「夜を越える旅」
を観ました。
Fan’s Voice独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
漫画家を目指す春利は夢を諦めることができず、恋人のヒモ同然の暮らしを送っていた。その後ろめたさから学生時代の仲間たちと小旅行へ出かけた彼は、応募していた漫画賞に落選したことを旅先で知り、自暴自棄に陥ってしまう。そこへ、かつて春利が想いを寄せていた小夜が遅れて合流。かすかな高揚感と淡い下心を抱く春利だったが、事態は思わぬ方向へと転がっていく。
というお話です。
漫画家志望の春利は、大学を卒業しても夢を諦めきれず、同棲中の恋人の半ばヒモのような状態だった。そんな後ろめたさから逃げ出すように、学生時代の友人たちと1泊2日の旅行に出かける。大学のゼミの仲間たちとは、久しぶりの再会だった。
昔からの馴染みのロッジを借り、そこへ春利
他、5人で入り、昔の事を思い出しながら楽しく飲み会をしていた。盛り上がっている途中で、春利に電話が入る。彼女からの電話だった。みんなに促され、電話に出ると、応募していた漫画賞の結果が落選だったことを告げられる。自暴自棄になった春利は、ソファで酔いつぶれてしまう。
ふと目を覚ますと、そこへ、かつて思いを寄せていた小夜が遅れて合流してきていた。久々の再会に、春利の微かな高揚感と淡い下心が湧いてくる。
みんなが寝てしまった後、小夜を散歩に誘った春利。二人は懐かしい話をしながら夜道を歩き、ある橋の前に辿り着く。春利がさっきその場所に来た時は、”危険区域”の標識が立てられ通行禁止になっていたハズだが、何故か、今は何も無い。不思議な老人が、「この先で石揉みをしている。」と誘うが、不穏な空気を感じた春利と小夜は、そこから離れるのだが、何故か小夜の雰囲気が変わり・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、青春群像劇っぽい雰囲気から、段々とホラーに移行し、途中から叩き込むようにホラーに落として行くという、不思議な作品でした。ホラー部分は、スプラッターとかとは違い、オカルト系という感じかしら。霊が憑いたりという感じのお話でした。
主人公の春利は、まだ漫画家としても認められていない、バイトをしながら漫画を描いているという青年です。きっと、もう漫画家は無理なんじゃないかなぁという感じだったけど、それでも諦めきれずに描いているようでした。学生の頃に描いていた作品を、まだ完成出来ていないという言葉を聞いて、これじゃ、漫画家は無理だなと思いました。週に何ページも描くのが当たり前の漫画家が、いつまでも考えて漫画を終わらせられないなんて、致命的な弱点です。まず、終わらせることが出来てこその漫画家なんですから。
そんな春利が逃げ出した先が、大学のゼミの仲間との1泊旅行でした。でも、旅行先でも、仲間はみんな仕事に就いていて、それなりに独り立ちしており、先に進めていないのは自分だけという感覚に陥ります。その上、漫画賞に落選したという知らせを聞いたので、頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃったんじゃないかな。その辺りから、春利の観ているモノが、夢なのか、現実なのか、よく解らなくなっていくんです。
その辺りから、どんどんホラー色が強くなっていき、何だか恐いという空気が周りに立ち込めていくんです。他の仲間たちは、普通なんですけど、春利が見ているモノだけ、なんか怖いんです。段々と、霊らしきものが見えてきて、追い詰められて行くのですが、何故か、誰も気が付かない。春利の態度があまりにもおかしくなっていくので、心配して、病院に行った方が良いと言ってくれたりするんだけど、もう、春利の頭の中には、恐いことが一杯で、返す言葉も適当なんです。
仲間の一人だけ、ある現象に気が付き、春利と一緒に、その怖い現象に対処しようとするのですが、うーん、まぁ、その辺りもお楽しみにという感じかしら。ホラーモードに入って、追い詰められて行く部分辺りまでは、凄く怖いんですよ。でも、友達も理解してくれた辺りから、その怖さが減っていくというのか、話しが変になっちゃう感じがしました。
元々、春利が、この場所から逃げたいという事を考えてしまったばかりに、恐い現象が起き始めており、どう考えても春利が悪いんですけど、何故か、友達も巻き込んでいて、彼はとばっちりを受けているんです。おいおい、対等じゃなくて、悪いのは春利だけだぞって言ってやりたかったけど、まぁ、映画だからね。
一応、恐い魔物みたいなのが襲ってくる場面もあるんだけど、うーん、ごめんなさい、ホラーを沢山観続けている私からすると、ちょっと物足りなさがあったかなと思います。ゾッとする感覚が最後まで続いて行くというのが、やっぱり面白いし、ホラーと呼ぶものだと思うんです。途中で、お笑い場面が入ったり、ちょっと休ませる部分が入っても良いんだけど、ある程度の感覚で、最後の最後までゾッとさせて欲しかったな。
監督が、ヘレディタリーというホラーが良かったとおっしゃっていたのですが、ヘレディタリーも最後の最後までゾッとさせてくれるし、あの俳優の恐怖を感じた顔は忘れられなくなると思うんです。そういうものが、今回は、ちょっと少なかったかな。少し残念でした。
九州を拠点にされている監督だそうです。俳優さんも、たまたまですが九州の方が演じられたそうです。あまり見た事のない俳優さんで構成されていて、主人公の高橋さんは、段々とおかしくなっていく姿を好演していたと思います。
面白い映画なんですけど、最後の方の展開が、ちょっと不満が残りました。もう少し、こう、楽しませて欲しかったかな。素直に進み過ぎて、そこまで頑張ってきた怖さとか、ザラザラした感じが、一気に、スルッと抜けてしまった感じに思えて、寂しかったです。でも、そこまでの、ゾッとする怖さと、色々と変な事が起きてくるザラザラ感と、春利の精神的な追い詰められ方が、何とも怖かったのは確かです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。新鋭の萱野監督作品で、まだ、あまり慣れている感は無く、新鮮な感じがしました。インディーズムービーっぽい感が、また、良いかなと思います。但し、やっぱり慣れた監督作品とは違い、モタつく部分もありますので、その辺りはスルーしてください。福岡で先行上映があり、10月21日より、全国公開だそうです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「夜を越える旅」