【演劇】「華氏451度」レイ・ブラッドベリの名作を素晴らしいキャストとスタッフでご覧下さい。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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舞台「華氏451度」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

徹底した思想管理体制が敷かれた近未来。本の所持は禁止され、人々は、テレビやラジオから流れる映像や音声が与える情報の中に暮らしている。

 

ガイ・モンターグは、発見された本を償却するファイアマンの一人。紙が発火する温度を意味する「451」のエンブレムを身につけ、仕事に誇りを持ち、同僚たちともうまくやってきた。

 

だが、ある晩、隣家に住む風変りな少女・クラリスと出会った事で、彼の価値観は徐々に揺らぎ始める。なぜ本は禁じられ、焼かなければいけないのか、果たして自分は、今、幸福なのか・・・。さらに、本に殉じ、自ら焼死することを選んだ老女を目の当たりにし、彼の疑念は確かなものになっていく。

 

仕事の現場から持ち出した数々の本を読み始めるモンターグ。事態を知った妻・ミルドレッドとの溝は深まり、上司であるベイティー隊長にも異変を嗅ぎつけられるなか、彼は、以前、公園で出会った元大学教授フェーバーに助けを求める。そして・・・。

 

というお話です。

 

 

本を禁止された世界って、幾つもあるのですが、このSFが一番古いんじゃないのかなぁ。SFの大御所レイ・ブラッドベリにより書かれた小説で、1954年に書かれているらしいんです。確かに、戦争やらなんやらがある時代だと、人々は抑圧され、思想も個々で自由に持てる事は無くなり、考えを伝える為の本は禁止されるだろうという想定の下で、書かれたのだと思います。言論の自由は無くなるという事ですよね。

 

そんな世界で、政府の犬として働かされていると、何が正しいかなんて、全く考えられなくなってしまう。よく、公務員は安定していて、食いっぱぐれないからなりたがるという方も多いだろうけど、思考を操作されて、安定する為には従うという事を続けていたら、この舞台に出てくるファイヤーマンと同じになっちゃうんだろうなぁ。火を消す消防士では無く、本を焼く昇火士(ショウカシ)として働き、焼けと言われれば、何も考えずに焼くことに専念させられるんです。文字を焼く、思想を焼く、考えを焼く、それは人間としての尊厳を失うのと同じような気がしました。

 

そんな世界で、主人公のガイは、隣家のクラリスという少女と出会って、考え始めるんです。自分は何をやっているんだろうと、自分に問いかけ始めるんです。

 

ガイを吉沢悠さんが演じているのですが、その不安が伝わってきて、上手いなぁと思いました。上司役を吹越さんが演じられていて、上司が、どんどんガイを追い詰めて行くんです。考えるな、政府の命令だけ聞いていれば問題が無いんだ、正しい人間に戻るんだと、ガイを精神的に追い詰めて、自分たちの方に引き寄せようとするのですが、ガイは、どうしても戻れずに、元大学教授に助けを求めるんです。

 

 

そんなガイの心の支えとなっているのが、隣家のクラリスである、クラリスが似ていたとされる女性ミルドレッドであり、森の中に生きる鹿なんです。凛とした美しさで、何ものにも揺るがない、そんな生物としてとらえられていて、美波さんが演じられていて、本当に美しかったです。特に、鹿の表現が素晴らしくて、今も目に焼き付いています。美波さんの演技、もっと観たいと思いました。

 

脚本が長塚さんで、演出が白井さんでした。どちらも素晴らしかったのですが、特に、演出が美しかった。やっぱり白井さんの舞台演出は美しいですね。舞台の奥行が本当に良く描かれていて、普通の舞台で観るよりも、もっと奥深い、今回は、特に、森の奥に居るような、そんな感覚を与えてくれるものでした。いつも思うのですが、白井さんの演出は、ごちゃごちゃしていないのに、何故、こんなにも空気感が描かれて、広い世界が狭い舞台の中に現れるんだろうと思い感動してしまいます。今回も、深い深い森の中を逃げて、鹿に出会い、新しい世界へ旅立つという、凄いものでした。

 

 

いやぁ~、本当に観て良かった。私は、この舞台、超!超!お薦めしたいと思います。美しいし、内容が良く出来ていました。素晴らしいです。やっぱり、舞台を選ぶ時に重要なのは、演出家と脚本家かな。素晴らしかった。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「華氏451度」   http://www.kaat.jp/d/kashi451