舞台「誰もいない国」を観てきました。
ストーリーは、
ロンドン北西部にある屋敷の大きな一室。
屋敷の主人ハーストと、スプーナーが酒を飲んでいる。
詩人のスプーナーは、酒場で同席した作家ハーストに付いて、家まで来たようだ。酒が進むにつれ、べらべらと自らをアピールするスプーナーに対し、寡黙なハースト。スプーナーは、共通の話題を見出そうとハーストに話をふるが、もはやそれが現実なのか虚構の話なのかわからない。
そこへ、ハーストの同居人、フォスターとブリグスが表れて・・・。
というお話です。
ハロルド・ピンターの戯曲です。彼のお話は、難しいとされていますが、マジで難しいと思いましたが、終わって、ふと気が付くと、別に、長々と続いていたセリフの内容を考えなければ、あ、そういう事かって感じで、道が開けました。うん、彼らが会話をしている内容は、大して重要じゃないんですよね。
これは、私の解釈ですが、どんなに会話をしていても、全て自分の中での問答であり、本当に「誰もいない国」なんです。人間、誰もが、自分の中に、自分の国を持っていますよね。そういう事なんだと思いました。だから、主人ハーストがい会話をしないのも分かるし、突然、入って来た詩人のスプーナーだけが、必死で話しかけるのも理解出来るんです。きっと、自分の中で、新しい事を考えようとしていたのだと思うのですが、本当の自分自身は全く動かないんですよね。
そして、自分の中にいる、小さな人格が出てきて、外から入って来た詩人が言う事に、ある程度は耳を傾けるけど、ただ、聞いてあげるだけで、それを取り入れようとしない。それは、ハーストの中で、ふと思いついたことを考えてみたけど、やっぱりそれは自分らしくないと跳ねのけた感じなのかなと思いました。
全ては、自分の中で起こっている事を、この舞台で描いているのかなと思いました。だって、一口酒を飲むと、天井から一口液体が落ちてくるでしょ。それがヒントなのかなと思いました。
この舞台でくどくど、感想を書くのは野暮かなと思いまして、ちょっとだけ書かせて頂きました。この舞台は、雰囲気を楽しんで、自分の内部の自分の国を、どうさばいていくのかという事が描かれていたのかなと思います。観ている時は、どうなるのか全く分からず、ちょっと眠くなりましたが、観た後に頭の内部がフル回転すると、凄く面白く感じてくる作品でした。うん、凄く面白かったです。観ている間は、苦痛でしたけどね。(笑)観た後の、パッと開けた世界が、何とも言えずに気持ちが良いんです。私は、好きでした。
私は、この舞台、お薦めしたいと思います。でも、もう終わっちゃったのかな。もっと早く感想を書けば良かったのですが、私も、最期の方で観に行ったので、遅くなってしまいました。もし、今後、この作品が上演されることが在ったら、ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
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