていて、観ていて辛くなるほどでしたが、日本だって、同じような事が起こってもおかしくないほど、まだまだ女性蔑視が残っているでしょ。段々と、声を上げるようになってきたけど、セクハラに耐えている会社員の女性も多いだろうと思います。必死に訴えても男性に相談するんじゃ、理解して貰えないですもん。会社の問題を統括するのは女性じゃないとね。

 

イランのマシュハドという都市で、連続殺人事件が起きるんです。それも、娼婦の女性ばかり。毎回、同じ場所で犯人と出会って、同じ場所に捨てられているようで、きっとその場所に近い人物だろうと推測されるんです。でも、警察に行っても、証拠が見つからないとか、目撃者がいないとか言って、犯人探しが進まないんです。

 

 

ジャーナリストのラヒミは警察に食らいつきますが、のらりくらりとされて、食事をしてくれたら話したくなるかもとセクハラをされる始末。被害者の関係者にも当たると、この聖地で売春をしているような女は、聖地を汚しているんだから、殺すのは聖地を綺麗にするため良い行いだと考えている人々がいて、それもあって、捜査が進まないのだという事が解かってきます。

 

確かに神社の境内で売春をしている人がいたら、罰当たりだと思うけど、街全体が聖地だから、どうしようもないですよね。貧困な人達もいるのだから、何とか稼がなきゃと、仕方なく売春をするしかない人もいるんだと思います。でも、危ない仕事ですよね。誰だか解らない相手と、一つの部屋に入るんでしょ。何されても抵抗出来ないですよね。これは、どんな国でも同じだと思います。日本でも、色々とあるんだろうな。

 

どんなに警察に言っても殺人犯が捕まらないので、ラヒミは、自分で捕まえてやろうと、おとり捜査を勝手に始めます。自分が囮となり、犯人を誘き寄せようとするんです。ま、どうなるかは、映画を観てください。ドキドキしますよ。

 

 

そして、警察が犯人をやっと捕まえます。16人の女性を殺した犯人が捕まるのですが、これが、あまりにも普通のどこにでもいるような男性なんです。戦争で戦死出来なかったことを恥だと思っていて、神に招かれるためには、神に喜ばれることをしなければいけないと思っているんです。そして、聖地で汚いことをしている娼婦たちを片付けただけと話します。ここら辺で、既に、女性を人と思っていないことが解かるんです。やっぱり、イスラム系は女性を男の付属品としか考えていないのだろうと思いました。

 

捕まってからは裁判の話になって、犯人の男の話になっていきます。大体、半分が犯人探しで、半分が裁判の話になるかしら。後半の犯人の話は、普通に妻も子供もいるので、異様に思いました。妻は、夫が正しいと信じていて、娼婦を片付けただけと思おうとしているけど、やはり女性なので、罪の意識があるように見えました。

 

 

でも、息子が中学生くらいなのかな。父親に、悪い事はしていない正しい事をしたんだと教え込まれ、聖地を綺麗にするために父の後を継いでもよいかもと言っているんです。周りの人間も、浄化のためには必要なことだったと言う人もいて、ちょっと狂っているなと思いました。間違った思想をこの年齢で教え込まれたら、人間として壊れてしまいます。見ていると、母親にはほとんど権限が無いみたいだし、やっぱり、宗教的にちゃんとした教えを伝えないと、国自体が壊れてしまうんじゃないかな。みんな、国が嫌になっちゃいますよ。

 

とても考えさせられる、恐い映画でした。よく映画化出来たと思います。街中がこんな考えだと思ったら、恐くて行きたくありませんもん。女性が髪を出していたら怒られるし、女性一人でホテルに泊まろうとしたら満室ですと断られるし、夜に一人で外を歩いていると襲われそうになるし、女性が一人で住める場所では無いという事が解りました。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。もしかしたら、描き方が少し極端なのかもしれませんが、この事件は実話なので、実話をベースに映画は作られています。あの「ボーダー」のアリ・アッバシ監督の作品で、以前の作品に見られたファンタジーっぽい部分は削られていて、より現実にそったお話になっていました。衝撃作ですし、面白いです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「聖地には蜘蛛が巣を張る」