第20回『モンスター』 | 大崎由希オフィシャルブログ「ゆきちーたいむ」Powered by Ameba

第20回『モンスター』

みなさんこんにちは。
今回ご紹介する映画は『モンスター』



アメリカ初の女性連続殺人犯として「モンスター」と呼ばれた娼婦、アイリーン・ウォーノスをモデルに、2003年に映画化。

主演は『ハンコック』や、最近では『スノーホワイト』に魔女役としての出演も話題になっている、シャーリーズ・セロン。
恋人役に『アダムス・ファミリー』に子役として出演、のちに『バッファロー’66』などの出演で有名になった、クリスティーナ・リッチ。




その美貌とスタイルを売りにするスター女優、シャーリーズ・セロンは、
この役柄のために13キロも増量、義歯もつけて、文字通りの体当たり演技で魅せアカデミー最優秀主演女優賞を受賞。



娼婦として過酷な毎日を生きてきたアイリーン・ウォーノスは、自殺を考えながら立ち寄ったバーで同性愛者の女性、セルビーと出会う。惹かれあう二人は、二人だけでどこかに暮らそうと夢見る。アイリーンはそのための金を稼ごうと街に出るが、客の男にレイプされ、思わず銃殺してしまう。奪った車にセルビーを乗せ逃避行を始めるアイリーン。部屋を借り、初めて自分を人として認めてくれたセルビーと幸せに暮らすが、奪った金が尽きてくると、生活資金を調達してほしいとせがむセルビー。アイリーンは愛する人のために一度は娼婦から足を洗う決意をするが、堅気の企業には相手にされず、やむなく娼婦に戻ってしまう。全てを捧げると決めた、愛する人と幸せに暮らすために、セルビーを愛するがゆえに追い詰められたアイリーンは、ひとり、またひとりと客の男を殺害してしまう…



実在の娼婦であるアイリーン・ウォーノスは、1989年から1990年にかけてアメリカ・フロリダ州で7人の男性(彼女を買った客)を次々に殺害し、死刑判決を受け12年間服役した後、2002年10月9日に処刑された。



幼いころから父親の親友にレイプされ続け、父親の死後家を追い出されたアイリーンは、誰にも助けてもらえず、13歳から道路に立ち、生きるために娼婦の道を選ばざるを得なかった。自分を取り巻くすべてに絶望し自殺を考えた時、今まで社会の屑と罵られ続けてきた自分を初めて一人の人間として接してくれた同性愛者の女性、セルビーと出会います。
人間に絶望していたアイリーンは、自分を唯一認めてくれたセルビーを愛し、精神的に依存、自分の人生のすべてをささげようと決意します。
一方暖かいごく普通の家庭に育ったセルビーは、金銭面や、衣食住、自分の生活に関することの一切をアイリーンに求めようとしました。しかし悪気はなく、セルビーにっとっては、それも愛。人間は親切で暖かいものと信じているセルビーの夢を守り、愛し続けようとしたアイリーンは、愛やその生活を守るために、結果連続殺人を犯してしまいます。

 一般には、非道な娼婦が連続殺人を犯し「モンスター」呼ばれと非難されたこの事件。
娼婦は底辺であり社会のはみ出し者である、とは簡単に言うことができますが、
しかし背景には、13歳で放り出された少女に誰も手を貸さず、最低限の教育も受けられずに、生きていくために娼婦になるしか道がなかった現実があります。
冷たい社会の底辺で生き、やっと見つけたひとつの光を守るために起きてしまった連続殺人事件。ただ、それを守るために必死だった。そうする以外の選択肢が分からなかった。選べなかった。
いったいそれは、その娼婦がモンスターか。それともそうさせた社会がモンスターか。普段は人目に触れない底辺に実在する社会の現実に、問題提起をなされている気がしました。


愛とは?と、考えてしまう作品です。

そして、価値観の違い、「愛」の違いが招くラストシーンに泣かされます。
皆様もぜひ、一度体感してみてくださいね。


それでは、
また素敵な作品に出会えますように★

大崎由希