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チークキスにみる外交と友情と政治の原則

5月末にトランプ大統領が来日して、わが友、雅子皇后陛下が皇后陛下として「外交デビュー」と騒がれはじめて、「チークキス」ということを初めて知った方々も多いのかもしれない。それぐらい、チークキスということがマスメディアを賑わせているような感がある。

本来は、ヨーロッパの友人どうし、親しいものどうしで行うこの習慣。アメリカ(米国)ではハグ(Hug)が中心だからあまり見られないが、ヨーロッパには原則としてハグという習慣はない。王族や皇族が関係するところであれば、女性の場合は目下のものが目上というか立場が上の存在に向かってカッツィーといって膝を降りたたんで挨拶をするのが礼儀である。

上の写真は、ケイト・ミドルトン妃(Duchees of Cambridge)がエリザベス女王陛下に対してカッツィーとした後にチークキス(フランス語では、Bisous , 英語ではPeck on the Cheeck , Kiss on the Cheek, Air Kiss とも呼ばれたりする)をなさっているところである。本来であればエリザベス女王のほうが立場が上であるので、カッツィーだけのところを、義理の祖母としてはチークキスなのであろう。

いろいろと、ヨーロッパとアメリカ(米国)との違いもさることながら、ヨーロッパでも、英仏は基本的に右・左と一回ずつ。男性どうしの場合は、外交上上の立場の存在に対して(王族、皇族)最敬礼であり、カッツィーも行わないし、男性どうしのチークキスというのもない。

ヨーロッパでは政治家どうしでも、男女の場合はチークキスをしている。カナダのトルドー首相(カナダはフレンチカナディアンも多い)とドイツのメルケル首相の場合など。以下の通り。
これは自分で英国やヨーロッパに在住してみて、仕事やプライベートで旅をしてきて、意外と考えてしまうことがある。つまり、一部の地域のヨーロッパでは右・左・右と3回チークキスをしなければ、親しみの表現として不十分だったりするからだ。具体的には南フランスとか、あるいは、スイスのジュネーブなどのフランス語圏など。
また、先ほど、男性どうしではチークキスをしないと書いたが、例外的に旧ソ連の「共産党同志」達、昔ではブレジネフ書記長などがキスを3回していたなあと思いだす。上の写真を見てみると、チークキス(フランス語のBisousではなくBaiser)に限りなく近いようなので、旧ソ連邦において政治家になるのも大変な苦労だなあと感じる。念のために補足しておくと、上記の写真の方々はLGBTの指向でそうしているのではない。

しかしながら、アメリカ(米国)において、LGBTとは関係なく、女性どうしが友情をあらわすために唇へのキスというもの体験したことがある私において、ちょっと違和感がぬぐえなかった感がある。それ以外はチークキスというのは、日本人のお辞儀もいいけれど、なかなか、捨てがたい素敵な習慣でもあると思う。

しかしながら、この写真にはびっくり、こちらです。

これはフランスのマクロン大統領がアメリカのトランプ大統領にチークキスをしているところだ。かなりびっくり。トランプ大統領において、もしかしたら「マクロン氏とのチークキスは、真珠湾攻撃以来のびっくりだった」というようなツイートでもあるかもしれないと思ったりする。



そして、これが、雅子皇后陛下と、マクロン大統領夫人のブリジッドさんとのBisous。男性はやらないことになっているけれど、男女の間では行われるものである。天皇陛下がおやりになったか否かの写真はなかったけれど、上の写真を見ていると、マクロン大統領が天皇陛下にキスしそうな熱いまなざしという熱気を感じたりする(笑)。

英国に留学もされている天皇陛下のことだから、大丈夫であられただろうと思うけれど、フランスのほうが、英国よりも情熱的ではあるので、ちょっと上の写真を見ていると天皇陛下におかれてどんな行動をおとりになったのかなあと心配になる私である。

アメリカではハグということを、私が17歳にしてアメリカ留学して初めて体験したぐらい、ハグという英語も、抱き合うという挨拶もそのころにはなかった。たかが挨拶、されど挨拶。外交や政治の世界でも、その一瞬において、いろいろな計算や人間関係や国家関係などいろんな想いが集約する重要な一瞬だと思う。