先日、譽田哲也作 「ヒトリシズカ」という小説を読みました。
ストーリーは、
5つの殺人事件。果たして刑事は真実を見たのか?果たして女は幸せだったのか?今、注目を浴びる著者の連作警察小説。
木を見て森を見ず――。細部に注意しすぎ、肝心の全体を見失うことのたとえで、事件捜査において、最も避けなければならないことである。この小説に登場する刑事は皆、これを徹底し犯人を逮捕していく。だが、彼らは気づかなかった。その森が想像以上に大きく深いということに……。5つの殺人事件。果たして刑事は真実をみたのか?今、注目を浴びる著者の連作警察小説。
というお話です。
あの「ストロベリーナイト」の譽田さんの作品だったので、面白いかなぁと思い、読んでみました。
警察小説なのですが、ある犯罪に関わった少女=女性の生涯を、その犯罪に関わったそれぞれの警察官の目で描いているんです。ちょっと、他の小説とは違い、面白いなと思いました。
ある警察官の娘が行方不明になるのですが、その娘は、警察官の妻の連れ子で、実子ではありません。でも、警察官は娘を大切にしていたし、普通に暮らしていました。何故、行方不明になったのか、全く理由がわからないまま、何年も探し続けます。それは、娘の父親である警察官から観た少女の話。
静かな町の交番に勤めている警察官。まず、大きな事件など起こらないと思っていたら、ある日、殺人事件が起こったとの連絡が入る。現場に駆けつけてみると、先輩警察官が既に居て、何かを隠しているようだ。ある程度、事件が解決してきた時点で、先輩警察官に真相を聞き始める。すると、ある少女が事件に関わっていたという話が・・・。
元警察官の私立探偵が、行方不明の少女を探し始めると、何故か、暴力団の頭の浮気調査と繋がっているような気配が。まさか、まだ中学生の少女が、暴力団と関わるはずが無いのだが、謎を解いていくと、そこには、抜けられない闇が見えてくる。
このように、個々の警察官から観たシズカという少女の生き様が描かれていて、もちろん時間も経過して行くので、シズカも少女がら大人になり、どんな人生を送っていったのかというお話なんです。そのシズカという少女の動きは、警察官から見た動きだけなので、とても謎めいていて、不思議な感じで楽しめるのですが、これ、もう少し、長く描けなかったのかしら。
実は、シズカのある程度までの人生は追っているのですが、ある地点でバッサリ斬られて、最終章に突入するんです。そして、シズカの何年か分は、証言で、少ししか解らないの。なんか、盛り上がってきたなぁ~、どうやってまとまり付けるんだってところで、ハイ、残念でしたぁ~って言われたような感じで、え、これで終わり??って思ってしまいました。
ここまで盛り上げたなら、花火を上げろとは言わないけど、せめて、納得の行くシズカの最後の生き様を、少し丁寧に描いて欲しかった。彼女がどう生きていたのか、知りたかったです。結構、少女時代からハードな生き方だっただろうから、その後、少し大人しい生活だったとしても、納得出来たのではないかと思うんです。
でも、一人の人物を、他の目から見て描いていくという試みって、面白いなって思いました。とても読みやすくて、スムーズに読んでしまいました。最後の一歩手前までは、とても楽しめたと思います。
もし、気になったら、ぜひ、読んでみてくださいね。
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