こんにちは! ゆきです😊
ぽかぽか暖かい陽気で、過ごしやすさを感じるようになってきました。
わたしの中では花粉症のピークを過ぎたような気がするので、少し気が楽になり、春を楽しむ心の余裕も感じられ、春を楽しみたいなと思う今日この頃です。
さて、先日の記事でも書きましたが、明日3/26に阿部智里さんの八咫烏シリーズ最新刊「亡霊の烏」が発売されます![]()
わたしはオンライン予約をしたので明日本が手元に届きます💓今から本を読むのがワクワクして、明日の今頃には読み始めているのかと想像するとニヤニヤしてしまいます![]()
「亡霊の烏」を読むにあたり、既刊の復習をしました。半月ほどでシリーズ後半の4冊を読み直し、忘れかけていた魅力的な登場人物たちを思い出し、何が今のわたしにとって気になることなのかを確認しました。
最新刊を読んだら、今感じていることの感じ方もきっと変わってしまうと思ったので、今のうちに書いておこうと思った次第です。以下既刊のネタバレを含みますので、知りたくない方は、そっと閉じていただいた方がいいかもしれません![]()
★翠寛(すいかん)がどう動くのか
本編ではあまり描かれることがなかった翠寛。「烏の緑羽」では長束陣営に焦点を当てた人物紹介と長束側は何を考えていたのかを知ることができます。彼らはきっと雪斎の統治する山内に対して、終幕に向けて何かしら働きかける存在としてこれから描かれるのではないか、と復習してその思いを強めました。
翠寛は、雪斎こと雪哉とは折り合いが悪く(頸草院の頃は教官と生徒の関係)、猿との大戦で幽閉されるも、清賢の紹介により長束に仕えることになります(指南役という言葉の方が適当かも)。長束に金烏と共に山内を支えることの本質の理解を促すために、山内で暮らす民たちの現状をOJT形式で学び教えます。雪哉目線で読むと(「空棺の烏」「弥栄の烏」)、翠寛は何か嫌な奴だな~と思ってしまうのですが、「烏の緑羽」を読んでみると、彼がどうして「弥栄の烏」であのような行動を取ろうとしたのか理解が深まり、個人的には翠寛を魅力的な人物だと思うのです。
雪哉とは性根が根本的に違うので、出方も当然違うわけですが、雪哉のしていることや考えを心情的には理解したくなくても分かっているのではと思うと、わたしとしては翠寛と雪斎の分かち合いを見られるのであれば心底見たいと思ってしまうのであります。
その行動に慈悲がないと、冷酷だと分かっていてと他に仕様がなくて行動に移してしまう雪哉(雪斎)と、弱者を切り捨てずになんとか方法を模索したいと思い後手に回ってしまう翠寛と、この2人が友のようになれたらいいのになと思ってしまいます![]()
★雪斎はどのように主を弑した陣営を白日の元にさらすのか
わたしが思うに、雪斎は自分の感情を殺して生きているのではないかと思うのです。
「追憶の烏」で主を殺された雪哉たちは、復讐したいと思う皇后と自分たちの統治の失敗を認め新しい金烏のもと山内を治めようとする雪哉とで割れます。
雪哉は、武器を取って闘い多くの犠牲を払うよりも、いつかこの理不尽を正し陰謀を白日の下にさらすために、新しい金烏を受けいれ、自分たちの立場を盤石なものにすることを選びました。
雪斎となった雪哉が、まだこの気持ちを持っているのか正直窺えないですが・・・わたしとしては、雪哉がまだこの気持ちを持っていて、今の自らの統治をどうにか変えようと思っていたらいいのにと思うばかりです。
★奈月彦は何を雪哉に相談しようとしたのか、二人の関係性について
奈月彦は雪哉に外界留学に向かう前に、外界から戻ってきたら相談したいことがあると言いました。外界を見たうえで、雪哉がどう感じるのかを知りたいと奈月彦は言いました。
初読時にはあまり考えませんでしたが、今回復習として読み、先ほど思い浮かんだことがあります。
猿との大戦で雪哉がやったことと、外界を見てそれでも自分がしたことを最善だと信じるのか聞きたかったのではないかとわたしは思いました。
「烏の緑羽」で翠寛に猿との大戦時に取った行動について咎められた奈月彦は、自分が慈悲深い君主でいるために、やらねばならぬがやりたくないことや自分ができないことを雪哉にやらせている(雪哉を利用している)と話します。「烏の緑羽」を読むまでは、わたしは奈月彦を慈悲深い男だと思っていましたが、本当にショックでした。雪哉はおそらく利用されているとは思っていなくて、金烏である奈月彦から信頼されていると信じて疑っていないように見えるのです。
雪哉は自分を視野が広く冷静に物事を見極めることができるために自分の判断を正しいとおそらく思っているのではないかとわたしは思っています。そんな雪哉に外界(人間界)の政治や経済、福祉などの仕組みを知ってもらい、少しでも視野を広げ、真に金烏である自分の翼になってほしいと思っていたのではないかと思うのです。奈月彦が雪哉を利用していたことには衝撃を受けましたが、それだけではなく、彼なりに雪哉の信念も尊重しつつ一緒に同じ目線で山内について考え行動していきたかったのだろうとわたしは思いたいです。真相は作者のみぞ知る、なのでしょうか。最新刊と最終巻で何かしら知ることができるといいなと思います。
★忠臣とは
「烏の緑羽」は長束が路近との関係に悩んで「忠臣とは何か?」から始まる話でもあります。
奈月彦は自分のことを正しく理解し続けようとする者、だと長束に話します。
その意味で考えると、雪哉は奈月彦の忠臣ではきっとなかったのでしょう。
一方で、翠寛は長束にとっての忠臣であるのではないかと思うのです。
路近は人間の間には利害関係しかないと考えていたことを「烏の緑羽」で読者は知ることになりますが、奈月彦の考える忠臣は、利害関係でもなく、一方的に相手に忠誠を求めることであり、なかなかに厳しいなと思います。その臣にとって一対一関係での主になれないのだから、相手が捧げてくれる忠誠心にすがるしかないと言いますが、わたしとしては奈月彦は相手と対等の関係を望んでいるようには見えないですし、信頼関係を結ぼうとしていないように思えてなりません。身分差や主従関係だから云々ではなく、お互いがお互いを対等な存在として認識し、そのままの相手を理解し続けようとすることができたら、奈月彦と雪哉の関係性も違ったのかな・・・と思うのです。忠臣とはずれてしまいましたが、自分のことだけでなく、相手のことも同じように理解しようとしたのかなと気になってしまいます。
★雪哉は金烏に会わなければそれなりに幸せになれたのでは
元も子もないことを書きますが、もしかしたら雪哉は郷長家の次男坊として暮らしていた方が幸せだったのではないかと思ったことが何度もあります。
猿との大戦で自分の理解者を亡くし、鬼のように自らの心を殺して生きている姿を見ていると、郷長家の次男坊として、郷長をする兄を支える雪哉だったら、ここまで大きなものを抱えずに生きられたのではないかとも思うのです。
それでも雪哉は自分で奈月彦に仕えることを選んだので、この世界線で雪哉(雪斎)が少しでも報われるといいのになと思います。
★紫苑の宮と雪哉の分かち合いが見たい
雪哉は紫苑の宮が生まれて初めて会った日に泣きました。
紫苑の宮の存在は雪哉にとって、とても大きく、雪哉の世界に彩を再び運んでくれたのが彼女でした。雪哉は紫苑が安心して暮らせるように山内を守ると決め生きてきました。
奈月彦亡き後、雪哉が紫苑に弱音を吐きますが、紫苑は自らの立場もあり雪哉の申し出を断り、
雪哉としては紫苑の宮を守りたい気持ちと、せめて紫苑には気持ちを汲んでもらいたいという意思空しく、雪哉は心を失くしたようでした。
「望月の烏」で再会した2人は、かつての関係ではなくなってしまい、わたしとしては心が痛むばかりです。また「雪さん」と呼ぶ紫苑と紫苑の横で笑う雪哉が見たいです![]()
★凪彦と紫苑の宮(澄生)がどう雪斎に立ち向かうのか
「望月の烏」の最後の方で、凪彦は澄生が死んでいないことを知ります。
「楽園の烏」では凪彦は全くと言っていいほど出てこなかったので、今後どのように澄生と共に雪斎に立ち向かっていくのか見たいと思っています。
★物事は一方からではよく分からないことを八咫烏シリーズでは、何度もいろんなシーンで突き付けられる
・奈月彦の皇后選びで桜花宮に全く足を運ばなかった意図(無為に争いの種を増やしたくない、金烏の妻としてふさわしい者を離れたところから知りたい)
・あせびの君の行動(あせび目線だとあせびが無自覚に他者を傷つけるようには見えない)
・猿が八咫烏たちを傷つける敵(100年前の出来事が発端、当時の金烏が自分たち八咫烏だけでも助かろうと門を閉ざし、山神に仕えるのを一方的にやめたこと)
・奈月彦のもと行う政治が善政のように描かれること(実は四家が不満を溜めていた)
・雪斎のもと行われている政治が谷間の者にとって悪政だと描かれること(四家の不満を溜めないために取られた施策)
いろいろと自分の頭の中を整理したくて書いていたら、随分長くなりました![]()
八咫烏シリーズは読めば読むほど面白いので、最新刊も何度か読んで、シリーズ通して理解を深めたいと思います!
今回はここまで。
読んでいただきありがとうございました♡