【TIFF2020】「赦し」同じことが家族に起きたら私は心とどのように折り合いが付けられるかな。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京国際映画祭2020で「赦し」(TOKYOプレミア)を観てきました。

 

ストーリーは、

 

内向的な性格の12歳の長男アジズと、快活な10歳の次男メリク。対照的な二人の息子。厳しい父親と口数の少ない母親の4人家族は、トルコの山間の町に住んでいた。

 

ある日、メリクに強請られて、父は息子たちに銃の扱い方を教える。兄弟は、銃で遊んでいた。アジズは誤ってメリクに向けて発砲してしまう。お気に入りの次男の身に起こった事故に茫然とする父と沈黙する母、絶望するアジズ。

 

 

家族は、どうしたら良いのか解からず、アジズは母方の叔母の家に預けられます。父親は、何も手につかなくなり、仕事をしていても上の空です。母親は泣いていましたが、段々と壊れてしまったアジズを助けなければという気持ちになります。

 

アジズは、家に帰ってきても眠ることが出来ず、少し寝られたとしても悪夢を見るようで叫び声をあげて起きてしまいます。いつも上の空で、学校でも、誰の声も聞こえないようです。学校の先生は、しばらく家で休ませた方が良いというのですが、家にいても同じ状態なので、母親は、日常を取り戻させる為に学校へ連れて行っていたのでした。

 

父親は、アジズを見ると、どうしてもメリクの事を思い出してしまい、怒りがこみ上げてしまいます。アジズのせいではないと解っているのに、止められないんです。そんなバラバラになってしまった家族は、再生することが出来るのか。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、辛い映画でした。内容としては上記で全てなので、込み入った話ではないのですが、この内容は、難しいですよね。だって、誰も悪くないんですもん。よく考えていくと、子供たちに銃を教えた父親、子供たちが遊びで銃を使ってしまうような場所に置いておいた父親ということになるのでしょうか。

 

私は、どう考えても、父親が悪いでしょって思うのですが、この父親、悪い人ではないのですが、あまり深く考える人ではないように見えました。表面しか見ていないので、元気で良く話す次男のメリクがお気に入りだったんです。これ、酷いと思いませんか?だって、次男の方が、お兄ちゃんがいるんだから、快活になるし、話だってするようになりますよね。厳しい父親だと怖いから、長男は委縮するけど、長男を盾にしている次男はやりたい放題になるんですよね。大体、世渡りが上手いのは次男が多いかなと思います。兄を盾にして周りを観察し、上手く立ち回るので人受けが良いんです。父親なら、それを解って接してやらないと、長男が壊れますよ。引きこもりって長男がなりやすいでしょ。

 

 

せめて母親が、そんな父親の”ひいき目”を感じて、アジズに特に優しくしてあげれば良かったのにね。そんな家族内の状態があったので、銃の事故が起きた時に、アジズは凄い勢いで走り出し、父親は酷い目をアジズに向けてしまったのだろうと思います。

 

いやぁ、でも、こうなるとどうしようもないですよね。誰にも、怒りや苦しみをぶつけられないので、本当に何と言って良いのか解りません。日本でも、車の事故で、家族を轢いてしまったというニュースを聞いたことがありますが、どうしようもないですよね。誰が悪いって、誰も悪くないんですから。不可抗力で起きてしまう事なので、後は、自分の心の中だけで解決するしかなく、凄く辛いと思います。

 

この映画でも、最後の方は、微妙な描き方でした。そりゃ、そうですよ。こういう問題に解決は無いんですから。少しづつ、時間をかけて癒して行くしかないんです。何とも言えない内容でした。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。辛いけど、こういう事故はよく起こる事だし、自分に起きた時は、どう、心との兼ね合いをつけるべきなのか、納得は出来ないから諦めをつけるしかないだろうし、映画を観て、考えてみる事も大切かなと思いました。でも、答えは出ないでしょうね。日本公開は、どうかなぁ~。暗いので、難しいかもなぁ。でも、もし、上映されたら、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「赦し」