【演劇】「カリギュラ」暴君となった皇帝の悲しみを理解する人は少ない。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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舞台「カリギュラ」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

ローマ帝国皇帝カリギュラは、最愛の妹・ドリジュラを亡くし、姿を消す。国政が滞り、右往左往する貴族たち。

 

三日後、ようやく表れたカリギュラはエリコンに不可解なことを手伝うよう、内密に頼む。その一方で、王としてあらゆる民から財産の没収を突然宣言し、人々を混乱に陥れた。

 

それから三年。カリギュラは、処刑、横領、貴族の妻を奪い公営売春宿で働かせる、市民の食糧保管庫を閉鎖して飢饉を起こす・・・など、暴虐の限りを尽くしていた。誰もがカリギュラを恐れたが、セゾニアは彼の理解者であろうと努め、途方もない無償の愛をもって寄り添い続ける。

 

シピオンはカリギュラに父を殺されながらも、詩という芸術を通して心の深いところで繋がってゆく。唯一、才気溢れるケレアだけはこれ以上カリギュラを生かしておくと世のためにならないと、暗殺を計画。カリギュラは状況を察知しながらも、不可能を手に入れるべく、破滅へと進む・・・。

 

というお話です。

 

 

この舞台、凄かったです。菅田さん、上手いですねぇ。狂気が拡散されて、こちらまで巻き込まれそうになりました。この「カリギュラ」というお話、アルベール・カミュ原作なのですが、何とも哀しい話なんです。

 

一見、ただカリギュラという皇帝が、その力を使って、やりたい放題して、国民が苦しめられるという内容なのですが、私には、凄い深い愛の話のように感じられたんです。カリギュラは妹のドリジュラを亡くし、その悲しみを忘れられず、帝国全てを巻き込んだ、壮大な自殺を試みていると思えるんです。

 

近親相姦になってしまうけど、カリギュラはドリジュラを凄く愛していて、自分の愛人としていたらしいんです。まぁ、昔はそんな事も、色々あったのでしょう。そんな愛する人が突然に亡くなり、何故、神は愛する人を突然に奪うのかと、神を恨んだと思うんです。本当だったら、自分も愛するドリジュラの元に行きたいと思って、自殺を考えたと思うのですが、それでは神への復讐にならないと思い、それならと、自分が帝国の神として振る舞い、人間の生死を簡単に操って、神に対して復讐をしていたんです。

 

 

でも、もちろん、カリギュラ本人だって、そんなことがいつまでも通るとは思っておらず、きっとこんな自分を誰かが殺しに来るだろう、そうすれば、ドリジュラと同じところに行けるという考えもあったのだと思います。その日をずーっと待っていたのだと思いました。だからこそ、ケレアが暗殺を計画しても、全く怒らなかったのだと思いました。

 

それにしても、こんな壮大な自殺をされたら、周りの人間は溜まったもんじゃないですよね。本当に迷惑な話なのですが、カリギュラにしたら、こうせざる終えなかったと思うんです。自分で死ねば、神に復讐したことにならないし、可哀想だと思って手加減していたら、誰も自分を殺しに来てはくれないでしょ。マジで迷惑な話なんだけど、それくらい、カリギュラという人物は、誠実な人だったので、適当に終わらせることがどうしても出来なかったのだと思います。

カリギュラを菅田さんが演じていたのですが、狂気の中に悲しみがあり、自分の内部に迷いがあるけどそれを払拭するように、とんでもない事を考えて実行に移していく姿があり、とてもカリギュラの姿を良く描いていたと思います。きっと、本当に愛する人が傍にいてくれたら、良き王でいられたのだと思います。セゾニアは愛してくれたけど、彼の欲しかった愛ではなかったのかなと思いました。

 

それに、3日前までは、まともな王様だったんだから、いきなり人を殺し始めるというのは、キツかったと思いますよ。常人の意識を押し殺して、狂人として人を殺していくんでしょ。そりゃ、精神はズタボロになりますよ。そんな疲れていくカリギュラも感じられました。

 

それにしても菅田さんの”ピヨコちゃん”スタイルにやられました。うーん、それは可愛いわね。横に置いておきたいくらいだわ。時々、「ピ、ピ、ピーヨコちゃんだ、アヒルだガーガー」ってやって欲しいな。わぁ~、これ知っている人は少ないだろうなぁ。

 

セゾニア役の秋山さん、素敵でしたぁ。もう、今、秋山さんなしにはエンタメを語れないってほど、良く出演してらっしゃいますよね。美しくて、上品で、彼女の代わりはいないと思います。今、大切な女優さんですね。

 

 

私は、この舞台、超!超!お薦めしたいと思います。これは面白いです。カリギュラという人物を、深く感じて、理解してあげて欲しいです。人は生まれたら死に向かって生きているんだという事を理解し、そんな命をくれた神を恨んだ皇帝の姿を堪能してくださいね。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「カリギュラ」新国立劇場

https://horipro-stage.jp/stage/caligula2019/