【BOOK】萩尾望都先生の「一度きりの大泉の話」を読んで。人が集ればこんな事っておきますよね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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週末は、コロナが怖いので新作映画には行かず、シン・エヴァンゲリオンだけ観に行きました。新しい入場者特典があるというし、横浜みなとみらいのイオンシネマは、駅から離れているので、県外からの人が少ないかなと思い、歩いて行ってきました。人は結構入っていましたが、イオンシネマは1席空けだし、少し安心です。何度観ても、シン・エヴァンゲリオンは良い作品だなぁ。私は何度観ても飽きません。自分で決断して、自分の足で歩いて行くという、未来を感じさせる内容なので、こんな時期ですが、気持ちが明るくなります。

 

という訳で、新作映画は観ていないので、週末に読んだ萩尾望都先生の「一度きりの大泉の話」という本について書かせていただきます。出来るだけネタバレはしないように書きますが、どうしても内容上、書かねばならない部分があると思いますので、ネタバレが嫌な方はお読みになるまで、この文章を読んでいただかない方が良いと思います。

 

この本は、萩尾先生が、まだ若い頃に、同じ時代に少女漫画を書き始めた漫画家さんとの交流のお話です。

 

 

 

 

福岡に住んでいた萩尾先生は、子供の頃から漫画が好きで、描き始めていたそうですが、ご両親が反対されていたため、隠れて描いていたようです。この時代、漫画は子供が読む物とされていて、中学にもなって漫画を読むなんてと言われる時代です。そんな時代でも、漫画の夢を捨てられず、高校の頃から原稿を出版社に送っていたようです。卒業後に編集者に竹宮恵子先生の手伝いに行って欲しいと言われ、そこから、萩尾先生の漫画人生が始まったようでした。

 

東京へ出て、大泉に竹宮先生と2階建ての戸建を借りて住んだそうです。そして、そこに、沢山の少女漫画家が訪ねてきたり、色々な交流をしていたそうなのですが、そこでの生活は2年ほどで終わったということが、この本の内容です。あまり詳しくは書けませんが、竹宮恵子と萩尾望都と言ったら、今では、少女漫画家の巨匠の中でもトップクラスの方々ですよね。こんなに才能のある方々が、ひとつ屋根の下で、周りに沢山の人も集まってきた状態で、よく暮らしたと思います。

 

本の中にも、どなたかの言葉で書かれていましたが、才能ある人が一緒に暮らすのは無理があると思います。それぞれの主張もあるだろうし、元々、考え方もタイプも違うお二人なんです。それは上手く行く訳がない。読んでいて辛くなりました。才能のあるなしではなく、会社や学校でも、女性が集まると、どうしてもグループ分けみたいになって、誰かがボスになったり、嫉妬などが入り乱れて何となく一人をハブにしてしまったりってあるでしょ。そういう事なんです。

 

これって、女性特有ではないのかな。私は女性の立場で体験したことを書きますね。ある場所で何人かが集まると、最初は集団でそれぞれに仲が良いんだけど、その内、誰と誰がくっ付いて、いつも二人でいるようになり、同じ仲間だった他の子が入れなくなるという事が発生します。きっと、二人は他の人をハブっている訳じゃないと思うけど、二人の世界が出来ちゃって、他の人は目に入らなくなるんでしょうね。

 

そして、二人で考える事だけが正しいと思ってしまい、周りの世界が見えなくなるんです。きっと、外から見ていれば、あなた達の言っている事はおかしいよって判るんだけど、その二人には見えなくなる。誰か、外から二人に”おかしい”と言えれば良いのですが、もう二人の世界に入ってしまったら、誰が言っても無駄なんですよね。簡単に言うと、二人で組んで他の人を排除しているという事です。排除とは思っていなくても、それは排除なんです。

 

こういう事って、どんな世界でも起きていて、それぞれに自覚が無いのが恐ろしいと思います。お互いに文句が言える立場なら良いのですが、それぞれの性格もあるので、怖くて文句も言えずに閉じこもってしまう人だっているのです。誰か、相談が出来る人がいれば良いのですが、本当に悲劇だと思います。そんな事があり、大泉の2年間の生活が終わったというような事が書かれていました。

 

 

BL漫画というと、今は一般的に浸透していますが、この竹宮先生の「風と木の詩」が最初だったのではないかと思います。その頃から、少年愛というものが少女漫画に入るようになるのですが、萩尾先生の漫画は、思春期の少年がメインになっていても、同性愛とは違う描き方でした。思春期の少年たちの中で起こる葛藤を描いているだけで、恋愛とは違うんですよね。友情や嫉妬、ねたみ、憧れや嫌悪など、男女関係無く起こる日常を描いていたと思うのですが、それをよく読み込めずに同性愛と捉えてしまう人もいたのかと、この本を読んで思いました。

 

だって、美しいものを観たら、男も女も関係無く憧れるし、触ってみたいと思うでしょ。そういう感覚なんです。それを、頭が凝り固まってしまった人たちは、同性愛の漫画だと捉えたのでしょうね。私には不思議ですが、そういう人もいるんだろうなと思いました。
 

そういう勘違いをされることで、萩尾先生が苦しんだという事が書かれていました。こういう出来事があったなら、思い出したくないだろうし、凄いストレスを感じるだろうなと思いました。二度と、萩尾先生を苦しめないであげて欲しいので、この本以外で出版社の方は聞かないであげて欲しいと思います。

 

時々、いますよね。何でも同性愛に結び付けて、キャーキャーいう人って。私には、不思議な感覚を持っているなと思えてしまいますが、あれは、何なんですかね。欲求不満なのか何なのか、そんなにエロいことしたいなら、自分が男でも女でも買ってすればいいのに。今時、何でもありなんで、お金さえ払えばご奉仕してくれますよ。これはどうしても、私には理解が出来ない感覚です。

 

少女漫画界の巨匠が、こんなに苦しんでいたのかと思うと、よくそんな思いの中、あんなに傑作を描いてくださって、ありがたいと思いました。私、萩尾先生の漫画はほとんど読んでいて、ポーの一族はもちろん好きですが、SF系の漫画が好きなんです。レイ・ブラッドベリのSFを描いてくれている作品とか、とても好きです。特に、光瀬龍先生の「百億の昼と千億の夜」は好きですし、「銀の三角」も好きなんです。ホント、もう、嫌な事は封印して、好きな漫画を描き続けていただきたいです。

 

この本、もし漫画に興味のある方は、ぜひ読んでみていただきたいです。本の中には、手塚治虫先生や石ノ森章太郎先生、他にも、巨匠と呼ばれる漫画家の先生方の生活が垣間見ることが出来ます。昭和時代には、漫画がどのような立場だったのかという事も解り、日本の漫画がどのように変わって来たのかも判るので、楽しめると思いますよ。それに、集団生活の難しさも書いてあるので、もし、シェアハウスなどに住もうと思っているなら、読んでみても良いのかなと思います。

 

明日から、また1週間、始まっちゃうなぁ~。うーん、がんばろっと!

また、映画の感想を書きますね。カメ